<旧車シリーズ 838>


MAZDA T1500 (TUB81)


 
東洋工業のオート3輪で、1〜1.5トン積みクラスをカバーする専用モデルが登場するのは、1956年秋のCMTB型からである。CMTBで型は7尺/8尺の2種類の荷台長さを設定し、最高出力31.5psの空冷V型2気筒OHV・1005ccエンジンを搭載した。これが1957年秋から「丸ハンドル+鋼製密閉キャビン」のMAR型へフルチェンジし、途中、改良版のMBR型を経て、1959年から水冷4気筒OHV・1139ccエンジンを搭載するT1100へ進化する。荷台長さはT1100から8尺のみとなった。
 この時点で最高出力は46psまで向上していたが、次いで1962年、小型車枠の拡大に伴い、2トン積みクラスからUA型・1484ccエンジンを譲り受けてT1500となると、そのスペックはCMTB型のほぼ倍に相当する60psに達した。T1500はエンジン換装の他にも、燃費向上を狙ったファイナルギアの変更や、パワートレイン系の剛性向上、リアブレーキの2リーディング化など、メカニズムに細かい改良が加えられている。型式名称は1トン積みがTUB81型、1.5トン積みはTUB85型で、低床荷台は一方開きと三方開きの2種類を備えた。


 
T1500の登場はNo.829に続いて2度目ですが、この個体は荷台形状の違いに加え、稀少な丸型ミラーを備えた超・初期型として新たに紹介しました。運転席側ミラーの装着位置がフェンダー部ではなく、フロントドアサッシとなっていることが超・初期型の最大の特徴で、私はこの車両も含めて僅か2台しか撮影記録がありません。
 その他にも、外観からは判断し辛い細かな仕様の違いがあると思われますが、これらは今後の研究課題にしたいと思います。


推定年式:1963
撮影時期:2004年7月
撮影場所:福岡県福岡市東区西戸崎 日本の名車歴史館にて