<旧車シリーズ 809>


NEW−ERA SUPER


 
1924年(大正13年)、日本で無免許で乗れる小型自動車に関する法令が定められた。全長2.4m以下でエンジン排気量は350cc以下という、事実上「オート3輪」の定義となったこの規定に沿って、それ以降数々のオート3輪が登場していった。が、それらはエンジンを輸入して調達し、溶接フレームで車体を構成して仕立てた簡素な造りのものであった。
 1927年にイギリス製JAPエンジンを搭載した「ニューエラ号」を発売した秀工舎は、財閥系企業の日本自動車鰍ニ提携し資本強化を図り、念願だった自社製エンジンの開発に着手する。そして1929年には空冷4サイクルの350ccエンジンを完成させ、その後に小型自動車枠が拡大されると、ボアアップ版の500ccエンジンを登場させた。
 このエンジンにはJACという呼称が与えられ、鉄道局による公的評価で輸入エンジンと同等の性能を発揮すると実証されたことが評判となり、のちにダイハツやマツダが本格参入する以前に、ニューエラ号は先進的な国産オート3輪として確固たる地位を確立したわけである。


 
このモデルの登場直前まで、ニューエラ号の特徴は前輪スポーク/後輪ディッシュという独自のスタイルだったようですが、このスーパーからは全輪ともディッシュタイプとなっています。
 じつはこのスーパーの時点で日本内燃機製造と社名を変更しており、次いで1937年からは「くろがね」という新ブランドでオート3輪の製造を続けていくことになりました。くろがねの高い技術力イメージは、このニューエラ号に端を発したものなんですね。


推定年式:1935
撮影時期:1993年3月
撮影場所:富山県小矢部市 日本自動車博物館にて