アスカの鶴

<2500hit記念>

11/14/97 up

   木曜日の放課後・・・・それは「今週もあと1日」という、開放感が漂い始めるとき。

   市立第壱中学の通学路を歩く生徒たちの中に、赤い瞳の少女、碧い瞳の少女、そして黒い瞳の少年はいた。

   やがて通学路は、柔らかな午後の陽と庭木の緑に包まれた住宅街の中へと進んでいく。

   雀の声に混じって、子供たちがはしゃぐ声がだんだんと大きくなり、そしてまた遠のいていった。

   「アスカ、もう重くて歩けないよ・・・やっぱり一人でカバン3つも持つなんて無理だったんだよ・・・・」

   「なに甘えたこと言ってんのよ!! ジャンケンで負けた人が全員のカバン持つっていうのは、ルールでしょ!!

   ルールはちゃんと守りなさいよね、まったく情けないんだから!!」

   「・・・・・僕がジャンケン弱いの、知ってるのに・・・・・ひどいや・・・・」

   「なにぶつぶつ口の中で言ってんのよ!! 言いたいことがあるんだったら、はっきり言いなさいよ、はっきりとっ!!

   アンタ男でしょ?! うじうじするんじゃないわよ!! まったくアンタは、じれったいわね!!」

   アスカはシンジを叱咤しているが、その碧の瞳には決して不愉快そうな色は浮かんでいない。

   あまつさえ、両手を自分のおしりのところで組み合わせると、軽くスキップをして通学路を少し先の方まで進んでいく。

   そして、足をふらつかせながらやっとの思いで進んでくるシンジを振り返ると、子供が無邪気な悪戯を企んでいるような

   眼でシンジをみつめ、その小さな口許に純白の歯を少し見せた。

   「ま、このアタシも、鬼じゃないからね。事と次第によっては、ちょっと考えてあげてもいいのよ。」

   「あ、あ、それはありがたいよ。じゃ、早速、カバンを」

   「アンタバカぁ、誰がカバン持つのを代わるって言ったのよ?! 人の話はちゃんと聞いてなさいよ!!」

   「だ、だって、今・・・」

   「わ・た・し・は・ね、事と次第によっては、って言ったのよ。まったくもうっ!!」

   「え、事と次第?」

   「そうよ。わかりやすく言うと、条件闘争ね」

   「・・・・・余計わかんなくなっちゃったよ・・・・」

   「もう、アンタ日本生まれでしょ? ちゃんと四字熟語ぐらい覚えときなさいよ!! つまりね、アンタがアタシの出した

   条件を呑むなら、考えてあげてもいいわよってこと」

   「条件?!  あ、そんなら、いいよ、うん、僕がずっとカバン持つからさ、あはは、あはあは」

   シンジは「条件」という言葉の背後に潜むものに敏感に反応して、取り敢えずその場を取り繕おうと、乾いた笑いを洩らした。

   「えーっ、つまんないの。せっかくシンジにはいい条件だと思ったのになぁー。こんな好条件見逃すなんて、

   アンタつくづく不幸ね」

   「・・・・・そう?・・・・そんなにいい条件なの?・・・・うーん、じゃ聞くだけ聞いてみるよ」   

   「そうよ。バカシンジには、ほんともったいないくらいの好条件よ!! せいぜいアタシに感謝しなさいよ!!」

   そう言うと、アスカはくるっと後ろを振り返って、ぺろっと舌を出した。

   (・・・・ほーんと、まったく簡単に引っかかるんだから・・・・)

  「ど、どうしたのさ、アスカ。後ろになんかあるの?」

  「あ、いや、なんでもないわよ。じゃ、条件、示すわよ、いい?」

  「うん(・・・ま、あんまり期待はできないな・・・・)」

  「もう1回ジャンケンして、アタシに勝ったら、その荷物のうち、アタシの分は自分で持ってあげるわよ」

  「・・・・・・もし負けたら?・・・・」

  「負けたときも寛大な条件よ!! 今度の土曜日、アタシの買い物につきあうこと!! どう、決して悪くないでしょ?」

  「あ、ああ、そ、そうだね」

   (やっぱり・・・そんなことじゃないかと思ったよ。はぁーっ、アスカの買い物は長いからなぁ。そのうえ、

   「どっちが似合う?」とか聞いてくるし・・・・そこでうっかり変なこと言うと大変なんだよな・・・・・・

   家に帰ってからも、むくれちゃって、機嫌治させるの一苦労だからね・・・・あ、でも、ジャンケン、負けなきゃ

   いいんだよ!! そうだよ、たかがジャンケンじゃないか!! 確率の世界の話なんだよ。今までずっと負けつづけて

   いたってことは、そろそろ勝つはずなんだ・・・でも、負けたら、あとが大変だし・・・・・もしも服を買うなんてことになったら

   考えただけでも身の毛がよだつよ・・・・・でも・・・・今度はなんか勝ちそうな気がする・・・・・

   そうだとも。勝てるはずなんだよ。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだっ!!)

   「うん、やるよ。その話、乗った!!」

   「(また自己暗示をかけてたわね。ふふ、勝負は決まったようなものね)じゃ、善は急げ、ね。ほら、ジャンケン」

   「ポン」

   「あーら、またアタシが勝っちゃったわね。ま、このアタシにかかればジャンケンなんてちょろいもんよ!!」

   「あー、せっかく土曜日が・・・・・」

   「あら、涙ぐむほど嬉しいの? ま、このアタシの買い物について来る栄誉を受けられる男なんて、そうざらにはいないもんね。

    やっぱりバカシンジでも、光栄だ、ってわかるのね。感心感心」    
 
   「・・・・・ところで、まさか、服、買うんじゃないよね?・・・」

   「あら、察しがいいじゃない!! そうよ、ワンピース買うのよ、ワンピース!! ふんふんふーん」

   「・・・・・」

    (ぐはぁ、最悪の選択をしてしまった・・・・・・これは一日仕事になる・・・・・・あぁ、真っ白に燃えつきそうだ・・・

     ・・・・そうだ!! 綾波も誘えばいいんだ!! きっとアスカが「どっちが似合う」攻撃を始めたら、

      「・・・・・こっちよ・・・・・これしかない・・・」とか言って収拾をつけてくれるに違いないよ!!

    それにアスカが暴走しそうになったときの抑止力にもなるし・・・・)

   「あ、あのさ、アスカ。その、綾波も誘ってあげたら喜ぶんじゃないかな」

   「なんでアタシの買い物にファーストがついてこなきゃなんないわけ? アタシの服、買うのよ!! ファーストが

   来てもしょうがないじゃないのよ!!」

   「あ、いや、えと、綾波は女の子だから僕より服のこととか詳しいかな、なんて」

   「アンタバカぁ? 朝、寝癖も直してこないようなファーストが服を選べるわけないじゃない?!

   ネコに水泳やらせるようなもんじゃないの!!」

   「い、いや、一応、綾波にも聞いてみた方が・・・・」

   「じゃ、ここで証明してあげるわよ!! ちょっとファ・・・あれ、いないじゃないの」

   「ほんとだ。どこ行っちゃったんだろう?」

   「あ、あんな所につっ立ってるじゃないの!! もう、ちょっと目を離すとこれなんだから、まったく世話が焼けるわ!!」

   レイは、ずっと後ろの方で、道端に立ち止まったまま一心に何かをみつめていた。

   「ちょっとファースト、なにやってんのよ!! ぼーっとしてちゃ駄目じゃない!! 山椒太夫にさらわれるわよ!!」

   「アスカ、それは昔の文豪の小説で・・・・・」

   「わ、わかってるわよ。アタシも昨夜読んだとき、なんか古臭いような気がしたわよ。どうせ1970年代ぐらいの

   日本のことでしょ?」

   「・・・・・それは置いといて・・・・どうしたの、綾波、何をみていたの?」

   「・・・・・碇君・・・・あれ・・・・何?・・・・・」

   「ああ、あれのこと? あれは幼稚園って言ってね、小学校に上がる前の子供たちがお遊戯とか学ぶところで」

   「・・・・・違うわ・・・・それは知ってるの・・・・・あの子供たち、なぜ一生懸命に色紙を畳んでいるの?・・・」

   「あ、あれね。あれは折り紙っていうんだよ」

   「・・・・・折り紙・・・・・」

   「そう、折り紙だよ。色紙を折ってね、いろいろな動物とか飛行機とか花とかを作るんだ。きれいだよ。

   綾波もアスカも子供の頃にお母さんに作ってもらったはずだよ。綾波はきっと忘れちゃってるだけだよ」

   「・・・・・折り紙・・・・・したことないわ・・・・・・作ってもらったことも・・・・・・ない・・・・」

   「・・・・・あ、アタシも、ドイツでは、そんなの作る風習、ないから・・・・・・・」

   シンジは二人の少女の顔に寂しげな翳が現れたことには気づかなかった。

   「あ、そうなの? まあ、最近は折り紙なんてやらない人も増えてきたからね。それに、こんなの、日本だけの

   文化だろうしね」

   レイは、幼稚園の中で子供たちが嬉しそうに騒ぎながら折り紙をしている姿を、ただ無言で眺めていた。

  (・・・・・・あの子たちも・・・・やがて親になり、そして子供たちに折り紙を教えるのね・・・・・・・

    ・・・・・・私は・・・・・・・・束の間の存在・・・・・・誰かに折り紙を教えることもなく・・・・・

    ・・・・・・誰かに折り紙を教わることもなく・・・・・・・いつかは虚空に還るさだめのはず・・・・・・)

   アスカは、幼稚園に背を向けて道の反対側をみていた。

  (・・・・・子供なんか嫌い・・・・アタシは子供なんか欲しくない・・・・・アタシは親になんかなりたくない・・・

    ・・・・・折り紙なんか教えることはありえないわ・・・・・・アタシは子供なんか嫌い・・・・・・・

    だから早く早く早く大人になりたいのよ・・・・・・折り紙なんてしたくもないわ・・・・・・・・・・) 

   アスカは、いつのまにか耳を押さえ、「コンフォート17」の方向に向かって駆け出していた。

   「あ、アスカ、どうしたんだよ? あーっ、行っちゃったよ・・・・もうお天気屋なんだから困っちゃうよな・・・・

   綾波、帰ろうよ。いつまでも、そこで見てても埒があかないよ」

   二人が交差点で別れるまでの間、レイはいつにも増して、何者も寄せ付けないような厳しい表情で歩いていた。

   二人の間には会話は成立しなかった。




   シンジはマンションに帰ってくると自室に戻って着替え始めた。

   「ああ、また、こんなふうになっちゃったな。時々こんなことがあるんだよな。・・・・・まったく女の子が

   考えてることってよくわかんないや・・・・・やれやれ、なんか疲れたな。夕食の材料は昨日買ってあるし、

   少し一眠りするかな・・・・・」

   シンジはTシャツに着替え終わると、ベッドの上で大の字になった。

   「なんで僕ばっかり、こんないやな目に遭わなきゃいけないんだろう・・・・・僕は何にも悪いことしてないのに・・・

   前世の報いかなんかかな。それとも父さんのせいかな・・・・親の因果が子に報いってやつかな・・・・たまらないよな・・・」


   シンジがふと気づくと、目の前に高いテーブルがあった。

   「あれ、うちのテーブルって、こんなに高かったっけ? あ、誰か女の人が腰掛けてる。ミサトさんかな? 今日は

   NERVから早く帰ってきたんだ。こうしちゃいられないよ、早く夕食の支度しなきゃどやされちゃうよ・・・・」

   「・・・・・・何をやっているんだ・・・・・・」

   「あら、あなた。シンジのために鶴を折ってあげてるんですよ。あなたもやってみます?」

   「私が鶴を?  ふっ、問題ない。子供の頃は手先が器用で折り紙は得意だった・・・・・すべてシナリオどおりに

    折れるからな、私は」

   「あれ、この声? もしかして父さん? じゃ、この女の人は・・・・・・・」

   「鶴は昔から白と相場が決まっているんだが・・・・・なぜ紫色の鶴を作るんだ、ユイ?」

   「あははは、白の色紙がきれちゃっているんですよ。もうできたわ。ほーら、シンジ、鶴さんよ」

   そう言って、その女の人はテーブルの上から身を乗り出して、シンジに紫色の鶴を見せた。

   「あ、この人は母さん・・・・・母さんなんだね!! 」

   その瞬間、シンジの目の前は眩しい閃光で覆われて何も見えなくなった。

   「・・・・・・ん・・・・ぁあ、なんだ夢か・・・・なんであんな夢みたのかな・・・・なんか鼻が詰まってる・・・

   うたた寝して風邪ひいたかな?」

   シンジは起き上がって洗面所に向かった。

   「なんか顔がべたつくな。昼寝すると、よくこんなふうになるんだよな。顔でも洗って、夕食を作るとするか」

   洗面所の鏡の中には、眼を赤くした、涙の跡のある顔が映っていた。


   
   「シンちゃん、またアスカと喧嘩したの? ご飯にも出てこないじゃないの!! 」

   ミサトはいつものようにエビチュを一気呑みしたあと、シンジに顔を近づけ酒臭い息を吹きかけながら問い質し始めた。

   「べ、べつに喧嘩なんかしてませんよ。学校から帰る途中で、なんか突然、機嫌が悪くなって先に帰っちゃって

   それっきり部屋から出てこないんです。」

   「もしかして、シンちゃん!! 変なことしたんじゃないでしょうねぇ? アスカだって、ああみえても女の子なんだから、

    こーんなことやあーんなこと、しちゃったんなら、お姉さん、ただじゃすまさないわよ!!」
     
   「あ、その、あの、そそそ、そんなこと、してませんよ」

   「そう? それならいいんだけど、とにかく怒らせたんなら早めに謝って仲直りするのよ。」

   「・・・・・はい・・・・・・」



   シンジは風呂から上がると、キッチンにやってきて、冷蔵庫を開けて牛乳を取り出し、コップに注いだ。

   もう夜もかなり更けているので、照明はかなり暗くしてある。

   「ふうー、なんか今日はいろいろあったなー。綾波もアスカもなんで機嫌が悪くなったんだろう。

   そのうえ、あんな夢まで見るし・・・・・・・・・・・・そう言えば・・・・・折り紙・・・・・・

   もう何年もやってないな・・・・・・・鶴、まだ折れるかな・・・・・」

   部屋に戻ったシンジは、色紙を持ってキッチンに戻ってきた。

   「マヤさんから余った色紙もらっておいてよかった・・・・なんかの折りにつかえるかもしれないって思ったんたけど

   こんなに早く使うことになるとはね。それにしても、マヤさんがちぎり絵なんかやってるとは思わなかったな・・・」

   あまり明るくない照明の下で、シンジは色紙の束をさぁーっとテーブルの上に広げた。

   「・・・・・・・・・・・やっぱり・・・・・・・・・・・紫・・・・・・・かな」

   やはり数年間のブランクは大きかった。

   漸く折り上げた紫色の鶴は、何回も折り直したため、あちこちに皺の入ったものになってしまった。

   苦心して折り上げた鶴を、シンジは大切そうに手のひらに乗せて眺めてみた。

   「・・・・・へんな鶴・・・・・格好悪い・・・・・・」

   シンジが振り向くと、パジャマ姿のアスカが壁にもたれて立っていた。

   「ははは、もう何年も折ってなかったから・・・・・」

   「・・・・なんで鶴なんて折り始めたの?」

   「・・・・さっきさ、昼寝したら・・・・母さんの夢、みちゃってさ・・・・鶴、作ってくれたんだ・・・・」

   「・・・・そう・・・・・・・」

   「・・・・もう、あんなこと、ないんだな、って思ったら、なんか急に鶴を折りたくなっちゃってね・・・・・

    はははは、変だよね、僕・・・・・」

   「・・・・シンジは、お母さんに会いたいの?」

   「・・・・会いたい、のかもしれない。でも、もう会えないから、仕方がないよ」

   「・・・・寂しくないの?」

   「・・・・寂しいときもなくはないよ。でも・・・・・」

   「でも?」

   「今は、アスカやミサトさんや綾波、そしてトウジやケンスケがいるからね」

   「・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・・・・・ねえ、シンジ。アタシにも、鶴の折り方、教えてくれる?」

   「え、ああ、いいよ。じゃ、そこに座って・・・・・」

   深夜のマンションの一室で、黒い瞳の少年と碧い瞳の少女は、向かい合って静かに鶴を折り始めた。

   そこに二人の心を隔てるものは何一つなかった。
   
    
   「おはようさん。今日もみんな早いなぁ。あ、せんせぇ、カバンに何つけとるんや?」

   「あ、トウジ、おはよう。あ、これ? 鶴だよ」

   「なんや皺だらけのけったいな鶴やな。そのうえ紫とは趣味悪いんやないか」

   「朝からうるさいわよ、ジャージバカ!! 」

   「なんやと!? 惣流!! おまえなんぞに言われたないわ!! ジャージはわしの自己主張や!!

   あ、なんや、おまえもカバンに鶴つけとるやないか」

   「そうよ! それが何か悪い?」

   「いや、悪かないがな、何で赤い鶴なんや? 鶴は白いもんと相場が」

   「赤い鶴がいてもいいじゃないのよ!! 赤は私のシンボル・カラーなのよ!!」

   「・・・・・赤い鶴・・・・・・夕鶴ね・・・・・・・」

   「あら!? ファースト、珍しく、わかってるじゃないの!! そうよ、これは夕鶴なのよ!! 

   美しく夕空を翔く赤い鶴、まるでアタシと弐号機そのものね!! 」

   「・・・・・碇君・・・・・・・昨日、アスカと一緒に折ったの?・・・・・・」

   「あ、綾波。綾波も、鶴の折り方、教えて欲しいの?」

   「・・・・・・・」

   レイは黙ったまま小さく肯いた。

   「じゃ、今日でもうちに来るといいよ。教えてあげるから。あ、その前に、取り敢えず、これ、昨日の夜、作ったんだ。

   綾波にあげようと思って」

   レイは、白い小さな手のひらに乗せられた蒼い鶴をみつめた。

   「・・・・・これ・・・・わたしに?・・・・・・」

   「そうだよ。あ、気に入らなかったら、後で捨てちゃってもいいよ。今日、うちでもっとちゃんとしたの、作ればいいんだから」

   「・・・・・・・・・・・あ、ありがと・・・・・・・・」

   アスカは、頬を染めて俯くレイの様子を、いつもと違って温かい眼差しで見つめていた。

   (・・・・・・この子も何か寂しいことを抱えて生きているのよね、きっと・・・・・・・

     でも、アタシはもう寂しくないわ。寂しいのは、辛いのは、アタシだけじゃないって分かったから。

     それにシンジやレイ、そしてみんながいれば寂しくないし、自分らしく強く生きていけるわ。

     アタシが闘うのは自分のためだった。でも、これからは、みんなのささやかな幸せ、どこにでも誰にでもある幸せを

     守るため、っていうのも付け加えようかしらね。ま、さしずめ、人類の救世主アスカ様ってところね!!)


   アスカは、手のひらに赤い鶴を乗せて眺めると、とびきりの笑顔でクラスメートたちに向かって言った。

   「ほら、アンタたち、何騒いでんのよ!! もう授業、はじまっちゃうわよ!! シンジ、またアンタ、教科書

   忘れたの? なに? アスカに貸したままだよ、って? アンタバカぁ、そ、そういうことは早く言いなさいよね!! 」
 

  
   市立第壱中学校2年A組には、いつものような朝の風景が流れていた。     
    

F i n

ああ、とうとうやってしまいました、アスカ様主役SS・・・・。
今までレイ中心で書いてきたんで難しいですね。
でも、なかなか本編でアスカ様が登場できないんで可哀相になっちゃいまして
下手を承知で書いてしまいました。
下僕の方、是非、「ここをこうしたら」とか「こんなのはアスカ様じゃない」っていうようなコメントください。
それを材料にさせていただいて勉強します!!
メールはこちらにお送りください。お待ちしております。





SS集に戻るには、このを押してください。