セブンイレブンなど8社が電子商取引で新会社
コンビニ最大手のセブン―イレブン・ジャパンは6日、NEC、野村総合研究
所、ソニーなど7社と共同で、電子商取引(EC)を手掛ける新会社を2月をメ
ドに設立すると発表した。6月に物販・サービスなどを幅広く扱うホームページ
を立ち上げ、セブンイレブン全店(約8000店)で商品の受け渡しや決済が行え
る体制を整備。10月からは航空券や興行チケットの販売、音楽配信などが可能
なマルチメディア端末をセブンイレブン全店に設置する。EC分野で異業種の
大手企業同士が手を組むケースは初めて。携帯電話やデジタル放送などからの
接続も視野に入れており、国内小売業最大の店舗網を活用した新形態のEC構
築をめざす。(「ニュース解説」参照)
未来型「e店舗」構築めざす・セブンイレブンなどの新会社
コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンがソニーなど7社
と組んで展開する電子商取引(EC)は、約8000の小売店とインターネット上
の仮想店舗との相乗効果を狙っているのが特徴だ。サービスを提供するのはい
ずれも旅行、チケット販売など各業種でのトップ企業。さらにはグループで参
入を計画している自前の銀行をこれに連動させる構えで、ネットを通じた情報
提供からモノの販売、金融決済までを1カ所完結できる、未来型小売業の構築が
本格的に始まることになる。
「バーチャル(仮想)とリアル(現実)を融合した日本型ECを確立した
い」。6日の会見でソニー、JTB(日本交通公社)など出資企業のトップはこ
う口をそろえ「8社でドリームチームを形成した」と自画自賛した。新会社は当
初、旅行、音楽など8分野のコンテンツ(情報内容)を提供、1つの画面から総
合的にサービスを提供できるのが特色。情報提供会社は8社以外にも幅広く募
る。また店頭の情報端末や家庭のパソコン以外に、携帯電話やゲーム機などと
の連携も可能にしていく。
ECが進んでいる米国では、運営会社は小売業と経営主体が異なり競合関係
にあるのが一般的。セブンイレブンがめざす日本型ECは身近な店舗が決済や
商品受け渡しの窓口になることで、消費者の決済や物流への不安を払しょくす
るねらいだ。通産省の予測では、日本のEC市場は2003年には3兆円を超す見込
み。新会社は1日当たり770万人というセブンイレブンの集客力を武器に、2003
年に市場の約1割に当たる3000億円の取扱高を目指している。
新会社のサービスは約100平方メートルと狭いコンビニの可能性を広げるも
の。例えば、デジタル写真プリントサービスでは、客が撮影したデジタル写真
と好きなタレントとの合成写真を作成する。客がミニディスクを持参すれば、
楽曲を店頭の端末で録音でき、ジャケットも印刷可能になる。
また、セブンイレブンなどイトーヨーカ堂グループが銀行免許を取得できれ
ば連動する。当面、新会社が提供するサービスは店舗での現金払いやクレジッ
トカード、店頭に置いた情報端末機器に現金を投入するなどの方法で決済する
が、銀行免許取得後は、情報端末などで申し込むと同時に顧客の決済口座から
引き落とすことも可能になる。会員カードを発行することも検討している。鈴
木敏文セブンイレブン会長は「今回、新会社に出資したソニーと、銀行業務参
入で連携は考えていない」と話すが、コンビニを総合生活サービス拠点に発展
させたいという思惑では一致している。
コンビニのネット関連ビジネスは、ローソンが98年2月に全店に導入した情報
端末「ロッピー」が最初。興業チケットや航空券などの販売取り次ぎでスター
ト、投資信託など金融関連商品の販売仲介など取り扱う商品の分野を拡大して
いる。昨年末にはインターネットを通じCDやビデオの販売も開始。ファミリ
ーマートも年内に同様のサービスを開始する。最大手セブンイレブンは計画発
表でこそ後手にまわったが、提携する会社は“強者連合”で、事業開始と同時
に巻き返しにかかるねらいだ。