副題は、Business Strategy in the Age of the E-Customer
Webのデザイン方法、Web開発チームの作り方という二冊の本を書いた、この道では有名人の著者が、今度は顧客を向いたWebを中心にして、企業が大きく変わるということをまとめた本を書きました。HP,Lucent, Sonyといった今をときめく企業のサイトに関わった経験が反映されているのでしょう。 彼の本のなかで、一番読みやすいような気がします。最初の本"Creating Killer Website"「Webサイト・デザイン」は、Web開発担当者むけの内容でした。(日経BPから翻訳がでています。6000円)
二冊目の本"Secrets of Successful Web Site"「Webサイト・マネジメント」は、Webに関与する担当、幹部向けの内容でした。(同上 5000円)
三冊目のこの本は、特に経営陣、および一般の企業人向けの内容です。それゆえ、売り上げは一番大きいかもしれません。
本書の構成は、大きくは四部に分かれています。
事実に基づく経済の項で、反マクドナルドサイト他、特定企業にターゲットを絞ったサイトも当然でてくることが書かれています。根拠なく攻撃するサイトがあっても、長続きはしなかろう、と楽観的です。
予想の部分では、XMLによるユニバーサルxxxという定義がフルに活用される様子が描かれています。たとえば、求職の場合には、ユニバーサル・レジメが鍵になります。XMLによって、本人の様々な属性が、非常に細かく記述されるのです。内容は、実情を反映して頻繁に更新されます。さらには、求職インタビュービデオも、プロの助力で作成して、Webに置いておくのです。もちろん、本人が自分でセキュリティレベルを設定するので、やたらに誰でもが覗けるというわけではありません。
そして、その人物が、就職したいのか、転職したいのかという希望の度合いも、六段階で表示されます。全く興味なし、から、どんな仕事でも、すぐ移動可能まで。レジメの内容と、転職準備度の組み合わせよって、より合理的な求職活動ができるというのです。これに対応する求人側の仕組みは、ユニバーサル・リクルーティングです。双方にとって、コストも時間も大幅に削減されることになります。
論理的な帰結は「常なる移動」の社会です。皆がさすらいのガンマン、あるいは日本人なら、「沓掛の時次郎」になれるのでしょうか。
その他の様々な場面でも、このXMLは大活躍をします。
ところどころにある、E-cancer(日本語でいえばEガン症候ということでしょうか)の例もヒントになるでしょう。
読者の書評を読んでみると「また10年したら、どこまであたっていたか読んでみる」という人もいたりします。
あるいは「総論賛成だが、おおかたの企業は、とうてい対応はできまい」という人もいます。感想を読むだけでも面白いようです。
本だけでは網羅しきれないということで、この本に対応したWebも作っているところが立派です。
http://www.futurizenow.com
日本語翻訳が出るのを首を長くして待ちましょう。
2000/04/07(記)
早くも日本語訳が出ました。翻訳されない章が三あるということですが。素早い翻訳に感謝。
2000/07/02(記)
Amazon.comで、書評を読んだり、本を購入することができます。