使っている基本書

(*はローマ数字)

憲法民法刑法商法民事訴訟法破産法基本書についての考え方

憲法

芦部信喜 憲法(岩波書店)

現在の憲法学会の大御所の本です。改訂によって更に使えるようになりました。論点の説明が不十分だとの声もありますが、そう感じたら有斐閣リブレや同社から出ている憲法学1〜3(*)で補うことができます(有斐閣リブレは絶版だそうです。復刊すればいいのに〜。)。余裕があればいわゆる芦部三部作(現代人権論、憲法訴訟の理論、憲法訴訟の現代的展開)などの論文集も読むとよいでしょう(私は論文集は図書館で拾い読みした程度ですが。)。

樋口陽一 憲法(創文社)

いい本だとは思いますが、樋口先生の講義を受けていたとかいう人以外は司法試験に使うのはどうかなという気がします。

佐藤幸治 憲法(青林書院)

受験歴が長いのにもかかわらず、全部通して読んだことはありません。択一の模試の復習の時に参考に読む程度です。

民法

内田貴 民法1〜3(*)(東京大学出版会)

最近大流行の内田民法の本。判例の事案を中心に事例を積極的に活用して説明してあるので分かりやすい。

星野英一 民法概論2〜4(*)(良書普及会)

何と言っても大御所の本である。古いが、判例がたくさん引いてあるのがよい。内田先生の師匠の本。

平井宜雄 債権総論(弘文堂)

マイナーな本だが、結構便利。なぜなら、条文の趣旨と判例がふんだんに引かれているから。独自説のところでも、判例・通説の考え方を踏まえて書かれているので、結構使える本だと思うんですが・・・。

民法(8)(9)(有斐閣)

親族・相続はこの本か我妻先生のダットサンを使うのが一般的。筆者はまだ完全に読破したことがない。

刑法

前田雅英 刑法総論講義(東京大学出版会)
前田雅英 刑法各論講義(東京大学出版会)

今受験界を席巻している前田刑法の本。改訂されて論点漏れがほとんどなくなった。総論の考え方はすっきりしていて分かりやすい。ただ、各論で余りにも判例にひより過ぎているのではないかと思ってしまうのは私だけであろうか。記述が回りくどいところが、論文試験でそのまま書くのにはためらいを感じさせてしまう。
(1998/4/2追記)1998年3月、遂に総論の第3版が出た。おいおい、承継的共同正犯を認めるなよ〜。もう何かいい加減嫌気がさしてきたなあ、この本。

平野龍一 刑法1、2(*)(有斐閣)

この本、いいですよ。前田先生の本を読んでからこの本を読むと、目からうろこが落ちます。故意のところ(具体的法定的符合説を採用)とか、前田先生と考え方は異なるところがありますが、ああなるほどっていう感じです。
平野龍一 刑法概説(東京大学出版会)(98/4/2追加)

大学の講義でテキストとして指定されていたもの。各論は判例を補充すれば結構使えると思う。

商法

鈴木竹雄 会社法(弘文堂)

会社法の本の定番です。試験直前に読み返すのに最適だと思います。論点の説明が薄いところが多いのは難点ですが、そこは前田先生の本や有斐閣の法律学全集の会社法で補い、あくまでもこの本をベースにするのがよいと思います。最近の、大筋を聞いてくる問題についてはこの本で十分という気がします。

前田庸  会社法入門(有斐閣)

鈴木先生の弟子の前田先生の本。分厚いのには圧倒されますが、手形法の本で定評のある前田先生の本だけあって、読みやすい本です。

鈴木竹雄 前田庸補訂 手形法・小切手法(有斐閣)

名著。有斐閣の法律学全集の中の一冊です。判例が百選の番号(但し第4版)付きで引用されているのがいいですね。前田先生が補訂しているので、前田先生の考え方も知ることができます。あと、従来の学説の引用も豊富なので、通説の結論だけであればこれで知ることも可能です。

鴻常夫 商法総則(弘文堂)

すいません、私、商法総則ってあまり熱心に勉強していません。この本は、大学時代に講義で使っていたのをそのまま使っているというものです。ちょっと厚いかな、という感はありますが、読みやすいですよ。

鈴木竹雄 商行為法・保険法・海商法(弘文堂)

なんといっても商行為法の部分が60頁強しかないというのがいいところです。

民事訴訟法

民事訴訟法1、2(*)(早稲田司法試験セミナー)

この本は予備校の本としては極めてよくできていると思います。というのは、文章に流れがあり、読み通すのもそんなに苦にならないからです。橋本先生の講義又はテープ(但し、量は膨大です。80時間くらいかかりました。)と併用するのがいいと思います(もともと講義用のテキストなので。)。
 なお、新民訴法対応の改訂新版が刊行されました。テープとともに買い直そうかと思ったのですが、テープ(通信受講料)が10万円と高く、結局テキストだけ買い直しました。

民事訴訟法(Sシリーズ)(有斐閣)

上記の1、2をまだ購入していなかった時点で、新法対策として私がつかっているのがこれです。薄いことは確かですが、安いのと、百選の番号が載っているのが便利なので使っています。

新堂幸司 新民事訴訟法(弘文堂)

買ってしまいました。択一直前のこの時期(98年4月)に買ってどうしようというのでしょうか。中身も200ページ以上増えているし・・。

破産法

伊藤真 破産法(有斐閣)

実は、最近まで読み通したことがありませんでした。でも、読み返してみるといい本ですね。
独自説のところも数ありますが、通説にもきちんと挨拶してありますし。自説が簡潔すぎるようなところが多々見られるのが難点ですが。

青山、伊藤、井上、福永 破産法概説(有斐閣)

今年(1998年)はこの本をベースに勉強しています。皆さんが推奨されるだけあっていい本ですね。百選の判例番号も引いてあるし。

基本書についての考え方

 最初はちょっと難しいかな、と思っても、筋を追ってつっかえずに読める、そういう本がいい本なのかな、という気がしています。そういう本を繰り返し読んでいれば、自然と自ら書く文章も流れるように読めるものになるような気がしますし・・。そういう意味では前田先生の刑法の本はどうかな、という気もしますが、論理的にスッキリしているので愛用していました。
 もっとも、何回も読まないうちに合格できればそれにこしたことはありませんが。


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