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Russka

Russka cover Edward Rutherfurd著
Ivy Book Ballantine Publishing Group
1992年(Paperback)、ハードカバーは1991
定価$7.99
ISBN0-8041-0972-9

読みながら連想したのは、ジェームズ・ミッチェナーの「ポーランド」という本でした。たしか二人の主人公の家系をたどりながら、ポーランドの歴史、そして『連帯』への動きを鮮やかに描き出した本です。 あまりに長い本で、英語では読む元気がでず、日本語になってようやく読み通せたのでした。

ポーランドについて、これだけ面白い本があるなら、ロシアについてもきっと同じような本があるのではないだろうか、と長いこと不思議に思っていたところ、amazon.comでこの本にようやく出くわしたのです。ロシアものは日本では売れないのでしょう。日本語訳がない以上、細かい活字の945ページを、英語で読むしかありません。時間がかかり、疲れはしますが、いくつかの家族の関係を軸にした巧みな話題の連続で読まされます。

Amazon.comを見ると、ロシアのステップのように、延々と続く本だという酷評もあれば、授業の参考書に使っているという先生がおられたりで、評価はまちまち。おおむねは、すばらしいという意見のようです。書評では、革命の部分が短い、あっけないという意見も見られますが、それは、ないものねだりに思えます。革命もさることながら、そもそも革命に至るまでのロシアの歴史も全く知らない私のような素人には、こういう本こそありがたいのです。各章、短いながらも、なかなか話題豊富。

革命の章には、産業資本家がアールヌーボー様式の邸宅を建てるというくだりがありますが、建物の描写はどうみても、現ゴーリキー博物館そのもの。また見に行きたくなりました。

エピローグを読みながら、Russian Hillという地名や、ロシア人地域もあるサンフランシスコを思い出しました。

以下のような章立てになっています。ゆっくり日本語で読めるとありがたいのですけれど。刊行後10年近くたつのに翻訳が出ないとのですから、もう翻訳が出る可能性はないのでしょうか。

全く関係ありませんが、フィンランド語には、紅葉という単語があるようです。一文字違いのruska。表紙の色をみてなるほどと思ったり。


(99/8/1記)

同じ著者による『ロンドン』は翻訳あり。2001年8月24日刊行。
集英社刊 ISBN4-08-773331-9 上、下各5000円
ルスカの続刊を期待したいものです。
(01/8/17記)

Amazon.co.jpで購入することが可能です。
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