フランス語を習っているみなさんにはおなじみかと思いますが、parce
que〜 は英語でいうところのBecause〜と同じ。つまり「〜であるから」
という日本語に当たります。

queは接続詞でこのあとに(主語+動詞の文章)がくることを示します
から、読み進んでいくとちゃんとje +vauxという主語と動詞が発見でき
ます。
vauxはvaloir=to be worth=〜の価値があるという意味の動詞。
普通の文法では名詞または英語のit にあたる代名詞ilが主語に立ち、il
vaut bien〜で、「〜の価値が十分にアル」といういいかたで使われるこ
とがほとんどなんですが、この場合はjeという「私」という意味の代名
詞が主語になっていますので、直訳すると「私にはその価値が十分にあ
るから」という文章であることがわかりますね。

さて、ではその意味するところですが、このフレーズはロレアル パリ
の広告でドリームチームのメンバーが登場し、かならず最後に口にする
キメの言葉。

そのウラには「私がこれだけ歴史と信頼と技術のあるロレアル パリの
商品を選ぶのは、この私には、その商品に値する価値があるからなの」
という深い意味がこめられているのですが、たいがいの商品コマーシャ
ルだったら「その商品には私が選ぶだけの価値がある」といわせるとこ
ろを、ロレアル パリのこの一連のシリーズ広告は全く逆のアプローチ
をしているのです。

すなわち、女優、モデル、歌手、ミスワールド、など華々しいスポット
ライトを浴び、世界中の女性から賞賛のまなざしで崇められ注目されて
いるセレブリティたちのうち、ただ美しいだけではなく、自分の生きか
たに自信を持ち、自分の個性を大事にしている先進的な女性たちに「私
にはその価値があるから」といわせることによって「これだけの価値が
アル私だからこそ、ロレアル パリの商品が似合うのよ。これだけの価
値がある私たちだからこそ、ロレアル パリの商品をなんのためらいも
なく選ぶのよ」という強いメッセージが伝わるというわけ。そして、こ
のフレーズにはこのように、よいもの、質の高いものが自分で選び取れ
る女性にこそロレアル パリの商品を愛用してほしいのだ、という会社
側の考え方までが表されているのです。

ここからの引用)

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