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日本人はなぜ英語ができないか

Nihonjin wa naze eigo ga dekinaika jacket photo

鈴木先生の単行本はこれまでたいていのものを拝読していたので、今回の本の刊行が楽しみでした。一読後、これまでいつも先生の意見の受け売りをしていたことを改めて再認識。

追いつく時代の情報受容のための語学学習ではなく、日本から日本文化の発信のできる語学学習を、といっておられます。ロン、ヤスと呼び合うのは対等な関係ではない。というのも、深く納得。

外国語学習態度の類型として、下記の分類もなるほどと思います。


実例特徴
中国自己顕示、宣伝形
アメリカ他者攻撃、折伏制御
日本自己改造、社会改革

また、教科書の題材は日本にすべきであるというのは、海外からのお客を鎌倉や、京都に案内しても、看板や案内書の内容を全然説明できないという体験を、私も入社一年目にさんざん味わったことで、よーくわかります。日本人の自己植民地化現象であるとかもごもっとも。これも中近東のお客に再三指摘された経験があります。大学の授業は英語ですべきというのも、同意します。
早くこういう方針で、あちこちで授業が行われるようになることを、心から切望するものです。

ところで下記の指摘には、思わず笑ってしまいました。
モスクワでも、○×商店やら△タクシーという塗装のままの車をみかけたことはありますが、私はペンキの節約と決めつけていたのです。

以下は182-183ページからの引用です。

 たとえ外国の人が漢字や仮名を読めなくても、 それが一種のロゴマークとして受け取られるだけで、結果としては日本の文字に対する親しみ を生み、場合によっては神秘的な感じやエキソティックな雰用気が伝わることで、製品にプラ スの付加価値がつくことさえ考えられるのではないでしょうか。 じつはまさにそのとおりという、うれしい事実があるのです。昨年(1998年)の初夏、長 野県軽井沢でホテルを経営されている私の親しい友人のH氏が、運輸省関係の国際ホテル協会 の会合に出席するため、ウラジオストックを訪れたときのことです。  同氏は町中に日本の中古車があふれていることにまず驚いたのですが、その中に車体の側面 に大きく書かれた、旧所有者の畳屋さんとかクリーニング店の名前や電話番号が、そっくりそ のまま残っている車が多いのを見て、はじめは消したくても塗るペンキが手に入らないためか と思ったそうです。ところが運転しているロシア人に聞いてみると、とんでもない、何だか意 味は分からないが、恰好いいからそのままにしてあるんだと言われて、ああそうだったのかと 納得したというのです。  このようにいまロシアの一部では、日本は憧れの国で、日本語のついている製品は、プレス ティージの象徴となっているのです。これはちょうど、日本の若い女の子たちが、ヨーロッパ のブランド商品の外国語名を、わざと人に見えるように工夫して身につけるのとまったく同じ 心理です。

1999/7/20記

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