法律家としての原点を考える。

麻産業の現代的回復と環境保全型・環境循環型社会の構築に向けて

          和服着用の勧め


2005年(平成17年)2月8日

弁護士・麻褌復興家 丸井 英弘

 

自宅で褌を締め、和服で弓道の素引き稽古をしているところです。

小金井司法研究会という司法試験の受験団体のOBで作っている小金井司法クラブという団体の機関紙に投稿した文章です。

1。私は、1970年(昭和45年)に小金井司法研究会に入会し、翌年に幸いにも司法試験に合格し、1974年(昭和49年)から今まで32年間ほど弁護士をしてきました。また、昨年には、満60歳という還暦を迎え、1人の人間としても大きな曲り角に来ていると思います。

 60歳からの手習いといいますが、ここで人間としてまた法律実務家としてとしての原点を見据え、今後の人生を有意義に全うしたいと思います。

2。私が、今後やりたいと思っている事は、石油資源に替わる環境上有用な資源である植物としての大麻すなわち麻の栽培とその利用を現代的に復活させることです。

 大麻とは、縄文時代の古来より衣料用・食料用・紙用・住居用・医療用・儀式用に使われ、日本人に親しまれてきた麻のことであり、第二次大戦前はその栽培が国家によって奨励されてきた重要な植物である。

 ところが、第二次大戦後のアメリカによる対日占領政策で、大麻の栽培が一方的に規制された。占領政策の目的は、日本古来の文化を否定し、アメリカに従属する産業社会を作ることにあったと思われる。

日本人にとって罪・穢れを祓うものとされてきた大麻を犯罪として規制することは、大麻に対する従来の価値観の完全なる否定である。また大麻は、自給自足型・環境保全型の社会にとって極めて有用な素材であり、これを規制し石油系の資材に頼る産業構造にすることは、アメリカに経済的にも従属する産業構造への転換を意味していたと思う。

 日本は、明治維新によって近代化の道を歩んだが、特に第二次世界大戦後は、戦後生活の建て直しということもあり、物中心の競争原理に立った経済活動を優先してきた。また、生活習慣も、例えば、食生活が米からパンに変わり、畳の生活も椅子の生活に、薬の分野でもいわゆる化学的合成薬が取り入れられ、従来の東洋医学は軽視されてきたのである。大麻は薬用としても何千年も使用され、日本薬局方にも当初から有用な薬として登載されていたにもかかわらず、大麻取締法の施行に伴って薬局方から除外されてしまった。

 日本人の伝統の中には、自然を聖なるものとして大切にしてきたものがあった。しかし経済復興の名のもとに、例えばダムの建設等自然生態系とそこに住む人々の生活を破壊する経済開発が国策として進められてきたために、川や海、そして大気は汚染されてしまったのである。大麻取締法は、日本人にとって、大自然のシンボルであり罪・穢れを祓うものとされてきた大麻を、聖なるものから犯罪にし、さらに大麻の持つ産業用や医療用の有効利用を妨げたのである。

3。麻産業の現代的回復と環境保全型・環境循環型社会の構築

 しかしながら、環境問題が深刻化するなかで、最近大麻の持つ環境上の有用性が、欧米各国で注目されている。なお、アメリカでは建国当時は大麻の栽培を奨励したが、一九三〇年代になって石油系の化学繊維が開発され、大麻とその市場が競合することが、大麻を禁止した社会的背景であるという。

 大麻の茎からは、環境上安全な紙及び建築材料、生分解性のプラスチックが生産できるし最終的にバイオマス燃料として活用できる。大麻の生育期間は非常に早く、半年程度なので、大麻からこれらを生産すれば、永続可能な状態で原料の供給ができ、地球の緑を守ることが可能となる。その結果、地球温暖化対策にも有効である。また、大麻の花穂は、副作用が大変少ない医薬品としても利用でき、大麻の種は栄養食品として極めて価値が高い。

  大麻産業は、日本における食料とエネルギーの自給自足、そして環境保全を可能にする。また、過疎地域において環境保全型の産業を興すことで、地域社会の活性化をうながし、過疎問題の解決にも繋がる可能性がある。

 日本における環境問題・食料問題・エネルギー問題・雇用問題に対する今後の課題としては、環境保全型・環境循環型で自給自足を目指した、経済・エネルギー政策の確立が挙げられる。そのためには、現在の環境破壊型の産業構造を転換し、農業・漁業・林業など、自然生態系に即した産業の現代的回復が必要となる。だからこそ、日本企業の有する技術と設備を生かしながら、大麻産業を日本に現代的に復活させることの意義は大きい。

 また、大麻から生産できる製品は、二万五千から五万にものぼるといわれている。大麻産業の活性化は、農業の育成と雇用確保にもつながる。従って、環境保全型・環境循環型社会の構築に向けて、その有力な素材である大麻の有効利用について調査研究し、その具体化を推進することは、極めて重要である。

4。大麻取締法は、麻の種と茎の活用を認めている。

 大麻取締法は、昭和23年に制定されているが、全面的な大麻規制をしているのではなく、麻の種と茎の活用をしたい人に対しては欠格事由が無い限り、免許の付与を認めている法律である。大麻取締法の第2条2項では、「 この法律で「大麻栽培者」とは、都道府県知事の免許を受けて、繊維若しくは種子を採取する目的で、大麻草を栽培する者をいう。」と規定し、第5条で1項で、「大麻取扱者になろうとする者は、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の免許を受けなければならない。」とし、2項で「次の各号のいずれかに該当する者には、大麻取扱者免許を与えない。

一 麻薬、大麻又はあへんの中毒者 二 禁錮以上の刑に処せられた者 三 成年被後見人、被保佐人又は未成年者 」としている。

 この免許の欠格事由は、運転免許程度であり、麻の種と茎の活用を希望する人には、憲法第22条1項の職業選択の自由からして、原則的に栽培免許を与えなければならないとうように解釈運用すべきであると考えます。

 しかしながら、大麻の栽培免許は、都道府県知事の権限になっているが、労働・厚生省の指導もあって、欠格事由の無い人に対しても、原則的に大麻の栽培免許をださないような行政指導をしているのが現実であり、これは、憲法第22条1項の職業選択の自由に反するものであり、極めて問題である。労働・厚生省の言い分は、大麻の花穂などには、向精神物質であるTHC が含まれているとことを根拠としていうようですが、このTHC自体医療用にも有用性があるし、また、THCを含有していない産業用の麻の栽培に対しても、原則的に免許を与えないという行政指導をしているのであって、少なくともこの点に関する運用を大幅に改善すべきであると提案します。

5。日本文化の根幹にある和服と褌そして麻 

 ところで、私は最近和服を着て褌を締めています。ここ数年趣味で尺八の稽古をしていますが、昨年11月28日に代官山で行われたライブに若者達で結成しているJPCバンドとともに参加をして、和服で尺八を演奏しました。それが、切っ掛けになってそれ以降日常的に和服を着るようになりました。

そして、和服を着て、袴をつけるようになってから下着としてのバンツを履く気がしなくなり、昨年の12月に入ってから晒しの木綿を購入して褌を作り、以降着用しています。 和服を着て褌を締めさらに袴を着けていますと、腰がしまる、つまり本腰状態になるということが実感できます。また、和服を着始めてから、この3年程やっていなかった弓道の稽古を再開したくなり、今年のはじめから稽古を再開しました。

 そして褌の歴史を調べたところ、徳川家康が麻の褌を締めていたことが解り、また神社のしめ縄や相撲の褌である横綱は麻でできていることとの関連で、体を神社とすれば、腰は正に体の要であり男性の最も大切なもの即ち御神体が存在する場所であって、そこを守るのが褌ですので、麻の褌を作りたいと思うようになりました。現在大麻の規制などの関係で国産の麻が少ないので、国産の麻褌の制作のために麻栽培を復活させたいと思っています。