エステの広告を”よむ”


1996年6月10日、日本テレビ系列で放送された「潜入!誰も知らないエステ業界の秘密」はエステ広告の”よみ”方を教えてくれる番組だった。

ここでは”よみ”方のポイントについて何点か挙げてみようと思う。

まず、エステの広告には必ずと言ってよいほどモデルが登場する。このモデルはエステの体験者ということがほとんどである。この女性たちは選ばれた存在である。すなわち彼女たちは組織内コンテストの素材である。この番組によると、エステ側から与えられたメニュー以外にも、自らの努力を彼女たちは相当要求されていることが分かる。確かに努力は必要だけれども、エステに通う以上は、エステのメニューに従えば、痩せられる・美しくなれるでなくては嘘であろう。エステのメニューを消化する努力は当然必要である。でも、それ以外はナンセンスと私は思う。そして彼女たちはコンテストで入賞した「作品」であり、広告はお披露目なのである。しかも無料体験者として組織内コンテスト用に集められた人々である。自らお金を払って通った人々ではないのです。ここで、広告は特殊ケースであり、ごく普通の例についてサンプルを要求する権利が生じることを、私たち消費者は認識しておきたい。

次にエステで紹介される技術について考える必要がある。研究所が用意されているエステ会社が紹介されており、これは納得できた。しかし一方では、社長の直感的イメージや世間の噂から企画が始まることも多いということをこの番組は教えてくれた。人間の体を扱う商売であるのだから、どのような検査や処理を経て市場に送り出しているのかに興味がある。私たちは施される処理・技術に対して十分な説明と考えられるデータ、万が一の保証について要求する権利が生じるし、権利を行使すべきである。

最後に、セールストークについて考えてみよう。だいたい「いっしょに頑張りましょう」という表現は胡散臭い。そのようなことばより説明すべきことばがあるでしょうと思う。そういうあなたは賢い。高いお金を支払う以上、効果がでなかった場合についてなど、気になることはどんどん言おう。更につけ加えれば、「効果は必ず出ます」「心配しなくても効果はあります」ということばを連発する説明は警戒しても良いと思う。そういう説明をする人に限って逃げ道を用意しているだろう。万一効果でなかったときの保証を説明しないといった形でだ。逃げ道を残していると思ったらトコトン追求すべし、である。

まとめとして、エステサロンの広告で終始しがちなテーマに対して、広告の”よみ”方指南として、このようにうまく活用できる番組に仕立てた制作スタッフを賞賛しておきたい。もっとも私のように解釈した人はいないでしょうが・・・



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