付録: 書店とインターネット


原書 HOW TO GROW YOUR BUSINESS ON THE INTERNET Vince Emery著,
ISBN 1-883577-29-2 http://www.emery.com/bookbiz.htm 
邦訳「成功するためのインターネットビジネスバイブル」
(注 非常に古いデータです。:必ずしも全部のリンクが有効でないことにご注意ください。)
書店の方であれば、インターネットについて以下の3点は知っておいていただきたい。

インターネットユーザーは本を買う人達である

料理の本、ダニエル・スティールの小説、あるいは大事なお客様が読んでいるコンピュータ関連書籍であれ、本というものはすべからく情報なのだ。 大事なお客様たちはもっと情報をほしがっており、それだからこそ本を購入しているのだ。

インターネットを利用している人たちは、中でも情報を極端にほしがる人種である。いわば情報マニアで、しかもインターネットは世界最大の図書館のようなものなのだ。インターネットを使っている人たちは、その豊富な情報が欲しくてそこにいるのである。そうした人々はコンピュータを購入するお金ももっている。お金をもっていて情報に飢えている人というのは書店の見込み客としては最高で、インターネットでそういう人たちを見つけることができるのだ。

書籍関連ビジネスはインターネットと繋がっている。

著者と図書館、出版社と取り次ぎ、インターネットは書籍業界の通信手段になっている。著者は原稿をインターネットで送信している。図書館は注文書を電子的に送信している。

"インターネットを使って"いなければ、書籍ビジネスの本流から取り残されてしまうのだ。

インターネットによって新しい競合相手が現われ、新しい販売方法が可能になる。

現時点で200以上の書店がインターネット上にある。 そうした書店がは多数の本を販売している。オンラインでしか販売していない書店もある。実際の店をもたずに、昨年で百万ドル以上も販売したのだ。専門、所在地のいかんにかかわらず、インターネット上の競合相手に桑食されているのだ。

ところが、そうした書店の影響が最悪というわけではない。もっと大変なことは、出版社が積極的にインターネットで書籍を販売して、自前での本の売り上げを増やし、書店の売り上げを減らしつつあるということだ。

書店と出版社とが販売チャネルでぶつかることはこれまでも問題であったが、インターネットによってそれがさらにひどくなった。他のダイレクトマーケティングよりもインターネットでの販売の方が安くつく。このため一般向けに大幅に値引きをする出版社もでている。 Simon & SchusterのMacmillan部隊(Que, Sams, New Ridersその他) は、同社の全書籍を20%ディスカウント販売し、毎月の特選書についてはさらに値引きをするという周到なインターネットサイトを作って書店を怒らせた。大半の小売書店はこれに対抗する方法とてない。HarperCollinsもオンラインで20%ディスカウントして販売する計画を発表した。 書店主たちが憤慨する理由がおわかりだろう。

書店はインターネットでは、他の競合にも直面している。例をあげよう。私はロバート・デニーロ主演の映画Mary Shelley's Frankensteinを見て、本を読みなおしたくなった。 真夜中の11:30のことだ。我慢して後で本を買うこともできたのだが、その場で好奇心を満足させたかった。そこでコンピュータを起動させ、インターネットに入って、無料で読めるコンピュータ本を入手して、コンピュータの上で読んでしまった。これで書籍売り上げが一冊減ったわけである。

インターネットには以上のパブリックドメインの電子版の本が無料で入手できる。インターネットでは"電子本"を買うことも可能だ。これらの中には、書店の方が店頭で販売されているのと同じものもある。

電子バージョンしかないというものもある。印刷版は決して制作されないのだ。タイムワーナーはダグラスクーパーの新刊小説Deliriumを出版しているが、これはインターネットのWorld Wide Webでしか読めない。 印刷した本は出版されない予定だ。こういう本では、印刷物をあつかう書店が関与する余地はなくなってしまう。

書籍業界のホットスポット

最初に、Webのなかで私の好きなサイトを見ていただきたい。BookWireのサイトでは、インターネット上の本にかかわる何十ものリソースがあげられている。このサイトは他のサイトとの相互参照が豊富なので、あっと言うまに何時間も過ぎてしまう。

publishers on the Webは御覧になられただろうか?  私が最後に見たときには、このサイトには12か国の248の出版社にジャンプするスポットがあった。

読者の立場から、インターネット上の書籍に関するリソースを見たいという場合には、Internet Book Information Centerを見ていただきたい。

Macmillan Computer Publishingで、20%割引というのを直接ごらんいただくように。 また、インターネットのおかげで競合することになるしゃれた商売仇の例として、このサイトをしっかり見ていただきたい。マクミラン社は1,000冊の本についての情報、電子メールによる無料ニューズレター購読と、技術専門書店へのリンクを提供している。

Library of Congressなどはいかがだろう?

Time Warner

Newbridge Book Clubs

私の本の出版社であるもコリオリスグループも同社の出版物などをオンラインで紹介している。

Russian Academy of Science Publishingのサイトはバイリンガルだ。英語かロシア語が選べる。これらの本にはご興味が湧かないかもしれないが、 "統計" セクションは御覧いただきたい。 図で、このサイトへのトラフィックが飛躍的に伸びているのがわかるし、訪問回数の数字、(1995年2月15日の週には、インデックスに対して4,043のアクセスがあった。--かなりの数の潜在顧客だ。) および他の情報もある。

O'Reilly & Associatesはインターネットに載った最初の出版社の一つで、大変すぐれたサイトの一つでもある。

インターネット上の書店

Online Bookstoreは1992年からインターネットで販売している。同社の創始者ローラ・フィルモアは、ほかの書店がオンラインで開店するのも手伝っている。 詳細は電話(508) 546-7346で彼女に問い合わせていただきたい。 彼女の店では、電子本と印刷した普通の本の両方を販売している。

University of California at Irvineの書店では、 Moon Travel HandbookのBig Island of Hawaii のインターラクティブ版をブラウズすることが可能だ。 古書店の例としては Taugher Books: Collectible Editionsをご覧いただきたい。 この書店は全在庫を表にしてあるが、検索ができる形式にはなっていない。そのために、探しているものを見つけるのは容易ではなく、覗いて回るのには時間もかかる。

顧客が検索できるデータベースを提供するのがより良い解決方法だ。 これにはプログラム作業が必要になるが、サイトに来る人の数、売り上げの増大ということで引き合うのだ。たとえば、Computer Literacy Bookshopsでは世界最大のコンピュータ関連書籍のデータベースを検索することができる。著者名、書名、ISBNあるいはテーマ、いずれでも検索が可能だ。このサイトでは、この書店の小売店が行っているプロモーション用の催しの案内も読める。

日本で何が起きているかを見るには、Cyber Publishing Japanの小学館の書店サイトが参考になる。このサイトは英語と日本語の両方がある。

クリーブランドのBook Stacks Unlimited では、本の索引(検索可能)、オンラインの本についてのディスカッショングループ、その月の特売書籍、インターネットで客が本をかうのに応じて貰え、貯めれば本もらえるクーポンの入手方法などを提供している。

インターネット上の電子本

「電子ブックとは一体なんだ?」と思われる場合には二つ例をあげておこう。優れた旅行関係の本としてはフィリップ・グリーンスパンのTravels with Samanthaを御覧いただきたい。

コミックSFでは、ジョン・ザコールの The Doomsday Brunetteを御覧いただきたい。

他にもまだ

インターネットには他にも何百もの本に関連したリソースがある。"Alex" では、700冊以上の本が無料でダウンロードできる。稀覯書の買い手、売り手のためのメーリングリストもある。何百もの場所に新刊案内や、想像できるかぎりのテーマの書評が掲載されている。書店の批評をあつめたスポットさえある。--やがては、そこにあなたの書店ものることだろう!

インターネットが書籍販売業に与えている大きな影響をご理解いただけただろう。書籍出版と販売は変りつつあるのだ。派手なインターネットサイトには何千ドルもかかるかもしれないが、注意深くやりさえすれば、$500以下で自分の店舗をもつことも可能だ。

本がお好きで、事業を伸ばしたいというのであれば、インターネット上での書籍販売を一考されるべき時期だろう。


1995, Vince Emery Productions
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