標題: 小渕氏辞任が確定的に解散・総選挙の前倒しも
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 小渕恵三首相の辞任が確定的になったことで、衆院解散・総選挙
が前倒しされる可能性が出てきた。後継政権は一連の警察不祥事、
自由党との連立解消といった小渕政権の「負の遺産」を断ち切るた
めにも、有珠山噴火の災害対策や予算関連法案の成立にめどがつけ
ば、7月の九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)に本格的な態勢
で臨むために、「人心一新」を掲げて解散に踏み切るとの見方があ
る。新しい政権は総選挙に向けた「暫定内閣」の性格をもち、総選
挙では連立与党による過半数確保を目指すとみられる。ただ、与党
内には新内閣でサミットをまっとうし、解散・総選挙はサミット後
に先送りすべきだとの意見もある。
 政府・与党内には、一連の警察不祥事などの「逆風」で早期の解
散・総選挙は難しいとの見方が広がっていた。しかし、新内閣が、
サミット後まで解散・総選挙を引き延ばせば、医療保険改革関連法
案などの重要法案を控えた終盤国会は、6月17日の会期末まで、
野党側の出方次第では政府・与党の思惑を超えた展開になりかねな
い。
 こうしたなかで、早期解散の可能性が浮上しているのは、自由党
との連立解消をうけて野田毅前自治相ら自由党内の連立解消反対グ
ループが旗揚げした保守党との連立政権協議が比較的スムーズに進
む見通しが立ったことがある。また「過労がもとの病気による首相
交代」という不測の事態に、有権者の関心や同情が集まりやすとい
う読みもなくはない。自民、公明両党と保守党という新しい枠組み
で過半数を確保できるとみれば解散に動くこともありそうだ。
 森喜朗幹事長の首相就任が有力になり、新体制は首相官邸で青木
幹雄官房長官が留任するほか、自民党では総選挙の切り盛りを担当
してきた野中広務幹事長代理が幹事長に起用されるとの見方が出て
いる。
 7月に入れば、8日にはG7蔵相会合が開かれるなどサミットの
準備が本格化するが、予算関連法案が成立する大型連休明けにも解
散・総選挙を打てば、こうしたサミット関係の日程もぎりぎり間に
合うとの判断もある。しかし、与党内には、選挙戦と組閣などによ
る「政治空白」を懸念する声や、警察行政の見直し問題の見通しが
立たないなかでの総選挙は厳しいとの声もある。