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High St@kes, No prisoners


High St@kes, No prisoners Times Books
ISBN: 0812931432
392 pages
October 18, 1999
Charles A. Furgason

MicsoftのWebページ作成ソフトFrontPageは、Vermeer、フェルメールという会社の製品を会社ごと買い取ったものです。そのVermeerの創始者が、本書の著者。数年前にComputer Warsという本を書いています。(翻訳は同文書院インターナショナルから、1993年に藪暁彦訳で、『コンピューターウオーズ 21世紀の覇者』という邦題で刊行されています。)その前は半導体の日米攻防戦の陰の立て役者。本来は学者。貧しい家庭に生まれた優秀な著者、苦学をして一流大学をでます。ハイテク企業のコンサルタントをしながら、自分には実戦経験がないと後ろめたく思っていたので、タイミングをみてベンチャー企業を創始、見事にMicrosoftに売り抜けた自慢だらけの体験談です。日本のコンピュータ業界は、思ったほど強くはなかった。強いと思いすぎたのは、実務経験の欠如のゆえだ、というのです。さんざんたたいておいて、それはないでしょう。またIBMにも、オラクルにも勤めたことがあったのですが、IBM的な東海岸大企業の力を過信しすぎ、西海岸のシリコンバレーに続々と現れ今の時代を支えている企業の将来性も読めなかった、と反省しています。(なお彼が作ったフェルメール社、実は本社は、西海岸ではなく、東海岸のボストンということです。)

敵対することでなく、身売りすることで生き抜いた彼の会社とは対象的に、真っ向からMicrosoftとぶつかって壊滅したNetscapeについて詳細に分析しています。「死者にむち打つ」="Speaking ill of dead"という章で、チャンスを生かせず自滅した様子を分析しているのです。

Micsosoftについては、その功罪を分析し、反トラスト法による著者として最善と考える分割方法を提案しています。使っても使い切れない資産を得たが、その多くはMicrosoftの株なので、自分の意見は我田引水あるいは、マゾの意見と見られてもかまわないと、様々な他の案を批判し、具体的な対策を提示しているもの。うまく分割すれば、ユーザーのためにもなり、しかも株主もいい目にあえるのだ、というのですが。

最後の章は、Microsoft以上にInternetの進歩の障壁となっている某業界、政治家、学者、官庁を歯に衣着せずに攻撃します。
アメリカでそうなら、自浄作用が欠如している日本ではもっとひどいだろう、と考えさせられてしまいます。またまたアメリカの外圧待ちしかないのでしょうか。

早く翻訳が出ることを期待しましょう。

(2000/01/08記)

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