▲ERG.DOS ERG.SYS インデックス
2000/ 02




●2000/02/28 倫理の保安官

※細部で現状では違う点、勘違い等ありますが骨子に訂正の必要は感じないのでこのままとします。

 現在、エロゲの倫理は一人の人間が支えている。

 ソフ倫の審査には2種類ある。

    1.完成したゲームを提出し、倫理委員にお伺いをたてる方法
    2.完成前のゲームの概要,数枚のグラフィックのみを提出する「自主審査」

 1の審査を受けたゲームは私が知る限り1件もない(実写物は不明)。事実上すべてが、2の「自主審査」です。
 この自主審査は万一の際の保証もない代わり、メーカーの一存に任されるはずだが(定款を読む限り)、なぜか担当者からのダメ出しがある。まあそれはいい。だが問題はこの検閲が規定されていないことだ。

 すべてのゲームのモザイクは、その担当者の判断ひとつで左右されるわけだ。
 発売後のゲームでも、ソフ倫の倫理規定に反していると件の担当者が判断すれば、回収勧告が出される。
(各社ともソフ倫とは電話でやり取りするだけなので、他の人間が判断している可能性も否定できませんが、電話での口振りから、それが担当者自身の判断だと推察されます。また、「倫理委員の意見を聞きたいから電話口に出してくれ」と言っても「出せません」と言われ、「いつでもいいから」と食い下がっても「ダメです」と言われるので、私は最初から倫理委員はいないと疑っています。私の知る限り、倫理委員なるものの姿を見た、あるいは声を聞いた人間は一人もいません)

 ニッポンの倫理はたった一人の人間の肩にかかっている。
 これでいいのか? 彼以外の誰の手にも余る問題ではないのか。

 なお、この担当者は元、Rさんの会社の社員である。


●2000/02/27 ゲーム雑誌の怠慢

 ソフ倫,雑誌,ユーザー批評(批判にあらず)はエロゲ屋の三大タブーだ。でもまあコッソリ書きます。ここなら平気でしょう。(当初の「パソゲー雑誌に価値無し」をあんまりなので改題しました)

 このインターネット時代、ゲームに限らずパソコン雑誌もそうだし、私は車(でのツーリング)が好きですが、ほとんどの車雑誌も、その価値は下がる一方なのはとうに明らかです。
 雑誌の三本柱は、1.ニュース,2.解説,3.批評だと思うが、紙メディアのニュースにもはや価値はなく、解説でも、生半可なプロの解説記事では、掲示板や検索エンジンに勝てない。
 となると残るは批評だ。解説と批評の区別は微妙だが、批評にはこの3条件が必須と考える。

    1.評者に広い見識,教養があること。
    2.個人の「好き嫌い」を越えて「良い悪い」を論じていること。
    3.対象のよりよい未来への提言を含んでいること。
    
 条件2については、ただ「好き嫌い」をいったものは「感想文」という。条件1と3は言わずもがな、条件2だけでもクリアしている批評がいったいどれほどあるか。

 現状、新作情報と攻略情報がゲーム雑誌の二本柱ですが(その宣伝効果はありがたいデス)、是非ピーコ撲滅にも尽力していただきたい。
 ピーコが10%減れば、利益は20%上がるんです。スタッフの給料が上がり、開発期間に余裕ができれば、必然的にゲームの質は上がる。空疎な内容でページを埋めるよりよほど建設的だ。

 ていうか、ライターってピーコしてる人多いっすよね。


●2000/02/26 剛腕、Rさん

 ソフ倫は、事実上すべてのエロゲ屋が加盟してスタートしました。
 なぜそれほどスムーズにコトが運んだのか? その舞台裏です。

 ソフ倫設立前夜――当時私が在籍していた会社にFAXが届いた。
 送り主はRさん。同業者だ。
 内容を要約すれば、

    1.ソフ倫という自主規制団体の設立を決定した。
    2.従って必ず参加すること。
    3.イヤなら、おたくのゲームはどこの流通も取らないよ。

 といったものであった。極めて高圧的な文面であった。
 寝耳に水の話に我々は面食らった。
「なんだ、この高飛車なFAXは? 脅迫か?」
「面識もないのに失礼な奴だな」
「送り先、間違えたんか?」 しかし宛先は確かにウチだ。
「ひと様に指図する暇あったら、まともな隠しコマンドでもつけてろよ」
 当時、Rさんの会社のゲームは、社名の頭文字のキーを押すとモザイクが取れることで有名だった。
 で、出社した社長に「こんな失礼なFAXが来てたから『CとN(Rさんの会社の頭文字)押してもモザイクが取れないッスー!』って返信しときましたー」と報告したら、ウチの社長、血相変えて先方に電話で謝ってました、ははは。
 こうしてソフ倫は、さしたる反対もなく軌道に乗ったのでした。

 ところで、固有名詞は初登場ですな。よほど腹に据えかねていたんだなあ。<自分
 (↑怖くなって、後にイニシャルに変更。イニシャルもデタラメです)


●2000/02/24 岡江さん

 はなまるマーケットの岡江久美子さん、いつ見てもいいなあ。まっとうであるのが逆に珍しい。


●2000/02/23 ヤクザな仕事

 近所のスーパーでカレーの材料とおやつを買った帰り道、前からきた車が私の横で止まった。
「すいませーん」 ドライバーは派手な青いシャツにネクタイのお兄さんだ。
 道を聞くのかなと近づくと、お兄さんは「これあげますよ」と、助手席越しに小箱を差し出した。
「はあ?」 また唐突になんだろうか?
「伝票漏れで余ったんだけどね、ロンジンって知ってるでしょ」
 なるほど、そういうことか。私は「ごくろーさん」と笑って手を振り別れました。

 自宅で作業していると、何やら怪しげなセールスの電話が結構ある。
 気が弱いものだからなかなか電話を切れずにいると、パソゲー(しかもえっちな)なんてヤクザな仕事をしている私も人のことは言えないけど「そんな下司な仕事やめなよ」と諭してみたくなります。
 つくづく、みんな、お仕事大変だなあと思う。

 キューポラのある町・川口には、住宅街の中に町工場がたくさんあります。昼休みには工場のお兄さんたちが敷地のスペースで野球をしていたりする。オジさんは、夏には道ばたの日陰で昼寝をし、冬にはドラム缶のたき火にあたっている。
 川口は大きな町ですが、夕方の5時を過ぎ日が落ちると途端に人通りも少なくなります。
 これまでずっと昼に出社、帰るのは夜の10時、12時なんて生活をしていたので、朝仕事に出かけ夕方に帰る、というごく普通の生活のある住宅街に住んでみると、これがやけに新鮮に見えたりします。


●2000/02/22 ヒロインの変遷

 かつて、Windows以前のエロゲのヒロインは確かに「女の子」でした。

 分類するなら「同級生系(理想の女性)」と「妹系(自由にできるペット)」の2パターンあたりですか。
 Windows以降、エロゲのヒロインは確実に変わりました。
 ヒロインがとにかく優しく、拒絶しない。主人公とヒロインの関係が極めて穏やかなのです。これは「母親系(すべてを許し包み込んでくれる存在)」ですね。下の世話までしてくれる母親。
 しかし、ここ数年のトレンドには困惑していました。
 不幸。とにかくヒロインが不幸なのです。これはなに系だろうとずいぶん悩んだ。母親系のようでいて、何かが根本的に違う。
 ある時、同僚の女性が、不幸なヒロインについて掲示板上で熱く語るユーザーを「女の子みたい」と評したことがありました。
 なるほど、それで分かった。不幸なヒロインは自分、プレイヤー自身だったのです。
 よく知らないけど、どうやら現代の若者は辛いらしい。で、その辛い自分を不幸なヒロインに重ね合わせていたのです。
 もちろん不幸なヒロインパターンは昔からの定番です。しかし現代の薄幸のヒロインが違うのは、プレイヤー側に「僕が守る」といった男性的な意志が希薄なことです。古典的な少女マンガの1パターンだけど、それとも違う。当然ながらプレイヤーは少女じゃない。
 ヒロインの変遷は、「女の子」から「女の子ではないモノ」への変化であると言えます。
 では、この先どうなるのか? 私は「人間」から「人間ではないモノ」への変化が来ると睨んでいます。

 1.女の子 → 2.母親 → 3.自分 ……ときて、その次は当然、神でしょう。
 ビジュアル的にも、女の子の絵というよりは、ますます抽象絵画度が増していくのでしょう。ある意味、どんどんSF的な存在と化していくヒロインが個人的には楽しみ。

 プレイヤー=現代の若者が守るものは、愛する人から母親へと移り、そして母親を守る余裕すらなくし、自分だけを愛おしむ、だが無力な自分に気づき、超越した存在にすがるようになったのでした。
 性欲よりも、孤独の恐怖が勝る――。近代的な悩みってヤツですか?


●2000/02/12 倫理の前に著作権

 どこが日記なんだと思いつつ、ソフ倫不要論その1。

 老舗の2社が警察に摘発された翌年ソフ倫は発足しました。実質的にすべての会社が加盟し、自主規制をスタートさせました。
 しかし、自主規制もタダじゃできません。何事にも必ずコストがかかります。ソフ倫の維持には、すべての開発者が1年あたり5万〜10万円程度の金額を支払っている勘定になります。
 なぜエロゲ屋各社,開発者は身銭を切ってまで自主規制など受け入れたのか?
 それは、やましいところがあるからなのです。
 ヘアヌードが解禁されて久しい出版界に対して、エロゲ屋が警察参りしつつ嫌々自主規制するのは、いざ摘発を受けた時に正々堂々と戦う自信がないからなのです。
 だって、PhotoshopもWindowsも、みんなピーコなんだから。ごく一部を除きほとんどの会社があらゆるソフトをコピーしているという状況では、いざ摘発を受けた際に堂々と表現の自由を主張できるはずがない。

 人間、後ろ暗いことがあると、迫力に欠けるわけです。

 エロゲ屋各社は白々しく倫理を説く前に、著作権を遵守するべきだ。そうすれば多額の「ソフ倫税」を払う必要もなく、今よりも風通しのいい状況で開発ができるのだから。
 しかし、私が他社の人間に会うたびに社内の状況を聞く限りでは、この先もピーコ体質に変わりはないようです。

 しかし腐っているものを改めて腐っていると言う作業も辛いですね。


●2000/02/09 エロゲ屋の起源

 エロゲの未来について語る前に、まず過去を振り返りましょう。

 むかしむかし、昭和の終わり頃。
 東京は高田馬場のとあるマンションの一室にパソコンソフトのレンタル屋がありました。客がコピーすることを前提にした、限りなく非合法に近い店です。これが現在東京圏に存在する大手弱小合わせて10社以上の源流となりました。
 市販ソフトのプロテクト外しを得意とするハッカーを擁したこの会社はえっちなソフトの開発を始めます。優秀なシナリオライター、原画マン、CG屋さんもいました。
 ハードはNECのPC-98、OSはMS-DOS時代です。この会社ではゲームを起動するシステムとして改造MS-DOSを使用しました。MS-DOSの画面表示を消してオリジナルDOSのように見せかけるわけです。もちろん違法です。
 MS-DOSだけでなく開発ツールもコピー。自社のゲーム・システムも、他社からのプログラマが持ち込んだものでした。
 やがて、この会社からいくつものエロゲ屋が独立していきましたが、改造MS-DOSの手法や拝借したゲーム・システムは連綿と受け継がれていきます。

 このコピー体質は今も残っています。例えばPhotoshop。これをきちんと購入している会社は、調べた限り10社のうち1社程度です。
 その一方でソフ倫という組織を作り、倫理を語っているわけです。
 まあ個人的には、倫理を語るのもピーコも勝手だけど(だめだけどサ)、青春を語るのは許せないデス。


●2000/02/08 松田聖子のアルバムを買ってきた。

 色々あって、日記を書くことにしました。
 いや、少しは生活にリズムが出来るかなと。いや、自宅作業というのもなかなか辛いものがありまして、えへへ。

 一応パソゲーの未来について書いていく予定です。具体的にはソフ倫批評と提言、「いーかげんゲーム屋自身ピーコすんの止めよーよ」なんて内容になるかと思います。(実はGeoCitiesで同趣旨のページ開設、面倒で即削除の前歴あり) 興味のある方はどーぞよろしく。

 さて、昨日、松田聖子のアルバムを買ってきた。邦楽の歌物CDを買うのは生まれて初めて。しかも松田聖子。普段はインストか、歌物はビートルズとツェッペリンくらいしか聴かないのに。
 この前の三陸ツーリングで、ラジオから松田聖子の「天使のウインク」が流れたんですね。
 真冬の東北地方での車中泊ツーリング。氷点下の夜明け。秘境・重茂半島目指して北へ走っている時でした。右手はカキの養殖筏が浮かぶ山田湾。リアス海岸なので山並みに囲まれた海は大きな湖のようだ。山の端から朝日が射し、海が光る。そこにこの曲が流れた。
 好きでやっていてもツーリングもなかなか辛いもので、しかしこれは久々に爽快な瞬間でした。いい曲だなあ。プロの仕事です。
 で、昨日ベストアルバムを買ってきた。編曲にクレジットされている大村雅朗という人に興味がわきました。
 寡聞にして知らなかったのだが、検索エンジンで調べたら一線で活躍した編曲者であった。しかし1997年に亡くなっているんですね。合掌。

 で、パソゲー関連に話を持っていけば、こういうもの(全盛期の松田聖子のような良質の歌謡)がパソゲー(のえっちなソフト)に欠けているものなのだなあ、としみじみ感じたわけです。





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