大阪市では駅周辺の放置自転車問題を解決するため、昭和63年に「大阪市自転車等の駐車の適正化に関する条例」を制定し、平成14年2月現在、市内で112駅の周辺を放置禁止区域に指定し、放置禁止区域内では放置自転車の即時撤去を行うとともに、85駅において自転車駐車場の有料化を実施し、放置自転車対策の推進を図っています。しかし、放置台数は平成5年3月から微増傾向にあります。そこで、平成14年度よりその対策をさらに効果的に推進するため、以下の施策を実施します。
◆ 撤去保管料の改定 自転車1台あたり1,500円の撤去保管料を2,500円に、原動機付自転車1台あたり2,200円を4,000円に改定します。
◆ 料金格差実施駅の拡大と一時利用割引制度の導入 一部の利用率の低い定期ブロックで整理手数料を割引していますが、これを10駅追加し合計15駅に拡大するとともに、定期の料金割引をしているブロックでは一時利用の料金も自転車1台につき150円から100円に割引し、さらなる利用促進を図ります。
◆ 撤去強化駅の拡大(予算額2億300万円) 放置禁止区域指定駅で通常月3回即時撤去を行っていますが、放置の著しい駅のうち放置状況にあわせて一部の駅では撤去回数を増やしており、平成14年度も放置状況を考慮し、効果的な撤去回数の増強を図ります。
◆ 啓発指導員の配置(予算額3,800万円) 撤去の強化などの対策が困難な駅の周辺に指導員を配置し、道路上に放置しようとする自転車利用者への啓発・指導を行います。1駅に5人程度配置し、1日5時間程度啓発・指導を行う。
これらの対策により、道路上の放置自転車の減少を図り、通行の安全性を確保し、誰もが安心して通ることのできる道路環境整備に努めてまいります。
<撤去保管料の改定概要> 本市における自転車の撤去台数は昭和59年の70,000台をピークに減少し、平成5年には40,000台となった。しかしその後は微増傾向にあり平成13年3月の実態調査によれば、1日あたり47,500台の自転車が放置されている状況にある。これに対し平成12年度で年間約26万1,000台の放置自転車の即時撤去を行った。
撤去された自転車を返還する際には、撤去保管料を徴収しており、現在自転車1台につき1,500円であるが、これは1台あたりに要する実際の撤去保管費用より低い。また、有料自転車駐車場の1ヶ月の定期利用料金(2,000円)よりも安く、放置抑制効果は十分とはいえない。そこで今後は、放置する者に原因者負担として実際に要する費用を負担してもらうとともに「放置は損」というインセンティブを与えるために、撤去保管料を値上げすることとした。
改定額は1台あたりに要する撤去保管費用を基礎として、他都市の状況も勘案し、自転車1台につき2,500円、原動機付自転車1台につき4,000円とする。これにより『放置するよりは自転車駐車場の利用を』という放置への抑止効果が期待される。
条例の改正を行い、自転車利用者への周知徹底を図るための猶予期間の後、平成14年10月1日より施行する。
(参考)
他都市の撤去保管料の状況(平成14年2月現在)
都市名 |
自 転 車 |
原動機付自転車 |
大阪市 |
1,500円 |
2,200円 |
京都市 |
2,300円 |
4,600円 |
神戸市 |
2,000円 |
4,000円 |
政令市平均 |
1,700円 |
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特別区平均 |
2,300円 |
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本市撤去保管料改定経過 S58 即時撤去開始 S60 撤去保管料徴収(自転車1,000円、ミニバイク2,000円) S63 撤去保管料改定(自転車1,500円、ミニバイク2,200円)
<料金格差実施駅の拡大と一時利用割引制度の導入> 昭和63年より自転車駐車場の有料化を実施し、出入り口付近に自転車が殺到して乱雑に置かれるなどの状況を解消し、駐車場内の秩序回復に努めてきた。
しかし駅に集まる自転車の多い駅のうち、駅から遠いなどの理由により利用率の低い定期ブロックがあり、平成13年度より、このような一部の定期ブロックで料金を割引して格差を設けて運営したところ、概ね利用率が伸びて好評であった。そこで平成14年4月から格差実施駅を10駅追加して計15駅に拡大することとする。
さらに、定期の料金格差を実施しているブロックにおいて、一時利用に対しても割引を導入する。通常一時利用ブロックは駅への利便性の高い場所に設置されており利用率も高いが、今回は利用率の低いブロックで一時利用の割引を行うことにより、既存施設のさらなる利用促進を展開し、放置自転車対策を推進していく。
整理手数料(現行→料金格差実施後)
定期利用
自 転 車
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(1ヶ月)2,000円→1,200円
(3ヶ月)5,700円→3,400円
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原動機付自転車
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(1ヶ月)3,000円→1,800円 (3ヶ月)8,500円→5,100円
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一時利用
自 転 車
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150円→100円
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原動機付自転車
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200円→150円
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(参考) 本市自転車駐車場整理手数料割引導入の経過 S.63
有料化実施 H.元 生活保護受給者、母子家庭への減額 H.2 身体障害者への減額 H.4 高齢者(65歳以上)、学生(高校生)への減額 H.13 料金格差 H.14 料金格差の拡大、一時割引導入
<撤去強化駅の拡充> 放置禁止区域指定駅で通常月3回行っている即時撤去を、放置台数が多く通行に著しい障害を起こしている駅については、大幅に撤去回数を増やし対策を強化している。この撤去強化の実施駅では放置率(※)が減少しているので、今後は放置が多い駅を中心に、自転車駐車場の利用率が低い、保管所の収容能力があるなどの条件を満たす駅で撤去回数を増やし効果的な撤去を行い、放置自転車対策を推進していく。
駅周辺の放置台数 ※ 放置率=
自転車駐車場利用台数+駅周辺の放置台数
<啓発指導員の配置> 放置の著しい駅については撤去回数を大幅に増やすなどの対策を講じ良好な通行環境の確保に努めている。しかし、自転車駐車場や保管所の容量が不足しているなどのため、撤去の強化が困難な駅については交通バリアフリーの観点から早急な対策が求められている。そこで、撤去強化の条件が整うまでの間、放置台数が多く早急な対応が求められる駅周辺に、啓発指導員を配置することとした。
啓発指導員は通行の障害となりやすい場所で自転車の放置をしようとする者に、不要不急の自転車利用を控えることや放置をしないよう呼びかけ、自転車駐車場に空きがある場合には駐車場への誘導などを行う。1駅につき5人程度配置し、1日5時間程度啓発・指導を行う。また、視覚障害者誘導用ブロック上や幅員の狭い道路上など特に危険な場所は重点的に指導し、道路の通行機能の確保に努める。
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