(冊子)「高大接続」について

 この冊子は、高校と大学の接続、すなわち大学入試制度についての筆者の考察をまとめたものです。筆者が大阪府立高校の教員として初めて赴任したのは1978年です。その翌年の1979年度から共通一次試験が始まりました。従って、教職歴のほとんどをマークシート式試験による入試制度と共に歩んだことになります。筆者は、日本地球惑星科学連合に所属して同連合の教育検討委員会の立ち上げに関与した縁で、日本学術会議の理学振興研究連絡委員会(200312月〜200510月、委員長:江澤洋氏)の一員として、当時マスコミが盛んに取り上げていた「理科離れ」をどう防ぐかについての議論に加わりました。様々の対策が検討される中で、筆者自身は、マークシート式試験による入試制度(当時はセンター試験と呼ばれた)がある以上、理科離れ問題の解決は難しいだろうと思い至りました。そこで、委員会の中で意見を一にする人たちを募って、2008年に、センター試験が教育に及ぼしている影響を論じた「検証 共通1次・センター試験」を監修し、出版しました。その後、制度の見直しが検討されているのをニュースで見聞きして期待していましたが、初等・中等教育の改善に資すると期待されていた項目が全て破棄され、2021年度から「大学共通入学テスト」と名前を変えただけで、相変わらずのマークシートを用いた試験が実施されることになりました。何故、マークシート形式の入試から脱却できないのか。この問題を202010月ごろから考え、断続的にブログ記事として掲載してきました。ブログの記事は、「一鴨日記」➡カテゴリー「教育」で閲覧が可能です。1冊にまとめた冊子も用意しています。通して読んでくださる人は、下記の住所まで葉書等で「冊子・高大接続請求」と書いてご連絡ください。

 

連絡先:中井 仁(小淵沢総合研究施設)

住所:408-0041 北杜市小淵沢町上坂尾3332-126

電話:080-6112-5426

 

目次

(1)「高大接続」をめぐる議論の経緯

(2)公正とは何か

(3)論述問題とは何か

(4)高大接続改革は何故頓挫したか

(5)高校の定期考査の問題形式

(6)高校と大学の乖離

(7)思考力とは何か?

(8)いろいろな思考力

(9)基礎概念の教育の決定的な欠落

(10)断章

(11)大学の役割

(12)「文章指導」はどこから?

(13)文章教育に熱心な英国

(14)英国流文章教育:5歳〜8歳

(15)英国流文章教育:8歳〜12

(16)英国流文章教育:13歳〜15

(17)高校入試問題

(18)高校教師の役割

(19)記述式問題の導入は実現するか

(20)大学一般選抜試験の記述式問題

(21)再考「高大教育の乖離」

(22)学習を楽しむとは−「終わり」にかえて

 

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