<旧車シリーズ 828>


DAIHATSU HS6型


 
大阪に本拠を置く発動機製造は、昭和に入るとオート3輪用のエンジン製造に着手し、1930年には4サイクル空冷単気筒サイドバルブ・498ccエンジンを搭載する試作車・HA型を完成、翌1931年3月から改良版のHB型で販売を開始した。
 1931年6月に登場したHD型では、駆動方式をチェーン式からシャフトドライブ式に改め、業界初の差動装置も導入し、既存メーカーと一線を画す技術力の高さを印象付けた。発動機製造は瞬く間にオート3輪のトップメーカーとしての地位を築き、その後、馬力向上のために670cc/750ccエンジン搭載車も追加していった。当初、発動機製造のオート3輪は、日本エアブレーキ社との共同開発から「ツバサ号」という名称でも販売されていたが、1933年に両社の提携が解消されると、同年に発売されたHT型からは全面的に「ダイハツ号」を名乗ることになった。1934年には従来の500kg積み車に加え、1トン積み車も登場させている。
 写真のダイハツ号(HS6型)は、最高出力6.7psを発生する670ccエンジンを搭載した500kg積み車で、500ccから750ccまで揃えた当時のダイハツ号ラインナップの中核を成すモデルといえる。


 
写真のようなキャビンレス時代のオート3輪、それも戦前のモデルとなると、参考資料を集めるのにもホントに一苦労です。実をいうと私は、ダイハツのH型シリーズからS型シリーズへの移行時期がよく判っておらず、オート3輪好きとしてはお恥ずかしい限りです・・・(汗)。
 それはともかく、バタバタという空冷単気筒の賑やかなエンジンサウンド(ノイズ?)も含めて、実際に走行する姿を一度見てみたいものですね。


推定年式:1935
撮影時期:2000年9月
撮影場所:広島県福山市北吉津町 福山時計自動車博物館にて