人生設計の必要性と手段・方法論について

かつては理想とする組織、家族像や人生の雛形というものがあり、それにそって自分の役割を果たすことが
「幸せ」と考えられていました。
従来の人生設計の考え方は、お金や仕事、あるいは資産といった目に見える「人生の諸要素」を高めていくことが
基本だったのです。
しかし、そうした目標が達成でき、さまざまな「人生の要素」が満たされたとしても、その人自信が本当に満足し
「よりよく生きられた」と感じることができるかは別問題です。
わが国では数十年前に比べ格段と便利になり、生活も豊かになりました。しかし精神的な豊かさはどうでしょうか。
現代は、物質的な要素にとらわれる傾向が依然根強く見られますが、同時に精神的豊かさを切望する声も強くあります。
物質的な人生の諸要素と精神的な満足という両方の要素をバランスよく満たすことがよりよく生きることに繋がるのです。
現在は、私達は一人の人間として自律すること、個人の確立を図っていくことが求められてきており、そのために、
人生設計が必要になってきます。誰かや世間の借り物でない、自分自身の目標をもち、可能性や能力を把握し、
具体的な目標を立て、達成に向けて努力していくことが、大切なのです。

人生設計の上で大切なことは、まず、しっかりした自分を作ることであり、自己をよく理解し、
どういった人生を送りたいのかという指針を持つことです。
そのためにも土台となる主体性を確立することが大切になってきます。
そのプロセスとして自己理解、自己意識、自己解放、自己受容、自己統合とステップを進めていきます。
そして明確なセルフをもち、意思の力によって自己実現していきます。主体性の確立を基に、
人生哲学.指針、ビジョン、目標、能力の4つの要素にそってライフデザインを構築することを通じて、
これからの人生における生き方や生きがいを探っていくのです。

その方法として、まず始めに、今までの生き方を振り返りながら、現在を含めた長期的な人生設計を考え、
ライフデザインで必要となる分野(個人生活、家族生活、仕事、社会活動)と活動を整理し、
今後どの分野で活動を増やしたいか考えます。
次に、将来直面するであろう問題を予想し、これからの課題を見つけ、問題点を整理します。
現在の棚卸ができたのなら自分に合った、人生哲学と指針を創造し、
将来の夢や構想のビジョンをはっきりさせます。
書物の中の文章、歌や映画のセリフや、他人から言われた言葉などまず自分がどのようなものに感動したり、
影響を受けたのかを考えることから始めます。
「座右の銘」を意識する、しないにしても、自分の価値観や人生観に大きな影響をもっています。
指針、ビジョンがはっきりしたら具体的な目標を設定していきます。目標を立てるためにはまず、情報収集をし、
「内容」「期限」「レベル」の3つの要素を吟味しなければなりません。目標は欲張らず自分で努力すれば
実現可能なレベルからスタートし、成功経験を数多く積むことが大切です。
何を学ぶにしてもちょっと大変と感じるくらいのレベルに挑戦し、ある程度の時間は、
我慢しないと学ぶ楽しさは得られません。

効果的に目標を達成する為に大切なことは、実行への決意と知識や技能、態度といった能力育成です。
口頭による自己宣言や文章による記述、身体的態度であらわすことは効果的な方法です。
注意すべきことは目的と手段を混同しないことです。
「現実的な問題」への取り組みである「課題」を考慮し、デメリットや予想される障害が多い場合には、
戦術的な目標をしっかり立てる必要があります。
能力育成には、インターネットや業界紙、口コミなど情報収集など自分にできる範囲でしていきます。
これによりよりよく生きるためのライフデザインは完成したといえます。しかしそれを実行していく力がなければ
意味はありません。その実行力となるのが意志の働きです。

意志の働きには、意図が発生する、熟慮する、選択し決定する、確言する、シナリオを作る、シナリオ実施の指揮と
6つの段階により構成されていて、順序をたてて実行しなければなりません。
6つの段階で一番弱いところが意志の強さになります。
また、自分自身の弱点となる段階を明らかにし、その弱点を克服することが必要です。
人生設計で大事なのは自分が自分らしく、納得して生きていける方法を常に捜し求めていくこと。
仕事においても私生活においてもその心構えをいつも持っていることが大切なのです。

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