Timothy Harper著
McGraw-Hill刊
1999年
定価$24.95
ISBN0-07-026700-6
副題は、Crime, Corruption,and One Man's Pursuit of Profit in the New Russia
モスクワで、アメリカビールの流通会社を始めたアメリカ人Rick Grajirenaの体験談です。
正確には、彼の体験談を、ジャーナリストTimothy Harperがまとめたものです。
ロシアにアメリカ人が行くと、旅の恥はかきすてとばかり、すっかり開放的になって恥も外聞もなく飲み過ぎてしまうことが多いそうです。それをモスクワマッドネスというようです。
もともとはヨットの帆を作る会社を経営していたのですが、ロシアのヨットの帆を作ったことから、ロシアに親近感を持ち始め、とうとうペレストロイカと同時に、ミラービールの流通会社を始めます。
とはいえロシアの商売、なかなかうまく行きません。輸入したビールが、港で凍り付いてししまったり。あるいは樽の生ビールを輸入しても、ロシア人は装置を洗浄しないために、味が落ち、泣く泣く洗浄専門を係りを雇ったり。あるいは最高のシーズン前に、倉庫が崩れてパニックになったり。
アメリカであった人に紹介されて、モスクワで、彼のいとこにあうと、問題は全部解決してやる、という名うてのマフィア。
はらはらしながら、どういう展開になるのかとページをめくり続けました。まるでスリラーのようだ、という書評もみられます。
あれこれの顛末から会社経営から離れた現在も、Grajirenaは、ロシア、東欧向けのコンサルタントとして生活しています。
私も、大昔ナホトカ港にシステムを輸出し、設置した経験があります。
ところが、システムを設置すべき建物がいつになってもたちません。
建設が進んだので見に来てくれ、といわれて横浜からはるばるバイカル号ででかけます。現場についてみると、完成したといわれる建物には、ケーブル配線用の床もありはしません。「早い建設を祈る」と、港に停泊している船の中で大宴会を開いて頂いて帰国するという繰り返しでした。
今はまして、彼のようなめげない前向きな人物でないと、ロシア相手の商売はすすめられないのでしょう。
彼を含め、ロシアビジネス関係者の方に脱帽。
1999年10月17日記
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