[英語の本目次 (カテゴリ別)][日本の本][Macでロシア語インターネットTop]


シリコンバレー企業内幕?小説


こうした本、いずれも面白いのですが、Appleの方が、真実は小説よりもすごい、と思います。
雑誌Wiredの1998年 Issue 6.01の99ページに掲載された、Po Bronsonによる当時のSillicon Valleyについての記事Is The Revolution Over?を含む記事が本Nudist in the Late Shiftになっています。

また朝日新聞のサイトにも、高橋修さんのサンノゼ変わりだね日記というコーナーあり。なつかしい。


Down in the Valley


Down in the Valley

シリコンバレーの企業を舞台にする他の小説とは、ちょっと趣向が変わっています。
主人公、ハイテクとはほとんど関係のない元フランス語教師Fenelonなのです。ドライブ途中で我慢できず、借用できるトイレを探して紛れ込んだハイテク企業ビルで、待ち受けられていた天才プログラマArther Smithと誤解されるのが物語の発端。ボタンの掛け違えのまま話が展開します。ばれたらどうなるのだろうと、はらはらしながら先へと読まされます。ハイテク企業人事採用の内情、人事抗争、リストラ、昇進と見せかけての窓際への放逐の光景などが繰り広げられます。このあたりは、もう日本のローテク企業人事とあまり違いもなさそう。現実を反映してメキシコ系、インド人、アルメニア人と、登場する人種はさまざま。日本人も登場しますが、気前のよいお役人というさえない役柄。
AMACOMからHi-Tech Jobs for Low-Tech Peopleという、ハイテク産業就職方法ガイドを書いている著者の本ですから、その理論編にたいして、こちらは「ハイテク産業で働くノウハウ応用編」ということかもしれません。
あちらの本、巻頭に推薦の言葉がならんでいたりします。この本も、例に漏れず、いろいろコメントが書いてありますが、どれもどうもぴんとこない推薦の言葉なのです。本を読み終わって?からまた読むと、やっと冗談がわかるという仕組みになっているようです。

Amazon.co.jpで購入することができます。


[ファイルの始めに][英語の本目次 (カテゴリ別)][日本の本][Macでロシア語Internet Topページ]

The Fist $20 Million is always the hardest


Fisrt $20 Million

Po Bronson
Random House
1997年
定価$23
ISBN0-679-45699-6


Penguin Booksにもなっている証券業界についての小説("Bomberdiers")(邦題「マネー・マネー・マネー」)を書いた著者が、今度は業種を変えてSilicon Valleyを題材にして書いた小説です。副題もA Silicon Valley Novel。
巻頭はアンディー・キャスパーがOmega社を退職する時の面接記録です。この大手パソコンメーカーOmega社の元営業マン、アンディー・キャスパーが主人公。彼が同社から多大な援助を受けているシリコン・バレー有数の研究所に移ってから体験する、パソコン開発にかかわる、わくわくするようなドラマ。
とうてい不可能に思われる$300パソコンの開発という無理難題のプロジェクトを、この青年が仲間たちと一体どう切り抜けて進めてゆくのか、どんでん返しの連続で、読み始めたら手から話せない面白さ。
シリコン・バレーのベンチャー精神に満ちた開発者たちの姿をいきいきと描いていて、 臨場感が味わえるお勧め本です。この本を読んでいたがために、 97年5月、オラクル会長ラリー・エリソンによるNC発表を聞きながら、ずっと既視感(デジャビュー)を味わっていました。

アメリカンブックジャム3号、74ページ、Random House社紹介記事に、推薦する本として、この本があがっていました。Netscape Navigatorのソースコード無償提供という戦略を聞いた瞬間、またまたこの本を思い出してしまいました。 この本、そのうち映画になるのかも。
(98/1/27追記)

日本語訳が、とうとう出ました。「シリコンバレーを抜け駆けろ!」という邦題です。

(99/8/26記)

Po Bronson関連リンク

Amazon.co.jpで購入することができます。


[ファイルの始めに][英語の本目次 (カテゴリ別)][日本の本][Macでロシア語Internet Topページ]

The Last Best Thing


The Last Best Thing

Pat Dillon著
Simon & Schuster刊
1996年
定価$23
ISBN0-684-83614-9


シリコン・バレーの有力紙、The San Jose Marcury Newsの編集者である著者が書いたもので、同紙の一面に連載された小説。これもThe Fist $20 Million is always the hardest同様、シリコン・バレーのハイテクベンチャーの顛末を描いたものです。こちらは技術者の生活、ではなくベンチャーキャピタリストの生活の側面、つまりハイテク産業の舞台裏を描いたもの。
シリコン・バレーというと、本来メキシコ系の人やら、インド系、ベトナム系、中国系等々、いろいろな人種の有能な人々のるつぼです。そこでこの本では、メキシコ系の女性Mariaが主人公。
電子メールでいかがわしいチャットをしていた技術者のラップトップパソコンが突然火を噴くところから話しは始まります。犯罪捜査には日系女性警官も登場。
事業は予想もしない展開となりますが、あとは読んでのお楽しみ。 シリコン・バレーの「なんとなくクリスタル」版という雰囲気も多少あり、単なる名士、名所の陳腐な羅列だ、といって非難する向きもあるかもしれません。あるいは、ハイテクベンチャーの狂乱怒涛の真っただ中に入り込んだような気分になれるかも。
(1997.4.14記 )

Amazon.co.jpで購入することができます。


[ファイルの始めに][英語の本目次 (カテゴリ別)][日本の本][Macでロシア語Internet Topページ]

microserfs


microserfs

Douglas Coupland著
ReganBooks刊
1995年
定価$13
ISBN0-06-098704-9


The Last Best ThingやThe First Million is always the heardestの先駆にあたる小説です。本書の第一章は、 あのWiredの2.01号に掲載されました。原文
主人公ダニエル・アンダーヒルがPowerBookにうちこんでいる日記という形式。

Microsoftで働く若者たちが、会社を辞めてレゴのような三次元ゲームソフト開発の会社を作り、シリコンバレーに集団移動します。ボディビルダーあり、ゲイあり、さまざまな趣味の、スタートアップ企業で働くこの若者たちの仕事や、暮らしぶりがいきいきと描きだされています。 Microsoftに残ったAbeとは、電子メールでやりとりを続けるという趣向で、綴りが間違えだらけの電子メールが効果的におかれています。 Microsoft vs. Appleという対比がよくされますが、121,122ページには、双子を見ているような両社の比較表があって、1997のできごとも不自然でないような気にされられます。かってはシリコンバレーの王者のようだったAppleが、オラクル等に買い占められるという噂で、株が急騰したり、というどこかで見たような光景も。
若者のそれぞれが育った家庭環境、 子どもの時の趣味は何だったのか等、まるで、報道番組を見ている雰囲気。主人公の父親はリストラで退職した元IBM社員という設定で、アメリカで中高年はどんな目にあっているかが描かれています。一方、母親は元気な司書で、インフォメーションハイウェイ記事の切り抜きをしてくれたり。

面白くて読み始めたらとまりません。 最後は、一種メロドラマ的な結末になりますが、これも、一種のコンタクト。アメリカのOS、ソフトの恩恵をうけているものとして、実際に開発に携わる人々のドキュメンタリーのつもりで読んでしまいました。
なお、題名のMicroserfs、迂闊にも、パソコン世界をサーフィンと思いこんでいましたが、serfは、サーフィンのsurfではなく、農奴なのでした。来る日も来る日もソフト開発に明け暮れる開発奴隷達ということでしょうか。
作者は『ジェネレーションX』(角川文庫9788)で有名な人。同じ著者による『ライフアフターゴット』『シャンプープラネット』は、違和感があって読み始めるのに苦労しますが、この本は別。

(1997.9.21記 )

バベル・プレスの「洋書ハンターズ」2フィクション編、97/12/12刊の20ページに、この本の紹介があるのに気がつきました。...このオタクたちの言葉もぜひ原文で味わっていただきたい。という上岡伸雄さんの記事。今日寄った八重洲のブックセンターにもおいてありました。
(1998.1.27記 )

やっと翻訳がでました。題名が小さく、腰巻きにある「さよならビル」というのが題名に見えてしまいますが、ともあれ嬉しいことです。
マイクロサーフス
角川書店
江口研一訳
1800円
ISBN4-04-791303-0

(1998.11.8記 )

Douglas Coupland関連リンク

Amazon.co.jpで購入することができます。


The Nudist on the Late Shift


Nudist in the Late Shift

Po Bronson著
Random House
1999年
定価$25.00
248ページ
ISBN0-375-50277-7


「シリコンバレーを抜け駆けろ!」という邦題の日本語訳も出たThe First 20 million is always hardestの著者Po Bronsonによるシリコンバレー現状報告。
The First 20 Million is always hardestが楽しく読めた向きには、その実話編ということで楽しめるでしょう。

奇異な書名ですが、夜になると裸になってプログラムをするという、書名通りの伝説のプログラマーの話がでてきます。夜中になると服を脱いで、仕事をするプログラマーが、時間を勘違いして、早い時間に服を脱ぎ、裸のまま廊下を歩いて女性に見つかって大騒ぎになってしまった、というお話。それでもそのまま働きつづけられるというところがシリコンバレーです。

以下は、章立てと、その概要。

新参者各地からやってくる夢大き新参者たちの群像
IPOある会社のIPO騒動の顛末
企業家信じられないほど強い信念をもった企業家
プログラマーゲームソフトにまつわるプログラマーたちの苦闘
営業マン実体のないソフトを売り歩く人々の苦労話
未来学者ジョージ・ギルダー密着ルポ
ドロップアウト12000年まで動き続ける巨大時計建設を夢想する青年
革命は終わったか業界周辺でいきる様々な人々の姿

1999/8/29記

「シリコンバレーに行きたいか?」という題名で、翔泳社から(2000/9/19?)、翻訳が刊行されました。

2000/9/20記

Po Bronson関連リンク

Amazon.co.jpで購入することができます。


[ファイルの始めに][英語の本目次 (カテゴリ別)][日本の本][Macでロシア語Internet Top]