<旧車シリーズ 816>


DAIHATSU RKM10型


 
昭和30年代に入り、オート3輪は装備の高級化を進め、4輪トラックとの格差を急速に縮めていった。ダイハツ号では1955年にヘッドライトを2灯化し、1956年にはキャビンサイドに半ドアを追加、そして同年秋には丸ハンドルのRKO型(2トン積み)が登場する。同時にキャビンデザインも大幅に洗練され、旧来の後付けカウル的なイメージは完全払拭された。
 ダイハツ号初となった丸ハンドルはバーハンドル並にステアリング位置が低いのが特徴で、正面からはハンドルが全く見えない。1957年には1.5トン積みにもこの丸ハンドルが展開され、半ドア付きの新型車・RKM型として登場する。強制水冷の90度V型2気筒OHV・1135ccエンジンは最高出力35psを発生し、4速のトランスミッションを介して70km/hの最高速を得ていた。この当時、ライバルのオート3輪はまだ空冷エンジン搭載車が主流で、水冷式はオリエント(直列2気筒)やヂャイアント(水平対向2気筒)に見られる程度であった。
 ちょうどこの頃、ダイハツのオート3輪は販売台数が過去最高を記録し、生産のピークを迎えていた。いよいよ翌1958年からは完全独立密閉式キャビンを備えるPL/PF/PM/PO系が登場するのである。


 
ルックス的にはダイハツ号の最終進化形であるCO型/CM型に通じる立派な面構えですが、前に紹介したSKD型と同じく、このRKM型はキャビンがまだ完全独立化されておらず、キャビン後面は透明のビニールで仕切られているに過ぎません。半ドアに追加されたサイドスクリーンも然りです。
 じつは撮影当時、私はこの個体の車高の低さに「いつものダイハツ号とは少し雰囲気が違うなぁ」程度の印象しか持たなかったのですが、現像後によく観察してみた結果、キャビン構造の違いなどから、大変貴重な過渡的モデルであることが判明したわけでした。


推定年式:1957
撮影時期:2002年5月
撮影場所:石川県小松市二ツ梨町 日本自動車博物館にて