やっぱり世界の壁は厚かった

サッカー日本オリンピック代表へのメッセージ


 7/26の10:00(日本時間)、決勝トーナメント進出のかかった、対ハンガリー戦が始まり、私もテレビの前で観戦した。試合開始直後、信じられないような早さで、ハンガリーが得点した。日本チームは1点を追う展開で試合を進めた。

 単純に結果を追うと、前半終了直前に同点に追いつき、後半開始早々に、再びハンガリーにリードされ、試合終了直前に大逆転という形である。つまり、3対2で勝つには勝ち、決勝トーナメント進出はできないが意地を見せた、ということになっている。

 しかし、ゲームの内容をよく考察してみれば、はっきり言って「負け」である。数多くあったチャンスをことごとく自分たちのミスでつぶし、前線と最終ラインの間は開き過ぎ、押し上げもほとんど見られないという内容だった。それに引き換え、ハンガリーは本来のリベロの選手が出場できなかったにも関わらず、ファールが多いとはいえ、90分を守りきったに近い出来だった。しかも、ハンガリーのスピードはものすごく、日本のDF陣はかなり翻弄されていた。実況担当のアナウンサー(この人はやたらと絶叫する、私の価値観では上手いとは思えない実況だった)は、「日本の特徴はスピード」と発言していたが、そのようなものが霞んでしまうハンガリーの速さだった。

 そもそも、日本が得点したのはPKと、90分ぎりぎりかロスタイムの入りかけのところ、完全なロスタイムにおいてであり、2点分は「おまけ」である。ロスタイムのシュートを決めたときに前園選手はガッツポーズを見せたが、日本で見ていた私は興ざめにしか思えなかった。あれほど、オリンピックで自分を売り込むような発言をしておいて、この結果は、調子の問題を別にしても、残念すぎる。城選手なども同じ。確実にものにすべきシュートが2本はあったと私は見ている。それに引き換え、川口選手はこの大会でかなり知られたのではないだろうか。判断力に優れ、好セーブを連発した彼は、とにかくオリンピックを楽しんできたい、と常々発言していた。この点が違いになって表れていたような気がする。

 対ブラジル戦で、日本は全力で戦った。あのときは前線からのプレスが効いていて、しかも最終ラインがしっかりしていた。ボランチの伊藤選手も活躍が目立っていた。しかし、対ナイジェリア戦、第3戦と試合を追うに連れ、プレスをしなくなり、ボールを追いかけなくなっていったように思えてならない。そして、伊藤選手が攻撃にうまく絡めなかったという点がこの現象を象徴している。既に2敗のハンガリーが諦めることなくボールを追っていたのに対して、日本チームは危機感を感じられないプレーだった。これが、サッカーの歴史のある国との違いなのかもしれないと私は思った。

 私は、選手たちに労いのことばはもちろんかけたい。でも、賞賛するつもりはない。今、やっとスタートラインに立ったばかりの国のチームだから。ワールドカップに一度も出ないでホスト国になるようなことは、彼らが活躍すれば、あり得ないと信じているが、どうなるか分からないのが真相だ。

 それと最後に、現地に駆けつけたサポーターのみなさん、2度とあのような恥ずかしいことはしないで下さい。「JAPAN 1-0 BRAZIL」なんて横断幕、センスの欠片もないですよ。選手やスタッフが割に冷静に対処したのに対して、あまりに酷すぎます。確かに、ブラジルは強い。でも、予選3試合のひとつにしか過ぎないのだ。ブラジルに勝てば、無条件で決勝トーナメントでもない限り、あのような応援は無意味どころか、罪である。もっと、予選リーグというシステムを冷静に考えて欲しい。日本のサッカーファンのレベルの低さを世界に宣伝したと言える横断幕だった。

 このオリンピック代表チームの選手がひとりでも多くワールドカップで活躍する日を心待ちにしている。そういうファンの激と思って、ほかの方も考えていただきたい。



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