ポートランド日記                                     スズキメディア

10月22日(月)──83日目


 大学は、2回目のスピーチ(デモンストレーションスピーチ)の初日。今日は、僕は指名されなかった(授業の最初に先生が黒板に今日のスピーカーの名前を書く)。取りあえず原稿は書いて準備はしてきたが、実際にスピーチの練習はほとんどしていないので、ほっとひと安心。
 今日は5人スピーチしたが、みんなテーマが面白かった。最初の日本人のナミさんは、生け花。実際に剣山を使って花を生けながら、説明をする。手を動かしながら英語を話すのは大変だが(僕は、食事の支度をしているときに英語で話しかけられると、完全に手が止まってしまう)、原稿を読むこともなく、的確に英語で説明していく。次は、韓国人の女性で、デジタルカメラを操作しながら、使い方の説明。ロシア人の女性は、型紙を持ってきて、洋服の裁断と縫い方について説明した。
 日本人のユリさんは、ぬか漬けについて解説。ベトナム人の女性のチーさんは、結婚式のフラワーアレンジメント。

 こうして、何かをして見せながら、英語で説明するとなると、原稿を見ながら話をするわけにはいかない。「スピーチは原稿を読むのではなく、聴衆に向かって話す」のを実現するのに、「デモンストレーションスピーチ」は打ってつけの方法だ。先生が、props(小道具)を必ず使うようにと言った理由がよくわかった。
 しかし、そうなると、水曜日か金曜日に回ってくるスピーチのためには、相当練習しないといけない。他のクラスメイトは年齢も若いので苦もなく英語を話している感じだが、僕は、英語で文章を書くことはできても、それをスピーチするとなると、まるでダメだ。実際にみんなの前に立って英語をしゃべりだすと、緊張もあって、自分が何を言っているかわからなくなってしまう。
 一回目の「インフォメーションスピーチ」のときも、原稿は読まないようにしようと思いながら、ついつい読んでしまったが、今回は、そういうわけにはいかない。あーあ、大変なことになってきた。

 昼はダウンタウンの「グッドドッグ/バッドドッグ」というホットドッグ店へ。ここは、「ポートランド・チープイーツ」というガイドブックに出ていた店だ。「ポートランド・チープイーツ」には、面白そうな店、おいしそうな店がたくさん載っている(全部で200店を掲載)。いろいろ回ってみたいと思っていたが、ポートランドにもだいぶ慣れてきたし、月水金は、学校の帰りにダウンタウンを通るので、まずはダウンタウンを中心に、「ポートランド・チープイート」に載っている店を回ってみようと思っている。

 で、手始めが、「グッドドッグ/バッドドッグ」というホットドッグ店だ。ホットドックはアメリカならどこにでもあるファーストフードだが、まだ本当においしいのには巡りあっていない。
 この店は、カウンターで注文してお金を払い、出来上がると席まで持ってきてくれる。メニューの「ガーリックドッグ」というのが目に付いたので、それと、チリのスープを頼んだ。全部で7ドルくらいと安い。
 ホットドッグは、自分で、ザワークラウト(酢漬けのキャベツ、ソーセージと相性がいい)や生タマネギ、トマトケチャップ、マスタードを入れて食べる。自家製というソーセージが癖がなくておいしかった。ザワークラウトも、日本ではあまりおいしいものに当たることがないが、絶品だった。
 チリのスープにもソーセージが入っていて、これもおいしかった。
 インテリアは、「グッドドッグ/バッドドッグ」という名の通り、犬の写真や飾り物があふれている。他にもいろんな種類のホットドッグがあるようなので、また来てみたい。

 夜は日本のビデオを見た。詳しくは明日(23日)の日記参照。

 隣の部屋の夫婦は、ハワイの日系人と判明した。奥さんと話したが、日系の四世だそうだ。ときどき、「四世です」とか日本語が混じる。「冷蔵庫に入っている食事からは全然わからなかった」と言ったら、「四世になると、日本の物はほとんど食べない」と言っていた。
 僕らのことは「納豆」があったので、日本人だろうと思っていたそうだ。四世ともなると、顔つきは日本人でも、すっかりアメリカ人ということなのだろう。


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