パルケエスパーニャ

パルケエスパーニャ、って知ってる?
関西方面に住んでる人ならご存じですよね?
三重県の志摩磯部にあるテーマパーク、志摩スペイン村のことなんですよ。
大阪からだと上本町から近鉄特急で二時間十分、名古屋からだと一時間五十分、京都からだと二時間三十五分。志摩磯部駅から直通バスが出ています。日本の地理が苦手な人には、紀伊半島の東側、伊勢志摩国立公園のあたりだと言えばわかりやすいかな。
これから話す内容は、関西地方の人と、それ以外の地方にお住まいの人とでは、おそらく反応が違うと思います。何故かって?その理由は読んでいくうちに明かになるでしょう。

八月十日、僕は友人のM君と淀屋橋から京阪の急行に乗って京都の伏見に出かけました。午後九時頃のことでした。日曜日ということもあって列車のなかには通勤客はいませんでした。でも、この日はたぶん、どこかで花火大会でもあったんでしょうな。サラリーマンの変わりに浴衣姿のアベックがいっぱいいやがって、ふたりでラブラブ光線をそこら中にベタベタベタベタ出しまくって、まったく暑苦しいったらありゃしませんでした。車内は冷房が効いてるハズなんですけど、不快指数は2000くらいありましたな。
どうして他人のアベックはあれほどまでに不愉快センバンなんでしょうね。自分自身が女とイチャついてるときは快感指数10000くらいあるのにねぇ。
人間なんて勝手なもんですな。
さて。僕とM君は途中の駅でいったん電車を下りました。各駅停車に乗り換えるためにです。高架を渡って反対側のホームに向かったのです。野郎ふたりで歩く僕たち。一方では前を行く浴衣のカップル。くそー。オメーら、しあわせがいつまでも続くなんて思うなよ、なんちゃって、、、。
そのとき、構内の看板広告に大々的に出ていたのが、志摩スペイン村「パルケエスパーニャ」なんですよ。夏休みの時期だからリゾート施設も気合が入っているんでしょうな。本当に大きな看板だった。遊園地があって、世界最大のインバーテッドコースター(何が違うのかわからないが、ようするにジェットコースターのこと)が自慢らしく、拡大写真で解説されている。看板の横では、このテーマパークのチラシが配られていたわけだ。
今回取り上げるのは、このチラシのことなのだ。
ひとことで言えば、たいへんに優れた宣伝広告なのである。
おそらく真夏の海をイメージしたのであろう。雲ひとつない真っ青な空を背景に、大海原の上で2メートルのビッグウェーブを軽々と乗りこなすサーファーが描かれている。
いかにもって感じで、場面からはハワイアン音楽か、チューブの「情熱」でも聞こえてきそうである。真夏の海はこうでなくっちゃならない。しかも写真のサーファーは男性ではなく、女性だ。サーファーガールなのだ。このあたりにもコピーライターの明確な主張をかいま見ることができる。男と女とでは華やかさが違う。広告に採用するには人の目をひく女性のほうが適しているのは言うまでもないことだ。
宣伝コピーは『ノリノリ』。
赤のフォントでチラシ上部に大きく書き込まれている。
いいですねぇ。真夏。青空。大海原。ビッグウェーブ。サーフィン。女。『ノリノリ』。
日本も日本。国内も国内。三重県伊勢志摩の宣伝広告であるにもかかわらず、南国のリゾート気分を満喫させてくれそうではないか。
で、も、ね。
このサーファーガールがタダモンじゃないのである。いいか?本当だぞ。聞いて驚くな。
夏の着物にキリリと帯をしめて、両手でバランスとってる岩下志麻なのだ!
なめとったらアカンで、ワレ!
僕は目が悪いので、最初に遠くから見たときは盆踊りかなにかの広告だと思って、ヒマつぶしに手に取ってみただけなのだ。でもそれは「極道の妻たち」そのまんまの着物姿でサーフィンやってる岩下志麻だった。この意表をついた攻撃には本当に驚いてしまった。
テーマパークでは、数年前、東京の「としまえん」の宣伝コピー、『史上最低の遊園地』『来るんじゃなかった』に、感動して以来のインパクトの強さである。
「としまえん」には及ばないが「パルケエスパーニャ」も、そうとうにイイセンいってるじゃん。スペイン村だなんて、ヨーロッパだかメキシコだかを連想させるネーミング。ビッグウェーブの写真を使用して、ハワイか西海岸の海を連想させる広告。しかし現実は海外ではなく、日本の避暑地であることを忘れていない。和服の日本女性、岩下志麻を採用したことによって、「志摩スペイン村」は軽んじられつつある大和民族の魂を主張しているのである。ライターは「志摩」と「志麻」から、この優秀なコピーを発想したのであろうが、私は脱帽させていただきます。まいりました。

M君に言わせると、テレビCMバージョンの方がもっと強烈だそうだ。どうやって撮影したのか、「ビッグウェンズデー」ばりの波乗りを岩下志麻サンは披露するらしい。
でもこのCM、関西でしかオンエアされていないのだ。僕は帰省中、残念ながら見ることはできなかった。
たとえ秀逸な作品であっても、テレビCMは、商品を購入する対象から外れた地域ではお目にかかれないのが宿命か。必見の価値があるのだがなぁ。  

 「ノリノリやで!」 「ノリノリ」

志摩スペイン村へのリンクを追加したので、興味のある人は覗いてみてください。話題のテレビCMも
 ダウンロードすることができます。「ノリノリ編」です。


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上記文章において「パルケエスパーニャ」のCMに関して、

>M君に言わせると、テレビCMバージョンの方がもっと強烈だそうだ。どうやって撮影
>したのか、「ビッグウェンズデー」ばりの波乗りを岩下志麻サンは披露するらしい。

>でもこのCM、関西でしかオンエアされていないのだ。僕は帰省中、残念ながら見るこ
>とはできなかった。
>たとえ秀逸な作品であっても、テレビCMは、商品を購入する対象から外れた地域では
>お目にかかれないのが宿命か。必見の価値があるのだがなぁ。
  

などと、書いたら、関東にお住まいの方から、「そのCM、見たことあるよ」との指摘をうけました。
どうもすみません。
『関西でしかオンエアされていない』と、いうのは、マチガイだったようです。
私が、いかにテレビを見ていないかが、暴露されてしまいましたね。
お恥ずかしい。
事実誤認をお詫びもうしあげ、ここに訂正させていただきます。
もしかしたら、このCMは、北海道から沖縄まで、全国区で放送されている可能性もあり、「三重県伊勢志摩のCMは関西地方でしか放送されるハズがない」との私の自分勝手な思い込みから、各方面の方々に多大の不快感を与えたかもしれません。
かさねてお詫びもうしあげます。

それにしても、、、いや、なんでもありません。