イチロー「投手」をどう考えるか


 今年もプロ野球のオールスターゲームが終わった。第2戦ではイチロー投手が実現し、松井選手の代打・高津選手を打ち取った。  試合後、様々な論議を呼んだのは既にご存じのとおりであるが、果たして、仰木監督の方が正しいのか、それとも野村監督の方が正しいのか。

 実は、ファンの立場から考えれば、どちらも正論であるということを指摘できる。マスコミはまずこんなことは言わないが、実際はそうなのだ。ただ、さんざんイチロー選手の登板を煽りながら、試合後、批判的になるようなスポーツマスコミは信用しない方が良いということは言える。

 日本のオールスターゲームはメジャーリーグとは異なった側面があると思う。あくまでも夢の球宴であり、非日常的なゲームを期待している面がファンの側にあると言える。そもそも、選手自身が出場することの栄誉を忘れていると指摘する人もいるくらいのものである。

 そういう意味では、野村監督の発言は選手自身にも向けられた警告とも言えよう。また、「相手の心の痛みが分からないのか」という発言などはもっともな発言であり、事前の根回しが必要だったと思う。

 しかし、仰木監督のしたことは決して誤りとは言えない。私たちファンが望んでいたのは紛れもない事実であるし、ファンの期待に答えるのがプロという考えも当然の考え方だからだ。ただ、本当にイチロー選手の投手としての能力を買っているなら、ペナントレース中に投げさせないのはどうしてか、ということも言える。

 案外、私たちはオールスターに何も求めていないのかもしれない。確かにファン投票をしたり、テレビや球場で観戦するが、野球を見ているだけのような気がしなくもない。むしろ、昨年行われた、阪神・淡路大震災チャリティのゲームの方が面白かったし、興味をそそられたのではないだろうか。

 そういう意味を考え合わせると、本当のプロの実力と実力のぶつかるオールスターゲームと、夢のような意外性のお祭りイベント的ゲームと2種類ある方が分かりやすくて良いのではないだろうか。

 今や、日本人の野球への期待と、オールスターゲームの精神とのずれを真剣に議論し合う日が来たと言えそうだ。せっかく私たちの期待をかなえてくれたイチロー選手を針のむしろにしないためにも・・・



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