金曜日は計3回のフリー走行セッションが設けられましたが、チームテスタスポーツのハイライトはなんといっても朝の第1セッションでしょう。
ハーフウェットの路面コンディションの中、9時25分から始まったこのセッション。
78号車には伊藤選手が乗り込み、私達WW2メンバーの到着とほぼ同時にコースインしていたのですが、その後路面状況が好転したことから、セッション後半にドライタイヤへ履き替え、残り20分というところで再度コースインします。

スリックタイヤに履き替えてコースイン
ちょうどその頃、バタバタとPIT内TVモニターのアンテナ接続が完了したので、早速私はタイミングモニターの表示に注目します。
ところが、いつものようにモニター下半分のスクロール表示中の列に目をやっても78番の数字が見当たりません。「まさかトランスポンダーを付け忘れたわけではないだろうに・・・」と思いつつ画面全体を注意深く見渡してみると、なんと78号車は総合7位、ST3クラスの1位として画面の上半分に固定表示されていました(!)。
思い起こせば過去にも、計時セッション開始直後の刹那(笑)、78号車が一瞬この位置に表示されたことはあったのですが、セッション途中で各マシンが周回を重ねている中、そこに居座り続けるのを見るのは初めてのことでした。
今回は余程スリックへの交換タイミングが良かったのか、伊藤選手がマークした1分44秒407のタイムで、その後も10分近く、私達のマシンは総合7〜8位、クラス1〜2位の順位をキープ、モニター上半分の特等席に留まり続けたのでした。
すでにセッションは終盤のため、タイヤ交換を見送って引き上げるマシンも見られましたが、タイヤ交換を行なったマシンは軒並み大幅なタイムアップに転じ、ST1/ST2クラスの台頭によってST3クラスのマシンの大半が総合11位以下のスクロール表示組へ移動。
当然ながら78号車も夢のような好位置から陥落していったのですが、それでも最終的にはST3クラス16台中6位、総合でも出走37台中16位という好ポジションでこのセッションを終了することになりました。
実際には、コースの一部がウェットというリスキーな状況下で目を吊り上げて走るマシンなどなく、まさにウォーミングアップ的なセッションであったわけですが、それでもタイミングモニターの上方に表示されるとなれば、チーム関係者にとって気分が悪かろうはずはありません。
私達は年1回だけのエントリーで、S耐界での認知度も極めて薄いはず・・・。それでもしぶとく毎年参戦を続けている78号車の存在を思い出してもらうために、このちょっとしたサプライズは、挨拶代わりのパフォーマンスとして十分だったのではないかと思います。
スーパー耐久 専有走行(第1回) リザルト
【ST‐3クラスのみ抜粋;順位は総合順位】
◆8月31日(金) 天候:曇り◆ |
8.#333 H.I.S.
◆ings◆Z |
1'42.525 |
― |
10.#113 カルラレーシング☆ings北海Z |
1'43.059 |
+0.534 |
11.#27 FINA
GSX ADVAN M3 |
1'43.490 |
+0.965 |
13.#41 SABOTAGE Z |
1'43.966 |
+1.441 |
14.#70 マジック
スポーツ RX-7 |
1'44.274 |
+1.749 |
16.#78 WW2 RX-7 |
1'44.407 |
+1.882 |
17.#16 バウフェリス.
7 |
1'44.472 |
+1.947 |
19.#74 アラビアンオアシス Z |
1'44.873 |
+2.348 |
22.#39 BENELOP
ADVAN NSX |
1'45.536 |
+3.011 |
23.#
7 アメニティホーム・エクセディ RX-7 |
1'45.794 |
+3.269 |
25.#15 岡部自動車
eeiA ディクセルZ |
1'46.241 |
+3.716 |
27.#43 Shinto
ARP M3 |
1'46.716 |
+4.191 |
28.#19 バーディクラブ☆TC神戸 Z33 |
1'47.331 |
+4.806 |
33.#100 SANWA
TK ARP
M3 |
1'51.856 |
+9.331 |
35.#14 協新マイロード岡部自動車RX7 |
1'53.879 |
+11.354 |
36.#55 BOLD
MOTOR SPORTS |
1'54.636 |
+12.111 |
のっけから嬉しい話題をチームに提供してくれたタイミングモニター。
しかし、レース中これとずっと向き合うことになる私は厄介な問題に直面していました。
実は今回、モニターの情報表示形式がマイナーチェンジされていて、従来であれば単に「A」「B」「C」だけだったドライバーの表示に、なんとフルネームの漢字表示が併記されていたのです。
もちろんこれは本来は表示の進化と評価されるべきもの。例えば瞬時にドライバーの名前を叫びたい実況アナウンサーや、リラックスしてモニターを眺めるゲストさんにとっては大変気の利いた配慮といえます。
しかし、かなりの幅を占める漢字表示列が左側に挿入された結果、一行内の文字密度が増し、左端の「順位&車番」表示と、右端の「LAPタイム&ディファレンス」表示との体感的な距離が離れてしまうことになり、このため、絶えずスクロールされゆく中位以降のマシンの情報を瞬時に確認することが極端に難しくなったのです。
経験者なら判ると思いますが、特定の列の情報を完全に読み切る前に一段スクロールアップされてしまうと、目で追うのにエラく神経を消耗してしまいますが、今回は一段とその頻度が増した感じです。
とくにST3クラスは16台が大挙エントリーしていて、かつ、各車が比較的近い順位で連なって表示されると予想されるので、決勝レース中の作業の煩雑さを考えると、大変に頭の痛い話でした。
来年あたりは静止画面機能付きのデジタルモニターが本気で要るかもしれません。
スーパー耐久 専有走行(第2回) リザルト
【ST‐3クラスのみ抜粋;順位は総合順位】
◆8月31日(金) 天候:晴れ◆ |
13.#27 FINA
GSX ADVAN M3 |
1'41.282 |
― |
15.#74 アラビアンオアシス Z |
1'41.646 |
+0.364 |
16.#
7 アメニティホーム・エクセディ RX-7 |
1'42.155 |
+0.873 |
17.#14 協新マイロード岡部自動車RX7 |
1'42.313 |
+1.031 |
18.#41 SABOTAGE Z |
1'42.368 |
+1.086 |
19.#113 カルラレーシング☆ings北海Z |
1'42.475 |
+1.193 |
20.#19 バーディクラブ☆
TC神戸 Z33 |
1'43.208 |
+1.926 |
21.#333 H.I.S.
◆ings◆Z |
1'43.595 |
+2.313 |
22.#100 SANWA
TK ARP
M3 |
1'43.699 |
+2.417 |
23.#15 岡部自動車
eeiA ディクセルZ |
1'44.115 |
+2.833 |
24.#43 Shinto
ARP M3 |
1'44.189 |
+2.907 |
25.#39 BENELOP
ADVAN NSX |
1'44.260 |
+2.978 |
26.#70 マジック
スポーツ RX-7 |
1'44.559 |
+3.277 |
27.#16 バウフェリス.
7 |
1'44.659 |
+3.377 |
28.#55 BOLD
MOTOR SPORTS |
1'45.015 |
+3.733 |
29.#78 WW2 RX-7 |
1'45.497 |
+4.215 |
スーパー耐久 専有走行(第3回) リザルト
【ST‐3クラスのみ抜粋;順位は総合順位】
◆8月31日(金) 天候:晴れ◆ |
11.#74 アラビアンオアシス Z |
1'41.123 |
― |
12.#19 バーディクラブ☆
TC神戸 Z33 |
1'42.050 |
+0.927 |
13.#
7 アメニティホーム・エクセディ RX-7 |
1'42.052 |
+0.929 |
14.#113 カルラレーシング☆ings北海Z |
1'42.186 |
+1.063 |
15.#333 H.I.S.
◆ings◆Z |
1'42.253 |
+1.130 |
16.#41 SABOTAGE Z |
1'42.374 |
+1.441 |
17.#14 協新マイロード岡部自動車RX7 |
1'42.609 |
+1.486 |
18.#15 岡部自動車
eeiA ディクセルZ |
1'42.891 |
+1.768 |
19.#78 WW2 RX-7 |
1'43.165 |
+2.042 |
20.#39 BENELOP
ADVAN NSX |
1'43.255 |
+2.132 |
21.#43 Shinto
ARP M3 |
1'43.338 |
+2.215 |
22.#70 マジック
スポーツ RX-7 |
1'43.825 |
+2.702 |
23.#16 バウフェリス.
7 |
1'44.438 |
+3.315 |
27.#55 BOLD
MOTOR SPORTS |
1'44.857 |
+3.734 |
28.#100 SANWA
TK ARP
M3 |
1'45.144 |
+4.021 |
.#27 FINA
GSX ADVAN M3 |
― |
― |
最後の3回目のセッションでもクラス9位に喰い込み、キラリと光るパフォーマンスを見せた78号車ですが、その一方で気になるマシントラブルを抱えていました。
ひとつはデフからの異音発生。
これは1回目のセッションですでに伊藤選手から報告されていたもので、問題は音だけに止まらず、肝心のデフの効きまで弱まってきているとのこと。
デフのトラブルはここ最近経験していないので、その原因が部品の経年劣化なのか新しいADVANタイヤによる入力の増加なのかは不明ですが、何れにせよ交換に踏み切らない限りは事態は改善されそうもありません。
チームは急遽広島から交換部品を取り寄せることを決め、かなり早い段階で手配をかけました。現地でのトラブル発生はできることなら避けたいものですが、起きてしまった時にこうしたスクランブル体制が敷けるのはやはり地元の強み。スポット参戦組のためS耐ソサイエティの中で孤独を感じることの多い私達ですが、他のチームにはない地の利はとことん活用していかなくてはなりません。
もうひとつのトラブルは過大なエンジンオイル消費。
聞けば、その兆候は事前のテスト走行時からあったそうで、現状は1時間あたりで0.5L近くオイルが減ってしまう計算とのこと。これではとても500kmの長旅になど挑戦できる状態ではありません。
こちらの原因究明は難航し、完全解明には至りませんでしたが、マシン下面にオイルの漏れ跡がないことから配管系統は異常なしと判断、とりあえずチームはターボチャージャーを疑ってみることに。
使用実績のある中古の予備パーツへの換装を決定しました。
予備車検やチームブリーフィングを挟んで、夕刻近くに中古品のデフがパドックに届けられると、チームは早速交換作業に着手します。
明日土曜に予定されている走行セッションは公式予選の15分×2回のみで、その前後に一切フリー走行枠は設けられていません。このことは、部品交換後の様子見走行ができないまま、いきなり本番のAドライバー予選に臨むことを意味しますが、それも致し方ありません。確実な脱着作業と入念な確認を積み重ねていくのみです。

次第に暗がりに包まれる4−Aピット
私達WW2は交換作業の現場を傍らで見守りながら、必要に応じて積極的に手を差し伸べていきますが、そのうち克ちゃんとT−eMさんはリアサスペンション周りの復旧作業を申し出て、左右に分かれて黙々と作業を開始。
こうなると私も手伝いたい衝動に駆られますが、自信のない素人が親切心で手を出して問題を起こしては元も子もないので、ここは慎ましく自重し、本来の持ち場である情報整理に徹します。
各チーム・各ドライバーのタイムの把握分析はもとより、公式通知や大会規則の再確認、決勝に向けたPIT内レイアウトのチェックから作業人員の配置検討、さらにはチームメンバーやゲストへの伝達事項の整理など、最前線の作業場から一歩下がってチームを俯瞰すれば、懸念事項はいくらでも出てきます。
そもそも私は、チームオーナーやドライバーにマシンセッティングやドライビングといった本業に少しでも集中してもらえるよう、それ以外の雑多な調整事項や検討項目を引き取り、最適な環境づくりをすることが自身の役割と理解しています。
よって、傍目には大して動いてないように見える私も、じつは人知れず頭の中はオーバーヒート寸前だったりするのです(笑)。
そうこうしているうちにガレージの外はすっかり闇の中。19時が過ぎ、20時が過ぎ・・・隣り合うチームの灯りもひとつまたひとつと消えていきます。
やがて22時間近となり、楽しみにしていた宿泊先の温泉施設のタイムアウトが確定。と同時に、メンバー12人分の食事確保の問題が急浮上。
急遽、私と克ちゃんで最寄りのコンビニに買出しに出ることになりましたが、ここまで2時間半の睡眠時間で頑張ってきた私はすでに思考回路が半停止状態。闇夜の中ハイエースバンを駆るキャブオーバー使い・克ちゃんの手馴れたハンドル捌きに身を任せ、私は助手席で半分気を失っていました。
その後、JR吉永駅近くのローソンに押し入ったつなぎ姿の怪しい2人組の男は、陳列棚に残る弁当を片っ端から買い占める大胆な営業妨害をはたらき、23時過ぎに再びパドックに帰着。
もし皆が私達の帰りをじっと待っていたら・・・と帰途も気持ちは焦っていたのですが、そんな心配をよそに、依然としてメンバーはまだ作業の真っ只中でした(@_@)。
最終的にはサーキットの守衛さんに促され、ゲートが施錠される直前の23時45分、チームはパドックを抜け出して宿へと向かいました。
大芦高原にあるチームの常宿までは約20分のドライブ。日付も変わった頃に、WW2メンバーを乗せたフレンディで駐車場まで行き着いた私には、疲れや眠気を上回る大きな大きな安堵感が去来しました。正直、ここまで気力を振り絞ってマイカーのステアリングを握り締めたのは久しぶりのことでした。
さて、明日の夜は一旦何時に帰ってこれるのでしょうか・・・。
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