<旧車シリーズ 807>


MAZDA GB型


 
オート3輪業界で2位の座に就いた東洋工業は1938年、従来のK型シリーズに代えてGA型をデビューさせた。GA型は排気量を669ccに拡大し、トランスミッションが4速に進化したというメカニズム上の改良だけに止まらず、将来の量産体制確立を目指して大型プレス機械を大量に導入した結果、ハンドルやフレームなどに鋼板プレス部品が多用され始めた注目すべきモデルであった。
 ほどなく戦時体制強化で軍需品生産へのシフトを余儀なくされたものの、終戦とともに東洋工業はオート3輪の生産を再開、1949年には戦後初のニューモデル・GB型をリリースした。GB型はGA型をベースとして出力および積載力の大幅向上を狙ったモデルで、新開発の単気筒SV・701ccのオールアルミダイキャスト製エンジンは最高出力15.2HPを発生した。エンジンとトランスミッションはロープレッシャーダイキャスト法を用い、アルミ合金で一体鋳造とされ、車体の軽量化に貢献している。最大積載量はGA型と変わらず500kg積みだが、荷箱寸法は拡大され、タイヤハウスも平面構成のものへ変更されている。


 
この時代のオート3輪は、2輪車が四角い荷箱を牽引しているようなスタイルでどれも似たり寄ったりに見えますが、マツダ号はフレーム形状が特徴的なのでわりと判別しやすいですね。GA型とGB型の見分けは結構苦労しますが、そのフレームと荷箱との結合位置が両車で異なります。GA型が荷箱のほぼ両端の位置で結合していたのに対し、GB型は随分と内側で結合しています。その理由が単に荷箱幅の拡大によるものか、あるいは小回り性を重視した改善の結果なのかは不明で、今後検証活動が必要になりそうです(笑)。

推定年式:1949
撮影時期:1988年7月
撮影場所:富山県小矢部市芹川 日本自動車博物館にて