ウミウシの生態
はじめに
ウミウシといっても多くの種類がいて、異なった生態をしています。
特に種名や属名の記載がない場合は一般的な事柄を記載していますが、例外もあるかもしれません。
種や属ごとに異なる事柄は、なるべく種名や属名を載せて説明するようにしています。
●ウミウシの一生
・卵
種によって産卵の時期は異なります。多くの種は渦巻状の卵のうを産みます。
イロウミウシ科・クロシタナシウミウシ科はきしめんのような形、オオミノウミウシ科・ファセリナ科は
紐状の卵のうをしています。シロウミウシ・アオウミウシ・リュウモンイロウミウシ・ミヤコウミウシは白色、
マダラウミウシは黄色、サラサウミウシはベージュ色の卵を産みます。
下の写真はシロウミウシの卵のうです。
・ベリジャー幼生
産卵から孵化までの期間は、種や温度等の環境によって異なると思われますが
観察していると大体1〜2週間程度です。
産まれたばかりの幼生はベリジャー幼生と呼ばれ、浮遊生活をします。
ベリジャー幼生の特徴は、巻貝のような貝殻と繊毛に覆われた面盤という摂餌と運動を司る器官です。
多くの種のウミウシで、成長する過程で殻は脱ぎ捨てられます。
下の写真はシロウミウシのベリジャー幼生の顕微鏡写真です。
左下の写真ではベリジャー幼生に巻き貝のような殻が見られます。
また、殻の出口付近の体から繊毛が生えているのも観察できます。
この繊毛は移動や餌をとるために使われます。
右下の写真では殻が割れてしまっていますが、非常に脆い殻です。
右下写真のベリジャー幼生の体の上半分の部分をよく見ると2つの触角があるのがわかります。
ベリジャー幼生時代には、成体と異なる餌をとります。微細藻類などを食べるようです。
・変態
浮遊生活を過ごしたあと、変態し着床します。
なかには幼生時代に餌をとらずに変態するものや卵塊の中で変態を済ませてしまう種
もいるようです。変態後に食べる餌が出す分泌物に誘発されて
変態をすることで、餌の近くに着床することができる種類も多い。
・交尾、産卵
ウミウシは雌雄同体なので、同じ種類のウミウシが2匹いれば交尾・産卵します。
ウミウシは、目が利かないので視力に頼って交尾相手を探すことはできませんが、
相手の這い跡に残された粘液を頼りに交尾相手を探します。
ウミウシの交尾は、体の右側面にある互いの生殖管を結合させて行います。
相手からもらった精子を自分の卵子に受精させるだけでなく、栄養源として
吸収することもできる種類もいるそうです。
一回の交尾で複数回産卵ができるようです。
●ウミウシの生活
・餌
ウミウシは特定のカイメン・ヒドロ虫・コケムシだけを食べるなど、餌が特殊です。
それゆえ、飼育が難しいと言われています。
以下は文献等で調べたり
水族館で聞いたウミウシの餌です。
(内容については確認をしていません。なにか情報をお持ちでしたら教えて下さい。)
・オカダウミウシ・・・ウズマキゴカイ
・スミゾメウミウシ、ガーベラミノウミウシ・・・オウギミウヒドラ
・サガミミノウミウシ・・・センナリウミヒドラ
・ヒカリウミウシ・・・フサコケムシ(飼育下では、なんとオキアミも食べるそうです)
・オオエラウミウシ・・・ウミウシ
・アオウミウシ、シロウミウシ、ニシキウミウシ、ミアミラウミウシ、(カドリナウミウシ)・・・カイメンの一種
・ミヤコウミウシ、ミカドウミウシ・・・イソカイメンの一種
・ムカデミノウミウシ・・・ヒドロ虫の一種
・アオミノウミウシ・・・カツオノエボシ、アサガオガイ
・イボヤギミノウミウシ・・・イボヤギ
・オトメウミウシの仲間・・・八放サンゴの仲間
・エムラミノウミウシ・・・ウメボシイソギンチャク
・メリベウミウシ・・・小型甲殻類(イソスジエビ、ハマトビムシ等)
・ベッコウヒカリウミウシ・・・フサコケムシ
・セスジイバラウミウシ・・・センナリコケムシ
・キヌハダウミウシ・・・ウミウシ
・イシガキリュウグウウミウシ・・・ウミウシ
・ミノウミウシ・・・センナリウミヒドラ(ヒドラの仲間、クラゲのポリプ)
・アワシマオトメウミウシ・・・シロアザミヤギ、ヨウラクヤギの一種
・ハナオトメウミウシ・・・アカザヤギの一種
・ホソジマオトメウミウシ・・・ホソトゲナシヤギ、トゲナシヤギの一種
・コノハミドリガイ・・・ホソツユノイト等の海藻
・ヒラミルミドリガイ・・・ミルの仲間
・タマミルウミウシ・・・イワヅタの仲間
・住処
イロウミウシ科、クロシタナシウミウシ科のウミウシは垂直またはオーバーハングした日陰の岩場で多く見ることができます。
ムカデミノウミウシは磯の日当たりのよい場所にいます。
メリベウミウシは岩の下に隠れています。
ヒラミルミドリガイ、イボヤギウミウシ、タマミルウミウシ等は、餌の上で擬態しています。
・移動手段
基本的には岩を這ってゆっくり移動します。
種類によっては、体をくねらせたり、側足を使って泳ぐウミウシもいます。
飼育下では水面に張り付いて、水流に乗って移動する姿がよく見られます。
・防衛手段
ウミウシは、貝殻を持たず、色彩も鮮やかなのに、なぜ食べ尽くされてしまわないのでしょうか。
ウミウシは、貝殻の代わりにたくさんの防御手段を身につけました。
岩の隙間や石の下に隠れる。餌のカイメンや海藻に擬態する。
体にカイメンの骨片をとりこみ、食べごこちを悪くする。
イソギンチャクなどの餌からとりこんだ刺胞を体に蓄える。
カイメン等の餌からとりこんだ毒を蓄える、またはより強力な毒に作り変え蓄える。
体の一部を自切して、逃げる。など防衛法のオンパレードです。
これらをひとつまたは複数備え、外敵から身を守っています。
しかし、これらの防衛法も完璧ではありません。
実験から生存率を上げることは確かめられていますが、
これらの防御法を備えていても100%の防御でないことが報告されています。
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