破産法条文 口語訳

第一編 実体規定

第一章 総則

第二章 破産財団

第三章 破産債権

第四章 財団債権

第五章 法律行為に関する破産の効力

第六章 否認権

第七章 取戻権

第八章 別除権

第九章 相殺権

第一編 実体規定

第一章 総則

第一条 破産は、宣告の時から効力を生じる。

第二条 外国人又は外国法人は、破産に関して日本人又は日本法人と同一の地位を有する。ただし、その本国法によって日本人又は日本法人が同一の地位を有するときに限る。

第三条 日本において宣告した破産は、破産者の財産にして日本にあるものについてのみ効力を有する。
2 外国において宣告した破産は、日本にある財産については効力を有しない。
3 民事訴訟法によって裁判上の請求をなすことができる債権は、日本にあるものとみなす。

第四条 解散した法人は、破産の目的の範囲内ではなお存続するものとみなす。

第五条 相続人又は相続財産に対する破産の宣告は、限定承認又は財産分離を妨げない。ただし、破産取消し若しくは破産廃止の決定が確定し又は破産終結の決定があるまで、その手続を中止する。

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第二章 破産財団

第六条 破産者が破産宣告の時に有する一切の財産を、破産財団とする。
2 破産者が破産宣告前に生じた原因に基づいて将来行使する可能性のある請求権は、破産財団に属する。
3 差し押さえることのできない財産は、破産財団に属しない。ただし、民事執行法第百三十一条第四号及び第五号に掲げるもの、同法第百三十二条第一項の規定によって差押が許されたもの並びに破産宣告後に差押可能となったものは、この限りでない。

第七条 破産財団を管理及び処分する権利は、破産管財人に専属する。

第八条 破産宣告前に破産者のために相続が開始した場合において、破産者が破産宣告後になした単純承認は、破産財団に対しては限定承認の効力を有する。

第九条 破産宣告前に破産者のために相続が開始した場合において、破産者が破産宣告後に相続を放棄したときであっても、破産財団に対しては限定承認の効力を有する。
2 破産管財人は、前項の規定にかかわらず放棄の効力を認めることができる。この場合においては、放棄があったことを知った時から3月内にその旨を裁判所に申し述べなければならない。

第十条 前二条の規定は、包括遺贈について準用する。

第十一条 破産宣告前に破産者のために特定遺贈があった場合において、破産者が破産宣告の当時承認又は放棄をしなかったときは、破産管財人は破産者に代わってその承認又は放棄をすることができる。
2 民法第九百八十七条の規定は、前項の場合について準用する。

第十二条 相続財産に対して破産の宣告があった場合においては、これに属する一切の財産をもって破産財団とする。
2 被相続人が相続人に対し及び相続人が被相続人に対して有した権利は、消滅しなかったものとみなす。

第十三条 削除

第十四条 相続人が相続財産の全部又は一部を処分した後に相続財産に対して破産宣告があったときは、相続人が反対給付について有する権利は破産財団に属する。
2 相続人が既に反対給付を受けたときは、これを破産財団に返還しなければならない。ただし、その当時相続人が破産の原因となった事実又は破産の申立てがあったことを知らなかったときは、その現に受けた利益を返還すれば足りる。

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第三章 破産債権

第十五条 破産者に対して破産宣告前の原因に基づいて生じた財産上の請求権を、破産債権とする。

第十六条 破産債権は破産手続によらなければこれを行使することはできない。

第十七条 期限付債権は、破産宣告の時において弁済期に至ったものとみなす。

第十八条から第二十一条まで 削除

第二十二条 債権の目的が金銭でない場合又は金銭であってもその額が不確定なとき若しくは外国の通貨をもって定めたものであるときは、破産宣告の時における評価額をもって破産債権の額とする。定期金債権の金額又は存続期間が不確定なときも、同様とする。

第二十三条 条件付債権は、その全額又は前条の規定による評価額をもって破産債権の額とする。
2 前項の規定は、破産者に対して行使する可能性のある将来の請求権に準用する。

第二十四条 数人が各自全部の履行をなす義務を負う場合においてその全員又はその中の数人が破産の宣告を受けたときは債権者は破産宣告の時において有する債権の全額について各破産財団に対して破産債権者としてその権利を行使することができる。

第二十五条 保証人が破産宣告を受けたときは、債権者は破産宣告の時に有する債権の全額について破産債権者としてその権利を行使することができる。

第二十六条 数人が各自全部の履行を行う義務を負う場合においてその全員又はその中の数人若しくは一人が破産宣告を受けたときは、破産者に対して将来行使する可能性のある求償権を有する者はその全額について破産債権者としてその権利を行使することができる。ただし、債権者がその債権の全額について破産債権者としてその権利を行使したときは、この限りでない。
2 前項但書の場合において前項の求償権を有する者が弁済を行ったときは、その弁済の割合に応じて債権者の権利を取得する。
3 前二項の規定は、担保を提供した第三者が破産者に対して将来行使する可能性のある求償権に準用する。

第二十七条 第二十四条、第二十五条及び前条第一項第二項の規定は、数人の保証人が各自債務の一部を負担すべき場合においてその負担部分について、準用する。

第二十八条 法人の債務についてその債権者に対して無限の責任を負う者が破産の宣告を受けたときは、法人の債権者は破産宣告の時に有する債権の全額について破産債権者としてその権利を行使することができる。

第二十九条 法人の債務についてその債権者に対して有限の責任を負う者又はその法人が破産の宣告を受けた場合には、法人の債権者は有限の責任を負う者に対してその権利を行使することができる。ただし、法人が出資の請求について破産債権者としてその権利を行使することを妨げない。

第三十条 相続人が破産宣告を受けた場合においては、財産の分離があったときであっても、相続債権者及び受遺者はその債権の全額について破産債権者としてその権利を行使することができる。

第三十一条 相続財産及び相続人に対して破産宣告があったときは、相続債権者及び受遺者はその債権の全額について各破産財団に対して破産債権者としてその権利を行使することができる。

第三十二条 前二条の場合、破産宣告を受けた相続人が限定承認をしたときは、相続債権者及び受遺者は相続人の固有財産について破産債権者として権利を行使することができない。第八条又は第九条第一項の規定によって限定承認の効力を有する場合もまた、同様とする。

第三十三条 相続財産に対して破産宣告があったときは、相続人はその被相続人に対する債権及び被相続人の債務消滅のためにした出捐について相続債権者と同一の権利を有する。

第三十四条 相続財産に対して破産宣告があったときは、相続人の債権者は破産債権者としてその権利を行使することができない。

第三十五条から第三十七条まで 削除

第三十八条 破産手続参加の費用は、破産債権とする。

第三十九条 破産財団に属する財産について一般の先取特権その他一般の優先権を有する破産債権は、他の債権に優先する。

第四十条 同一順位において弁済されるべき債権は各その債権額の割合に応じてこれを弁済する。

第四十一条 優先権が一定の期間内の債権額について存在する場合においては、その期間は破産宣告の時から遡って計算する。

第四十二条 相続財産に対して破産宣告がなされたときは、相続債権者の債権は受遺者の債権に優先する。

第四十三条 相続財産に対して破産の申立てをすることができる期間内の申立てによって相続人に対して破産の宣告があったときには相続人の債権者の債権は相続債権者及び受遺者の債権に先んじ、相続財産については相続債権者及び受遺者の債権は相続人の債権者の債権に優先する。

第四十四条 相続財産及び相続人に対して破産宣告があったときは、相続人の債権者の債権は相続人の破産財団については相続債権者及び受遺者の債権に優先する。

第四十五条 削除

第四十六条 左の請求権は他の破産債権に劣後する。
一 破産宣告後の利息
二 破産宣告後の不履行による損害賠償及び違約金
三 破産手続参加の費用
四 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金及び過料
五 債権が無利息にしてその期限が破産宣告後に到来すべき場合においては、破産宣告の時から期限に至るまでの法定利率による元利の合計額が債権額となるべき計算によって算出される利息の額に相当する部分
六 債権が無利息にしてその期限が不確定な場合においては、その債権額と破産宣告の時における評価額との差額に相当する部分
七 債権が金額及び存続期間の確定する定期金債権である場合においては、各定期金について第五号の規定に準じて算出される利息の額の合計額に相当する元本の額の合計額が法定利率によりその定期金に相当する利息の生ずべき元本額を超えるときはその超過額に相当する部分

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第四章 財団債権

第四十七条 左の請求権を、財団債権とする。
一 破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用
二 国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することができる請求権。ただし、破産宣告後の原因に基づく請求権は、破産財団に関して生じたものに限る。
三 破産財団の管理、換価及び配当に関する費用
四 破産財団に関して破産管財人のした行為によって生じた請求権
五 事務管理又は不当利得によって破産財団に対して生じた請求権
六 委任終了又は代理権消滅の後急迫の必要のためにした行為によって破産財団に対して生じた請求権
七 第五十九条第一項の規定によって破産管財人が債務を履行する場合において相手方が有する請求権
八 破産宣告によって双務契約に関し解約の申し入れがあった場合においてその終了に至るまでの間に生じた請求権
九 破産者及び破産者に扶養される者の扶助料

第四十八条 破産管財人が負担付遺贈の履行を受けたときは、負担の利益を受けるべき請求権は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてこれを財団債権とする。

第四十九条 財団債権は、破産手続によらずに随時弁済する。

第五十条 財団債権は破産財団から優先的に弁済を受ける。

第五十一条 破産財団が財団債権の総額を弁済するためには不足することが明らかになったときは、財団債権の弁済は、法令に定めた優先権にかかわらず未だ弁済されていない債権額の割合に応じて行う。ただし、財団債権について存する留置権、特別の先取特権、質権及び抵当権の効力を妨げない。
2 第四十七条第一号から第七号までの財団債権は、他の財団債権に優先する。

第五十二条 第十七条、第二十二条及び第二十三条第一項の規定は、第四十七条第七号及び第四十八条に規定する財団債権について準用する。
2 前項の財団債権が無利息債権又は定期金債権であるときは、もし破産債権であったとすれば第四十六条第五号から第七号の規定によって他の破産債権に劣後すべき部分に相当する金額を控除したものをもってその額とする。

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第五章 法律行為に関する破産の効力

第五十三条 破産者が破産宣告の後に破産財団に属する財産に関して行った法律行為は、これをもって破産債権者に対抗することはできない。
2 破産者が破産宣告の日にした法律行為は、破産宣告後にしたものと推定する。

第五十四条 破産宣告の後破産財団に属する財産に関して破産者の法律行為によらずに権利を取得しても、その取得を破産債権者に対抗することはできない。
2 前条第二項の規定は、前項の取得に準用する。

第五十五条 不動産又は船舶に関して破産宣告の前に生じた登記原因に基づいて破産宣告の後に行った登記又は不動産登記法第二条第一項の規定による仮登記は、破産債権者に対抗することができない。ただし、登記権利者が破産宣告の事実を知らずに行ったときは、この限りでない。
2 前項の規定は、権利の設定、移転又は変更に関する登記について、これを準用する。
3 第一項の規定は、企業担保権の設定、移転又は変更に関する登記について、これを準用する。

第五十六条 破産宣告の後にその事実を知らずに破産者に対して行った弁済は、破産債権者に対抗することができる。
2 破産宣告の後にその事実を知って破産者になした弁済は、破産財団が受けた利益の限度においてのみ破産債権者に対抗することができる。

第五十七条 為替手形の振出人又は裏書人が破産の宣告を受けた場合において、支払人又は予備支払人がその事実を知らずに引受又は支払をしたときは、これによって生じた債権について破産債権者として権利を行使することができる。
2 前項の規定は、小切手及び金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする有価証券に準用する。

第五十八条 前三条の規定の適用については、破産宣告の公告前にあってはその事実を知らなかったものと推定し、公告後にあってはその事実を知っていたものと推定する。

第五十九条 双務契約について破産者及びその相手方が破産宣告の当時未だ共にその履行を完了していないときは、破産管財人はその選択に従って契約を解除し又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
2 前項の場合において、相手方は破産管財人に対して相当の期間を定めてその期間内に契約を解除するか債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。破産管財人がその期間内に確答しないときは、契約を解除したものとみなす。

第六十条 前条の規定によって契約の解除がなされたときは、相手方は損害の賠償について破産債権者としてその権利を行使することができる。
2 破産者の受けた反対給付が破産財団の中に現存するときは、相手方はその返還を請求し、現存しないときは、その価額について財団債権者としてその権利を行使することができる。

第六十一条 取引所の相場がある商品の売買について一定の日時又は一定の期間内に履行をするのでなければ契約をした目的を達成することができない場合において、その時期が破産宣告の後に到来すべきときは、契約の解除があったものとみなす。この場合において、損害賠償の額は、履行地又はその地の相場の標準となるべき地における同種の取引にして同一の時期に履行すべきものの相場と売買の代価との差額によって定める。
2 前条第一項の規定は、前項の規定による損害賠償について準用する。
3 第一項の場合について取引所において別段の定めをしたときは、その定めに従う。

第六十二条 第五十九条第二項の規定は、民法第六百二十一条、第六百三十一条又は第六百四十二条第一項の規定により相手方又は破産管財人が有する解除権の行使に準用する。

第六十三条 賃貸人が破産の宣告を受けた場合においては、借賃の前払又は借賃の債権の処分は破産宣告の時における当期又は次期に関するものを除くのほかこれをもって破産債権者に対抗することができない。
2 前項の規定によって破産債権者に対抗することができないことによって損害を受けた者は、その損害の賠償について破産債権者としてその権利を行使することができる。
3 前二項の規定は、地上権及び永小作権についてこれを準用する。

第六十四条 破産者が請負契約によって仕事をなす義務を負担するときは、破産管財人は必要な材料を供して破産者をしてその仕事をさせることができる。その仕事が破産者自らがなすことを要しないものであるときは、第三者にこれをさせることができる。
2 前項の場合においては、破産者がその相手方から受けるべき報酬は破産財団に属する。

第六十五条 委任者が破産の宣告を受けた場合において、受任者が破産宣告の通知をうけず、かつ、破産宣告の事実を知らずに委任事務を処理したときは、これによって生じた債権について破産債権者として権利を行使することができる。

第六十六条 交互計算は、当事者の一方が破産の宣告を受けたときは、終了する。この場合においては、各当事者は計算を閉鎖し残額の支払を請求することができる。
2 前項の規定による請求権は、破産者が有するときは破産財団に属し、相手方が有するときは破産債権とする。

第六十七条 数人が共同して財産権を有する場合において、共有者の中に破産の宣告を受けた者があるときは、分割をしない定めがあるときであっても、破産手続によらずに分割をすることができる。
2 前項の場合において他の共有者は相当の償金を払って破産者の持分を取得することができる。

第六十八条 民法第七百五十八条第二項第三項及び第七百五十九条の規定は、配偶者の財産を管理する者が破産の宣告を受けた場合に、同法第八百三十五条の規定は真剣を行う者が破産の宣告を受けた場合に、準用する。
2 家事審判法の適用に関しては、前項において準用する民法第七百五十八条第二項及び第三項の規定による財産の管理者の変更及び共有財産の分割に関する処分は家事審判法第九条第一項乙類に掲げる事項とみなし、前項において準用する民法第八百三十五条の規定による管理権の喪失の宣告は家事審判法第九条第一項甲類に掲げる事項とみなす。

第六十九条 破産財団に属する財産に関し破産宣告の当時係属する訴訟は、破産管財人又は相手方が受け継ぐことができる。第四十七条第七号に掲げる請求権に関する訴訟についてもまた、同様とする。
2 前項の場合において、訴訟費用は財団債権とする。

第七十条 破産債権について破産財団に属する財産に対し行った強制執行、仮差押、仮処分又は企業担保権の実行手続は破産財団に対してはその効力を失う。ただし、強制執行については、破産管財人が破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。
2 前項但書の規定によって破産管財人が強制執行の手続を続行するときは、その費用は財団債権とし、強制執行に対する第三者異議の訴えについては、破産管財人を被告とする。
3 前二項の規定は、一般の先取特権者が破産財団に属する財産に対して行った競売手続に準用する。

第七十一条 破産財団に属する財産に対し国税徴収法又は国税徴収の例による滞納処分をなした場合には、破産の宣告はその処分の続行を妨げない。
2 破産財団に属する財産に関し破産宣告の当時行政庁に係属する事件があるときは、その手続は受継又は破産手続の解止までの間、中断する。
3 第六十九条の規定は、前項の場合に準用する。

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第六章 否認権

第七十二条 左に掲げる行為は、破産財団のために否認することができる。
一 破産者が破産債権者を害することを知って行った行為。ただし、これによって利益を受けた者がその行為の当時に破産債権者を害する事実をしらなかったときは、この限りでない。
二 破産者が、支払の停止又は破産の申立ての後にした担保の供与、債務の消滅に関する行為その他破産債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者がその行為の当時支払の停止又は破産の申立てのあることを知っていたときに限る。
三 前号の行為であって破産者の親族又は同居者を相手方とするもの。ただし、相手方がその行為の当時支払の停止又は破産の申立てがあったことを知らなかったときは、この限りでない。
四 破産者が支払の停止若しくは破産の申立ての後又はその前三十日内にした担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、破産者の義務に属せず、又はその方法若しくはその時期が破産者の義務に属しないもの。ただし、債権者がその行為の当時支払の停止若しくは破産の申立てがあったこと又は破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
五 破産者が支払の停止若しくは破産の申立ての後又はその前六月内になした無償行為又はこれと同視できる有償行為

第七十三条 前条の規定は、破産者から手形の支払を受けた者がその支払を受けなければ債務者の一人又は数人に対する手形上の権利を失うであろう場合には、適用しない。
2 前項の場合において、最終の償還義務者又は手形の振出を委託した者が振出の当時支払の停止又は破産の申立てがあったことを知り、又は過失によってこれを知らなかったときは、破産管財人はこの者をして破産者が支払った金額を償還させることができる。

第七十四条 支払の停止又は破産の申立てのあった後に権利の設定、移転又は変更をもって第三者に対抗するために必要な行為をした場合であって、その行為が権利の設定、移転又は変更があった日から十五日を経過した後に悪意でなされたものであるときは、これを否認することができる。ただし、登記及び登録については、仮登記又は仮登録があった後本登記又は本登録をしたときは、この限りでない。
2 前項の規定は、権利取得の効力を生ずる登録について、準用する。

第七十五条 否認権は、否認しようとする行為に執行力ある債務名義があるとき又はその行為が執行行為に基づくものであるときであっても、行使することができる。

第七十六条 否認権は、訴え又は抗弁によって、破産管財人が行使する。

第七十七条 否認権の行使は、破産財団を現状に復せしめる。
2 第七十二条第五号に掲げる行為が否認された場合において、相手方が行為の当時善意のときはその現に受けた利益を償還するをもって足りる。

第七十八条 破産者の行為が否認された場合であって、その受けた反対給付が破産財団中に現存するときは、相手方はその返還を請求でき、反対給付によって生じた利益がげんそんするときは、その利益の限度にぽて財団債権者としてその権利を行使することができる。
2 反対給付によって生じた利益が現存しないときは、相手方はその価額の償還について破産債権者としてその権利を行使することができる。反対給付の価額が現存する利益より大きい場合のその差額についても、同様とする。


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