映画感想

映画感想99年1月




INDEX
劇場やテレビやビデオで観た映画の感想。具体的なシーンについて書いているネタばれな部分は背景と同じ色にしているので、すでに観た人は、カーソルでひっかいて反転させて読んでください。まだ観てない人は、反転させずに飛ばして読んでください。


「プライベート・ライアン」0105
壮絶な迫力だという絶賛の声と、凄いけど展開がバカスケだという声を聞いていたので期待してなかったが、あいやー圧倒されました。もちろん映像と音響と見せ方もそうだが、この展開の仕方は、そうとう練ってあるっすよ。バカスケな所は完全に意図しているでしょう。詳しく書くとネタばれ&長くなりそうなんで、キーワードだけ書いてメモとする。見てない人には全くの意味不明ですまぬ。回想のトリック(墓参りするじいさんが、回想シーンでは誰なのか?という部分で叙述トリック的な見せ方をしている)、いきなりの戦場シーン、無名性の犠牲者、ライアンの見つかり方、ドラマとしてのリアリティとドキュメントとしてのリアリティ、ER、虚無感、伏線、ドキュメントのフィクション性。
あと、シリアスなギャグというか、ギャグになりえるんだが、それすらも戦争の馬鹿さかげんを表したのだと言えてしまえそうなシーンが結構あって(たとえば弾なくなってヘルメットを投げ合うとか)、このへんのうまさにも、うなってしまう。うむー。

「トゥルーマンショー」
島すべてをセットにして、それがセットだと気づいていない主人公を生中継する番組。その主人公が、この世界はおかしいと気づきはじめる…という設定。よくできてます。小説なら筒井さんとか、そういったテーマを扱ったものがあったけど、映画で、これだけ正面きって扱ったものはあまりないのでは?

「黒い十人の女」
 女を尾行する女、その女を追う女、その後ろに女、廃墟と化したシャワー壁に集合する10人の女。その導入部のかっこよさで、もう引き込まれて、後は、ライティングと構図のかっこよさ、奇妙な展開と不思議な印象、独特の間と喋り、もうしびれまくりである。他の市川崑監督作品を見なくちゃである。

「スモールソルジャーズ」
バカちーんで良いです。この監督、いつもこのパターンで、おたく少年が結局もてたり、少女が嬉々としてソルジャーズぶっこわしたり。よしよし、俺だけはいつまでも応援してるよ、って思わせる力があるなり。

「ロストインスペース」
見終わって後の感想は「サントラ買いに行こう」。エンディングクレジットのところの曲が、脳天気に御機嫌な感じで最高。

「シックス・ストリング・サムライ」
試写。ええと資料から抜粋。エルビスのメロディが鳴り響くマッドマックス的世界に、ジェット・リーばりの技と子連れ狼ばりの殺陣を魅せるギターを持った渡り鳥がいた!核弾頭落下後の荒廃した世界。ロックンロール・キングになるためにギターと刀を振り回す荒くれ者どもは最後の自由の楽園ロスト・ベガスを目指す。って、この設定で、見るな!と言われても、見てしまう人は見よ! ロックンロール・カンフー・チャンバラ・ウエスタン!

「愛する者よ、列車に乗れ」
試写。複雑で1度ではちと理解できぬ。タイトル好き。

「犬神家の一族」0122
俺は震えておるよ! 市川崑監督作品! おお!
むちゃむちゃかっこいいっすよ、あぁ。たとえば回想シーン、2回あって。グレースケールにしてポスタリゼーションで4段階にしたような映像。8重ぐらいの残像が主映像を追いかける映像。と、見せ方が、もぉーちがうっすよ。きゃー。クレジットの明朝体の鉤型レイアウトもさすが本家。(「珠世の言ったことは本当だよ」「あ、あんたは誰!?」「アオヌマシズマ!!」)だとか、部屋で一人で犬神家ごっこをするしまつ。金田一が犯人と対峙するシーンの短いカットの連射もかっこいいし。(「スケキヨに会わせてください」 湖っ!) 観てない人は何のことやらわからんでしょうが、かっこいいよー。AとBの会話をBとCがしている様を、時間軸まぜてAとBとCで会話がつながる所とか。(岸田今日子が「わたしどものように目が見えない者のほうが、雑事に惑わされず幸せかもしれませんねぇ、ほほほほ」とか言うお琴の先生でねぇ、出生の秘密、顔の焼けただれた復員兵、巨大な財産をめぐる確執、ヒロインを守る雇い人の猿造、)うーん、おもしろかったっす。

「ワンダフルライフ」
泣いたっす。「鳩よ!」誌に書いたので、そちらを見てください。

映画感想

映画感想98年12月




INDEX
劇場やテレビやビデオで観た映画の感想。具体的なシーンについて書いているネタばれな部分は背景と同じ色にしているので、すでに観た人は、カーソルでひっかいて反転させて読んでください。まだ観てない人は、反転させずに飛ばして読んでください。


お引っ越し12/3NHKBS2深1:30
相米慎ニ監督作品。劇場で観てわけもわからず泣いた。今回テレビで観て、その時以上に泣いてしまった。なんなんだろう?  主演の田畑智子さんが両親の離婚を受け入れられない少女を素晴らしく演じる。(風呂に篭城して「なんで産んだん?」と叫ぶシーン。それを聞いた母ナズナの手が風呂場のガラスを突き破ぶるシーン。階段に座っている父に、がじがじに噛んだキリンの人形を部屋から手を出して差し出すシーン。橋の上にいる母に「はよう大きいなるから」と叫ぶシーン。ラストの自分に「おめでとうございます」と叫ぶシーン。)カットが長く、事実がそこにあるような印象が迫ってくる。隔てるもの。通じ合うための何か。受け入れる力。言葉にできないそういったような事が伝わってくる。

たどんとちくわ
キレた!っていう描写は、なんだかとても退屈で、あややぁって感じで、極彩色の血も、あれれぇって感じだったが、ラストの奇妙な突き抜けた感じは好き。そこだけは素直に笑えるし清々しい。妙に印象に残る怪作。

I WANT YOU
マイケル・ウィンターボトム監督の作品。好き好き好き好き好きーっ。むちゃむちゃかっこいいっすよ、これぞCOOOLってやつでしょ。詳しくは「鳩よ!」に書きますが、きっと何度も観てしまう作品になるでしょー。良いよー。撮影監督はスラヴォミール・イジャック。フィルターを使った同一色に染められた映像がぎゅうぎゅう心臓にきます。

IN&OUT
ゲイだとテレビで発表されてしまった教師をめぐるコメディ。詳しくはスティングページに書いたのでそちらを。

T-REX
アイマックスシアターっちゅー馬鹿でかいスクリーンで、しかも3D映像。破片が飛んできて思わず体、避けますねぇ、すごい。アイマックスシアターには、すげぇ可能性があると思います。

メリーに首ったけ
これも「鳩よ!」に書きましたので、そちらを読んでくんなせぇ。ええと、キャメロン・ディアス演じるところのメリーさんに首ったけな男たちが繰り広げる悪趣味コメディ。でも、けっこう良い趣味の悪趣味(^_^;)。身体障害のネタとか動物虐待とか下ネタがバンバンなんだけど、実はその扱いの繊細さは、そーとー計算されているか、根がそーなのか、どっちかでしょう。本当はそんなことはどーでも良くて、キャメロン・ディアスちゃん、むちゃかわいいです。らぶー。

コミック雑誌なんかいらない!12/14
ビデオで再見。芸能レポーター役の内田裕也が「恐縮です」といいながら突撃していく。夕焼けニャンニャン、松田聖子の結婚から、ロス疑惑、悪徳商法、航空機墜落などなど、当時の世相をぶちこんで、ドキュメンタリー的な味つけで、混沌と堕ちていく映画。好きだなぁ。自虐堕落モノを演じるとピカいち。ラストは、(取材陣に囲まれて、一言!とせめ寄られて、I can't speak facin' Japanese.である)。くーっ。

アベックモンマリ
ええと、喧嘩した夫婦がいて、それで仲直りする映画。登場人物はほとんど4人で、場所も数カ所で展開される。微妙な感情の揺らぎというか、揺らぎの中の感情というか、あああ、波乱万丈なことは起らないが、最後まで飽きさせず見せる力は面白い。こういったものは映画以外では表現しずらいだろうから、そういう意味でも面白い。あ、音楽なら少しできるかも、と今、思った。

「がんばっていきまっしょい」1226
田中麗奈主演の女子ボート部の青春ドラマであり、ちょっとそりゃないでしょってなシーンもあるのだが、やはり真摯に青春のがんばりを見せられると泣いちゃうのは、歳をとったからであろう。リーチェwithペンギンズのサントラも買ってしまう。真野きりなが素敵。ビデオ出たらもう1度見ると思う。

「ジャンプ」 手塚治虫氏のアニメ。自分視点で、徐々に高くジャンプするというアニメーション。平穏な田舎から都会、戦争、地獄と、あらゆる世界を1カットでぴょんぴょん跳ねながら見せてくれる。うーん、すげぇなぁ。