1984

1984年 。世界は戦争状態にあるが、戦況は既に定かではなくなっている。社会主義国のロンドン市民が知っているのはただ一つ。敵は世界に三つある政府の一つで、自分達の国であるオセアニアを滅ぼそうとしている、ということだけであり、そうした思考を徹底的に頭にたたき込まれた人民は、あえて考えることはしなくなっている。全体主義的統治制度が、社会を完全に隷属化し、人々は朝から晩まで息苦しい監視のもとにあって、身動き、呼吸さえ、許可無しには誰も決してできない状態だ。

ウィンストン・スミスはそうした体制の一部、というよりは、その体制の積極的なメカニズムである。彼は真理省に勤務し、国民がアクセス可能な情報の、検閲と変造に従事している。彼は身の回りの世界の欺瞞を次第に理解し始めるが、あえてそれに抵抗しようとは考えない。彼の目を開かせる強烈な引き金となったものは、スミスと同僚ジューリアの間に思いがけず燃え上がった情事だった。感情の自由は、思想の自由同様この世界にとっては異質なものであったが、愛は恐怖をも打ち壊す。感情を信じ、目からうろこの落ちた主人公は、この世界は変えねばならないことを悟る...

2004年6月18日 モスクワ
タチヤーナ V. ルゴフスカヤ <tanda@orwell.ru>


[ロシヤ語オリジナルWeb][プロジェクトについて] [あらすじ] [登場人物] [キャスト]