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James A. Michenerの本


James A. Michener著作リスト


The Bridges at Toko-ri


大昔に読んだような記憶がぼんやりあっても、まったく内容を覚えていないので、改めて読み直したものです。わずか126ページ。ミッチェナーの小説では最も短いものかも。展開も他の分厚い著作とは違って早い。あっというまに読めます。
本書を書くにあたって、空母に離着陸する戦闘機に著者は実際に搭乗したようです。
主人公ブルベイカー中尉の戦闘機、敵弾を浴びて、二月の海に着水する。ヘリコプターで彼を助けるのがマイクとネスター。マイクが日本で恋人キミコ(映画では淡路恵子)をめぐる乱闘騒ぎを起こして取り押さえられ、MPに彼を引き取りにブルベイカーが久しぶりに会えた妻や子をおいてでかけるくだりがあります。
「身内が戦争で死ぬ」という事を想定していなかった司令官タラントの妻は、二人の息子を失ってから精神に異常をきたし、廃人同様になっています。あの国で幹部が今同じような目にあっている可能性は皆無でしょうが、司令官タラント少将やブルベイカー中尉の言葉には重いものがあります。タラント少将は一人呟きます。"All wars are stupid."

1953年にかかれたものですが、横須賀の米軍をめぐる光景、どれほど変わったのでしょう?ミッチェナー、44ページで横須賀を大絶賛。アメリカの認識も、日本側の対応も50年以上そのまま。首相の選挙区というのも実に象徴的。さすが小説には、殺人や、交通事故やら、住居不法侵入等までは書いていないけれど。
映画(1955)にもなっていて、主人公ブルベイカー中尉はウイリアム・ホールデン、妻のナンシーはあのグレース・ケリーが演じています。

空母、艦載機の標的が、朝鮮のみならず、アフガニスタン、イラク、イランに拡大している現代、本書の内容はいまだに生命を保っているのです。映画がDVDで発売されているのに翻訳本がない不思議さ。なにしろ憲法改変後は人ごとではなくなるのですから。
当時の日本での米兵と日本女性の恋愛を焦点に書いた本がSayonara。これも映画化されていてDVDもある。ある種Sayuriの先駆といえるのかもしれません。
あら筋は下記をどうぞ。結末まで書いてあるのでご注意を。

トコリの橋 キネマ旬報DB 

Amazon.co.jpで、本を購入することができます。


Caravans


Caravans James A. Michener
Fawcett Books (本書が書かれたのはなんと1963)
価格$7.99
ISBN: 0449213803

アフガニスタン人と結婚したアメリカ女性が行方不明になり、在カーブルアメリカ大使館の情報担当官が、必死で彼女の行方を探すというお話。
キルギス邦人誘拐事件が起きたときに、この本を思い出し、あわてて注文して読みました。読みながら終始、個人的なイスラム諸国体験を思い出していました。
読み終えてしばらくすると、インド航空乗っ取り犯人がカーブルでタリバーンと交渉。テレビに映る空港風景を見ながら、またもや本書を思い出したものです。

原理主義的な宗教人の振る舞いや、ぞっとする死刑方法などの記述を読むと、わずか一週間ほどのイラン体験や、知人にみせられたクエートの公開絞首刑写真を思い出します。
テヘランで、ホテルの受付の男性は、壁に描かれた巨大なホメイニ像の方を向いて、「困ったものです」というように肩をすくめました。イラン航空では、お酒がでず、のめず、もちろんテヘラン市内滞在中も禁酒。帰国するまでつらい思いをしました。
若いOLの髪や手足を覆う布をはずすと予想もしないあでやかな髪型、服装に息をのんで見とれたのは、テヘランの商社事務所での思い出。

さて本書、エリート層は皆、欧米で留学生活をしており、彼らによって、やがては近代化するかも、という調子で話は終えます。しかし30年たってみると決してそうなっておらず、時間は止まったままのようで、むしろ今の情勢を描いているのではと思えてしまいます。
アメリカとロシアの援助競争の話もあって、そのながれからすると、ロシアのアフガン侵略も、寝耳に水の出来事でもなさそうです。
大陸を移動して生活する様々な部族が年に一度集まる行事の様子は壮大。

題名の由来でしょうが、彼らが部族で移動しながら、周囲の人々の財産を奪って去ってゆく様子の描写を読んで、今度はマドリッド空港でパスポートを盗まれた体験を思い出しました。話の中では、主人公の情報担当官、公用車を丸ごとそっくりばらされ、盗まれてしまうのですが。

アメリカ人女性の奔放な行動に腹をたてる一方、アメリカ留学体験をもつアフガニスタン人を気の毒に思いつつも、異文化中で主人公の冒険と恋愛がどうなるのかはらはらしながら、あっという間に読んでしまいました。

一口にイスラム教国といいますが、わずかな経験からすると、かなり多様な感じがします。
研修でおつきあいしたオマーン通信省幹部たちは、豊島園でジェットコースターに乗ったとき、「初めて心から『アラーの神よ』と叫んだ」といって爆笑したものです。原理主義とはおよそかけはなれた柔軟な人々でした。
地中海に面する某国ホテルでは、アラブ通信連合の総会に集う各国幹部相手に懸命に装置の説明をしている私に向かって、平然と流し目をくれる商売風女性すらいました。
一方その隣国では、通信省にゆくと大変な数の若い女性がひしめいているのに、街には現役女性の姿が皆無。街の大通りのベンチで男性同士手をつないで座っているカップルを多数みかけました。
自転車、バイクにまたがった青年が群がっている建物もありました。女子寮かなにかだとのこと。「出入りする女性の姿を一瞬でもいいからみたい」という男性心理、よーくわかりました。それに加えて、街の看板はアラビア語、ホテルでの会話はフランス語、息苦しいことこのうえありません。仕事を終えヨーロッパの空港に出て、女性も存在する風景をみて酸欠状態がようやくおさまったような気分になったものです。そうした多様なイスラム世界の中でも、この本の時代のアフガニスタン、かなり厳格な部類なのでしょう。

余談ばかりですが、ともあれ本書、冒険談を読みながら普段は触れない異国文化を味わえる作品ではあります。

2000/01/08記

バーミヤン石窟の仏像がとうとう破壊されたというニュースをききながら、またこの本を思い出したのです。1963年の本を昨年読んでも、決して旧いと思えなかったのでした。日本語の翻訳本が無いのはつくづく残念。

2001/03/05追記

Amazon.co.jpで、本を購入することができます。

1963年の原作を、1978年に映画化したもの。
英語版DVDでようやく見ました。
Digitally Remasteredと書いてあるが、原版をデジタルで加工したのではなくって、ビデオを、スクリーンか何かに映したものを、デジタルで撮影しなおしたという雰囲気。暗い画面、たとえば夜の場面などは、きわめて見にくい。
とはいえ、ケースの画にあるほど、ぼやけた画面というわけではありません。

アメリカで今売られているこのDVD、subtitleも何も入らない。英語の音声だけ。したがって、英語字幕なしでも平気でない方にはお勧めできません。
異国情緒たっぷりのサウンドトラックだけのおまけはついているのはありがたいのだけれども。なぜか耳に残るメロディー。

あの国の雰囲気の一旦だけでも味わえるようにと考えたのか、ロケはイランで行われています。

原書に近い筋の展開ではメリハリがないと思ったのでしょうか、端折ったというべきでしょうか、筋はかなり変えてあります。
映画をみてから念のため原書を拾い読みしましたが、当然ながら原書のほうが深みがあります。

昨年刊行されたStephen J. MayによるMichenerの伝記には、ヘミングウエーの息子の夫人で、ヘミングウエーの秘書であったバレリー・ヘミングウエーが前書きを書いています。その中で、彼女は、"Caravans"は今こそ読まれるべきだというようなことを述べています。全くそのとおり。こういう本の翻訳はなく、映画も日本語では見られません。

悪貨は良貨を駆逐するということなのでしょう。

映画音楽が耳に残るので、作曲家名を見てみました。 Mike Batt
下記のページに詳しいが、読んで驚きました。
George Orwellの"Keep the Aspidistra Flying"を映画化した"Merry Wars"も作曲しています。世の中狭いのです。

「素晴らしき映画音楽作家たち」のBatt
2006.2.2。追記


Hawaii


かなり昔に購入した「ハワイ」というペーパーバックを、ようやく読み終えました。 典型的なジェムズ・ミッチェナー本で、とにかく長い。とはいえ、飽きずに読まされました。

まるで地学のような太古の時代の説明から始まり、古事記のような展開となり、やがてアメリカの宣教師の一団が渡来し、中国からさらわれた貧しい少女が、そして広島出身の日本人が、ハワイの中で育ってゆきます。

中国からさらわれた女性が、さらった男の現地妻となり、さらにハンセン病を発病した夫にともなって姨捨山のごとき僻地に同行するくだりは圧巻。

農業用水の灌漑、コーヒー園、パイナップル。ハワイ王朝と日本の皇室の関わりや、日系人部隊など、後半の展開のほうが巻頭の古事記のような話よりはるかに面白い。

読みながら「アロハ・オエ」或いは「ハワイの結婚の歌」が頭のなかで鳴ることが頻繁。 今も「ハワイの結婚の歌」が頭の中で聞こえているような気がします。 ハワイ土着の人々は楽しく歌って暮らすばかりで、騙されて資産を失ってゆきます。

宣教師達の一族が、産業、商業、政治を握り、ついには、王制を廃して革命を起こすにいたる様を読んで、徳川のキリシタン禁制は正しかったのかもと思わされました。もう一度鎖国を!

しかし明治維新そのものが、ハワイと同じで、アングロ・サクソンにあやつられた政変でしょう。さらにはアングロ・サクソンの代理?で日露戦争をさせられてのぼせ上がり、結局はアングロ・サクソンと戦うにいたり、とうとう属国となり、金も血も絞り取られ続けているのが現代の姿でしょう。それを考えれば、我々の運命もハワイ土着の人々とさほど大差なさそう。

かつて二巻の翻訳が刊行されたらしいのですが、webで探してもあまり見あたりません。

ハワイは仕事でわずか二日ほど滞在したことがあるだけ。会議に参加し、海水浴もせずに終わりました。アラモアナ・ショッピング・センターで昼食を、海岸沿いの瀟洒なレストランで夕食を食べたことしか記憶にないのです。 この本を読んでからでかけたら、町を見る目が多少は違っていたかも知れません。 翻訳の復刊を望みたいものです。

ジュリー・アンドリュースが主演したビデオがDVDにもなっているようです、これだけの大作を三時間でどうまとめたのだろうかと気になっています。DVDの方がビデオよりかなり短くなってしまっているという苦情があるようです。

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映画化、一本ではとうてい無理なようで、小説を元に映画は二本作られている。前半の宣教師夫妻と、女性支配者の話題に焦点をあてたものが1966年制作のHawaiiという映画。ジョージ・ロイヒル監督。マックス・フォン・シとドージュリー・アンドリュース主演。素晴らしいできと思いますが、原作はさらに素晴らしいのでは? DVD版、元の長さ189分を161分に短縮しているといいます。

信じられないほどの生命力と智恵の持ち主、客家女性Nyuk Tsin, 通称Wu Chow's Auntie (演じるのはTina Chen)の大活躍は、1970年制作の続編Hawaiiansで見られます。パイナップル王役を演じるのはチャールトン・ヘストン。なぜかアメリカ版DVDはないようで、当面スペイン製造版を購入するしかありません。それでも、音声・スーパーは英語選択可能ゆえ不都合はないでしょう。
(2006.2.8追記)


Sayonara


アテネ市街を歩きながらギリシャに詳しい同僚が教えてくれたことがあります。 「ビーチ・サンダルをギリシャ語で『サヨナラ』というんだ。そういう名前の映画があったっていうよ。」

ミッチェナー原作のSayonara、朝鮮戦争時、アメリカ名家出身英雄パイロットが、婚約者がいるにもかかわらず、日本の歌劇スターとの恋に落ちてしまうという話。
ミッチェナーの作品ではTexasやCaravans、Sourceなど感心して何冊か読んだのですが、Sayonaraだけはいただけませんでした。ペーパー・バックの表紙がいかにもという絵柄。

Space、Iberia、Hawai、Polandといった長編作品が翻訳されているのに、このSayonaraさすがに翻訳はないのかも知れません。戦後日本の観光振興上、相当効果はあったでしょう。
映画ではエリートの戦闘機パイロット、グルーバー(マーロン・ブランド)が部下の恋愛(日本人女性カツミ役はナンシー梅木)をとりもち、さらに自ら婚約者がありながら、歌劇団スターのハナオギ(高美以子)と恋愛に落ちる。
同僚の話があったので、どこかで英語版VHSビデオを買って、いつビーチ・サンダルが登場するのかと画面をじっと見た記憶があります。(今はDVDもでています。)
「写ったのはビーチ・サンダルではなく、舞子姿の女性が履く草履だった」ような気がします。

Webを探しても、「ギリシャのビーチ・サンダルの『サヨナラ』の語源は、ミッチェナー原作のSayonaraだ」という記事は見あたりません。

本当の所はどうなのだろう?
この本の現地版、つまり朝鮮戦争の現場を主に書いたものにThe Bridges at Toko-Riがあるが、何せ昔のこと記憶は皆無。

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映画(DVD)で再確認しましたが、草履の大写しはありませんでした。ただし、小説を読み直してみると、204ページにありました。これが語源だということにはならないのだけれども、うろ覚えの「草履」というのは当たらずとも遠からず?(全部で208ページだから最後の部分だ)主人公グルーバーのセリフ。 I stood helpless and then saw in one corner of her room a zori that she had forgotten.映画は小説とは大分違います。やはり原作の方が良いようで。日本人と結婚した兵士をあっという間に本国送還するのと同様、犯罪を犯した兵士が素早く本国送還される現代、還暦になるほど年を経ても、Sayonara時代と変わらず占領状態なのには感心します。
ところでカツミ役でアカデミー助演女優賞を得たナンシー梅木という女性、本来ジャズ・シンガーでCDも。伊藤整、小林多喜二の出身地、小樽出身。

(2006.2.8追記)


The Source


購入したのは何と1987年。昨年読み始めたが380ページあたりで中断。
この夏、気を取り直して読み始め、やっと最後の1088ページまで辿り着きました。

長い長い宗教弾圧と虐殺の歴史から現れる壮大なイスラエル建国物語ということでしょうか。
遺跡発掘の土地を舞台に、発掘順と逆に遺跡の下層から上層に向かって物語は展開します。
三大宗教発祥の地に生きた人々の歴史だが、ヨーロッパやロシアも舞台です。

トルコ統治時代の土地買収交渉の章が余りに冗長で、その部分を読むのに何日かかったか記憶にありません。
最初に書いてあった、狂言回し役の考古学者達のロマンスの経緯も、最後の章を読む時点ではすっかり忘れてしまっていました。日本語で読めたらどれほど楽だっただろうと思います。
調べてみると「小説人間の歴史」という題名で、河出書房から「三冊」本の翻訳がでています。
中野好夫他訳、1967年刊。(原書は1965年刊。)
古書をWeb検索してもほとんど見かけず、図書館データベースでも見つかりません。
私立大学の図書館にあったりするようですが、アクセス不可能なのが残念。
デジタル版を廉価で出してもらえないものでしょうか。

アメリカとイスラエルの密接な関係はよーく分かります。ミッチェナー作品中、アメリカで最も読まれている本のようです。さもありなん。
イスラエルとアメリカを、バチカンとカトリック教徒に例える記述はうまい物だと感心。

困難だが「明るい」未来を作りたい、という結末、65年当時の願望でしかなかったのかと残念。
その後40年間の展開が、結末の雰囲気と大きく違ったのは作者の罪ではないのでしょうが。

異教徒と間違えて同じ宗教の人々を誤って大量殺戮する「十字軍」のすさまじさ。
「宗教は剣呑」なのではあるまいかと、無宗教者は思うばかり。
長い長い宗教弾圧と虐殺の歴史は、そのまま継続している。拡大しているというべきでしょうか。
結末の雰囲気と大きく違う現状こそ、むしろ本書の素直な延長に思えてくるのです。

アマゾンでの書評は絶賛に近いが、イスラム諸国で本書は販売されているのでしょうか?
その場合どのような評価になるのか大いに興味をそそられます。

宗教、「百害有って一利無し」なのではないだろうか、と貧しい一庶民は思うのです。
日本の現状も宗教を信じる人の議席が圧倒的多数。

「地獄への道は善意で敷き詰められている。」

http://www.samueljohnson.com/road.html

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Tales of the South Pacific


ミッチェナーのTales of the South Pacific(未読)を元にした古典ミュージカル「南太平洋」をDVDで始めて見た。見る前から「バリハイ」のメロディーだけはしっかり覚えています。噂に違わぬ名作。
「人種偏見」問題を取り上げていることは承知していましたが、歌にまでなっているとは知りませんでした。ミッチェナーの考え方をそのまま歌ったような内容にびっくり。時代を考えれば実に大胆な歌詞。

従軍看護婦のネリー・フォーブッシュは、島の農場主エミール・デ・ベックと恋に落ちます。彼の妻は現地の女性で二人の子供をもうけたあと、亡くなっています。
水上飛行機でやってきたケーブル中尉も、島の娘と恋に落ちます。
ネリーもケーブル中尉も、「人種偏見」から相手との「結婚」に踏み切れず二の足を踏みます。
農場主の申し出を受け入れられず、「感情的なもので」といってネリーは逃げ去ります。
そこで、農場主が「偏見は生まれつきではあるまい」とケーブル中尉にいうと、
ケーブル中尉が、「偏見は生まれつきのものではありません」といって歌い出すのです。
You've got to be carefully taught
「念入りに吹き込まれたんですよ」とでも訳すべきでしょう。

適当に訳してみるとこんな内容です。

憎しみと恐れは吹き込まれたものですよ
繰り返し吹き込まれたんですよ
小さな耳に焼き付くまで叩き込まれたんです
念入りに吹き込まれたんです!

恐れるように吹き込まれたものですよ
目の形が違う連中を
肌の色が違う連中を
念入りに吹き込まれたんです!

手遅れにならないうちに吹き込まれたものですよ
物心がつくやいなや
身内が憎む連中は皆憎むように
念入りに吹き込まれたんです!
念入りに吹き込まれたんです!

近くは、韓国、北朝鮮、あるいは中国、遠くはイスラムの人々などに対する関係もこの歌詞と無縁ではなさそう。歌詞では、さすがに「誰がどうやってその偏見を吹き込むか」は語りません。

「真実の報道ではなく、真実を隠し、偏見を吹き込むのが仕事。
巨悪を追うのではなく、目くらましするのが仕事。怪しい背景を知りながら
○○エモンを担ぎ上げておいて、土左衛門にするのが民放・大新聞の仕事。」
と、オーウェルならいったでしょうか?

You've got to be taught to hate and fear
You've got to be taught from year to year
It's got to be drummed in your dear little ear
You've got to be carefully taught

You've got to be taught to be afraid
Of people whose eyes are oddly made
And people whose skin is a different shade
You've got to be carefully taught

You've got to be taught before it's too late
Before you are six, or seven, or eight
To hate all the people your relatives hate
You've got to be carefully taught!
You've got to be carefully taught!

現代でもアメリカではコマーシャルで流れたりしているといいます。
http://www.roots-int.com/S-T/16/bbs.html

映画「南太平洋サウンド・オブ・ミュージック二枚組がお得かも?「南太平洋」について詳しくはこちらのウェブが参考になります。

オリジナルの「南太平洋」、画面が暗かったり、褪色していたりするのがいやであれば、2001年のテレビ版ISBN 0-7888-2987-4が良いかも。オリジナル版を見た後では、配役がどうもしっくりしないような気はするものの、画面はクリア。テレビ版のお買い求めはアメリカDVD通販サイトでどうぞ。主演女優はグレン・クローズ。

Amazon.co.jpで、オリジナル版DVDを購入することができます。


Talking with Michener


ジェームス・ミッチェナーの対話本を読みました。

彼の作品、途方もない長編が多く、しかも何故か翻訳されていないことが多いので、苦闘しながら読んでいます。
一方、本書Talking with Michenerは、友人の作家、Lawrence Grobelが準備した質問リストに対し、ミッチェナーが率直に答えたもの。必然的に、一つの話題についての文章は短く、テーマにそって全体が区分されているので、読みやすい。何より率直な回答につい引き込まれました。大作を読むより先に、こうした本を読んでおく方が、一種勢いがつけられるようにも思えます。
わくわくさせられるアフガニスタンについての物語、Caravansを1963年に書いた彼、「パキスタンに亡命したアフガニスタン人を助ける組織の会長になったのは、生涯の過ちだった」と言います。
質問の中には、例のビルのかつての爆破事件や、オクラホマ・シテイの爆破の話に触れて、そうしたテロリズムは特例だったのだろうか、というものまであります。
ミッチェナーは、1971年に書いたThe Driftersの中で、そうした連中の登場をすでに予見していた、と答えています。

はっきりかきすぎる為に、大作の多くは当初、冷酷な扱いをうけたといっています。
「ポーランド」を書いたために、ポーランドに暫く入れなかったが、結局は、招待されて大歓迎されるに至りました。
「Covenant」は、南アフリカの情勢を厳しく描いたため禁書になったが、結局解禁になりました。
古代からイスラエル建国までの、あの地域の歴史を描いた「The Souce」も、学者連からは非難囂々だったが、結局は、イスラエル観光客招致に非常に寄与したと認められているといいます。この本を書くのに、ヘブライ語、ロシア語がわからないのは辛かったとも書いています。ユダヤよりも、よほどイスラムに詳しいのに、イスラムについての本を書かなかったのは残念だ、と。読者としても、大変に残念。ユダヤとイスラムの和解が思うようには進まなかったことを著者は惜しんでいます。Sourceの結末の未来に対する明るい希望は、完全に裏切られてしまったわけで。

彼はノーベル賞の選考委員でもあったのですが、「日本の作家では、三島を押したのだが、川端に決まってしまった。しかし選考委員会は後悔しているだろう。」というのにはびっくり。

詳細な索引がついており、読み終わった後、ある件について、何と言っていたか確認したい時など、便利です。一種のミッチェナー簡略事典のように利用できそう。日本の本ではこうした作りのものは殆ど見かけません。
アメリカの暴力を好む体質に対する反省も率直。ただし、あたかもあの「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を思い起こさせるような、日本についての買いかぶりだけはどうしても頂けないのです。

Amazon.co.jpで、本を購入することができます。


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