Food in the US #1

Food in the US #1

strange taste

 マクドナルド、ケンタッキーなどのファストフードが日常化し、アメリカ的食生活に違和感はないと思っている我々を驚かせるのが、その不思議な取り合わせである。
セロリにピーナッツ・バター、リンゴにキャラメル・シロップ、人参スティックにどろどろチーズ、ライスにシナモン・シュガー、、、むむむ。
 「ポークにアップル・ソース」「七面鳥にクランベリー・ソース」といういわゆる伝統の味も、実はよくわからない。秩序立てられた味覚の分類をかき乱されるような、困惑に近いものを感じてしまうのだ。この味をどのカテゴリーに置けばよいのかと決めかねて心は虚ろ、なんてことはないけど。
(Sept/00)

s'more

 アメリカ映画を見ながら疑問に思っていたことのひとつが、この「たき火でマシュマロ焼き」。正式名称は"s'more"というらしい。「もう少し(欲しいな)」という意味。ミネソタ到着の翌日、友人のcabinで体験し、長年の疑問が氷解した。写真は9月のある日、P家の庭でのスモア。
材料:

  • 普通の袋入り白マシュマロ
  • グラハム・クラッカー
  • チョコレート(ハーシーがよいかも)
 たき火用の棒はスーパーで、マシュマロ・スティック、ホットドッグ・スティックとして売られているが、もちろん小枝を使うこともある。炎の中にマシュマロを入れると焦げてしまうので、おき火でこんがり、が正しい。表面がきつね色になると中はとろとろ。これをグラハムクラッカーとチョコレートで挟み込んで食べる。熱い。甘い。なかなかおいしいものです、お腹が適度に空いていれば。
(Sept/00)

malt

「モルトを食べに行こうか」
と言われ、え、それは何?
モルトで有名。という店に行くと、
「フレーバーどれにするの?」
 娘はパンプキン、私はピーカンを選ぶ。しばらくすると運ばれてきたのは、大きなグラス入りのアイスクリーム、これにたっぷりと粉末のモルトがシェイクされている。
 maltとは麦芽のこと、醸造されたり蒸留されたりして、お酒にかわるんでしたね。牛乳成分を加えて加工したのがこちらのモルト。写真は某N社製。日本でも「麦芽飲料」商品が売られているけれど、あまり浸透していないのではないかしらん。アメリカには色々なフレーバーのデザート用モルトがあり、アイスクリームなどに加えられる。「モルトにする」と言うのは、モルト・シェイクのこと。
(Oct/00)

cookbook 1 Betty Crocker

 「アメリカを代表するクック・ブックは」と問われたら、Joy of CookingBetter Homes and GardenとこのBetty Crocker's Cookbookを挙げるのが正しいだろう。いずれも基本的なアメリカ料理のレシピ集であり、各家庭にはこのうちのどれかが置かれている。
 写真は私が購入したBetty Crocker(2000年版)と、ホストファミリーの主婦がお祖母さんから贈られた1970年版のBetty Crocker。レシピの並び方はほとんど変わらないが、現代版は脂肪分・塩分の摂取に神経質であること、様々な外国料理の影響が見られることなどに気づく。

 Betty Crockerというのは女性の名前であるが、実在の人物ではない。1921年、ミネアポリスのウォッシュバーンクロスビー製粉会社が、宣伝広告のために考え出した架空の女性である。イメージは合成写真で、75年間に各時代の「よき主婦像」Betty Crockerが何人も登場した。現在の写真は異なる人種75人の写真を合成して作られており、なかなかの美人である。
(Oct/00)
Betty Crocker社ホームページ
参考 Star Tribune, variety section10/11/00

cookbook 2 The Joy of Cooking

 先生用のカフェテリアでクック・ブックについて質問していると、家庭科の先生が「わたしはやっぱりJoy of Cookingが好きよ。」と言って貸してくれたのが下の2冊。分厚い'97年版と初版復刻版('88年出版)である。

左・The Joy of Cooking 初版復刻版(Scribner)
右・The Joy of Cooking 第3版(Scribner)

 初版の著者Irma von Starkloff Rombaurは1877年、セント・ルイス生まれ。ごく普通の主婦として過ごしていたが、思いがけない夫の死で生計を立てなければならなくなり、料理本の執筆を思いついた。最初のThe Joy of Cookingは1931年の出版。その後この本はfamily traditionとなり、50年代に娘のMarion Rombauer Beckerが改訂版(定価3ドル)を、その息子Ethan Beckerが76年の第3版を出している。
 復刻版冒頭には、Irmaの長男による回想がある。
「結婚した時には全く料理ができなかった、と母がうち明けたことがある。そこで、アウトドアの達人だった父が、母に料理の手ほどきをしたらしい。」
(Oct/00)

girl scout cookies

 ガールスカウトが活動資金を作るために、クッキーを売る。長い間続いているので、いつの間にか3月の恒例行事のひとつになってしまった。
 現在のクッキーはガールスカウトたちが焼くわけではなく、どこかのお菓子会社がバックアップしている。パッケージにはガールスカウトが印刷されており、一箱4ドルくらい。必ずしも安いとは言えないが、人々はこれを楽しみにしているらしい。 シナモン、カラメルなどがこのクッキーに特徴的なフレーバー。00年10月現在、その正体は不明だが、この話、とてもアメリカ的だと思いませんか。
(Oct/00)
 その後、映画『暗くなるまで待って』のセリフにこのクッキーが使われているのを聞いた。これを聞けば3月であることが分かるしくみ。

 02年春、ようやく手に入れたクッキー。箱には標語が書かれている。
 "Strong Values, Strong Minds, Strong Bodies, Strong Spirit, Strong Friendship, etc." ヴァージニア州にあるInterbreak Foods, Inc.という会社の ABC Girl Scout Cookie 部門が発売元だ。最近の映画では、『アイ・アム・サム』の中でも女の子がこの箱を抱えていた。
(Mar/02)

thanksgiving dinner

(1) (2)
(3) (4)
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roasted turkey with stuffing (dressing), ham, mashed potatoes, yams, sweet potatoes, gravy, corn, popovers or bread, salads, cranberries and pumpkin pie, apple pie, pecan pie
七面鳥のロースト・スタッフィング添え、骨付きハム、マッシュポテト、米南部サツマイモ(ヤム芋とでも呼んだほうがよさそうなオレンジ色のお芋のマッシュ)、サツマイモ、グレーヴィー(肉汁)ソース、トウモロコシ、ポップオーヴァー(膨らんだパン)か普通のパン、サラダ類、クランベリー・ソース、南瓜のパイ、アップルパイ、ピーカンナッツ・パイ
 伝統的な感謝祭のごちそう feast はおよそ上記のようなものらしい。
 11/23、P家では午後からのthanksgiving dinnerに備えて忙しい。今回集まるのはご夫妻両方の兄弟家族数組、子どもも入れると総勢23人。P家のご主人が長男だからホスト役をするの?、と尋ねたところ、兄弟持ち回りだそうである。メインのものはホスト一家が用意し、サラダなどはゲストたちが相談して持ち寄る。
 七面鳥は
(1)まず洗って、お腹の中にスパイス類を詰め込む。
(2)形よく焼くために回りに糸を巻く。stuffingまたはdressingと呼ばれる添え物をお腹に詰めて焼くこともあるが、P家では「べたべたし過ぎるから」別仕立てにするらしい。つまりお腹のスパイス類は肉の風味をよくするためのもの。添え物は同時にオーブンで焼いている。
(3)テラスの炉で焼かれるターキーちゃん。
(4)5分に一度くらい家長が肉汁を回しかけ、焼け具合をチェックする。正味一時間余り。
(5)じゅうじゅう、美しく焼けました。
(6)家長が切り分けたターキーとその他のごちそう。家長が肉を仕切る、というのがいかにもwesternである。
 一族はあーだこーだと話しながら、お皿にごちそうを乗せてゆく。(6)左下の赤いものが、なくてはならないクランベリー・ソース。ミネソタらしく、ワイルド・ライスの一皿を加える家庭もある。
 ところで、感謝祭での楽しみは、ごちそうのleftover(残り物)だということを数人から聞いた。ディナーの翌日、残ったターキーで作るサンドイッチは最高においしいんだとか。NBCのシットコムFriendsのエピソードにもありましたね。
(Nov/00)

Christmas cookies



 アメリカの家庭では、クリスマスに備えてクッキーを焼くらしい。クリスマス・ツリーや家のイルミネーションが終わった週末、人々は好みのレシピーでクッキーを焼く。ある家庭では数多くの種類を各2ダースくらい。またある家庭では、得意の一種類を何百枚も焼き、近所と交換したり、教会へ持ち寄って交換したりするらしい。
 写真は12月のとある週末、S家のキッチン。成長して独立した娘たちと友人が一緒に、次から次へと、10数種類のクッキーを焼いている。キッチンはバター、チョコレート、ココナッツ、ラムの匂いにあふれている。
 様々なアイシング(糖衣)もクッキー作りを楽しくしてくれる。一日がかりで焼かれたクッキーは、この後、クリスマスのちょっとした贈り物にもなる。
(Dec/00)


2000-02年


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