ポートランド日記                                     スズキメディア

8月25日(土)──25日目


 8時45分のバスでダウンタウンに行き、エンタープライズ・レンタカーで車を借りる。看護学部の秘書のジャニスさんからは1日20ドルと聞いていたが、店に行ってみると1日33.99ドル(保険別)。「20ドルと聞いたけど」と尋ねたら、それは、金曜日から月曜日まで3日間借りる時のことだそうだ。保険を入れると、$33.99×2日間よりも、$20×3日間のほうが高くなるから、そのまま借りることにする。
 ここは、保険のことは何も聞かれず、最初からついていたが(1日24.98ドル)、PAI(搭乗者傷害保険)とPEP(携行品保険)は、旅行の保険で入っているのでいらないという話をしたら、保険料が3ドル安くなると言われた。

 アメリカでレンタカーを借りるときは、保険の掛け方が難しい。日本のレンタカーは保険込みで借りるからいいが、アメリカでは、保険をどうするかたいてい聞かれる。しかも、保険は種類がいろいろあって、レンタカー会社ごとに呼び方が違うのでわかりにくい。
 たいていの旅行案内には、「もしものときを考えてフルカバーで」と書いてあるので、そうしているが、これからアメリカにしばらく滞在して、頻繁に車を借りることになるので、どこまで掛ければいいのか、インターネットで調べてみた。
 結論は、海外旅行の保険に入っている場合は、PAI(搭乗者傷害保険)とPEP(携行品保険)はかける必要がないようだ。LDW(車両損害補償制度)は、海外旅行保険には含まれないので、掛けないといけない。それに、LDWだけでは、補償額が低いので、追加に保証して保証限度額を引き上げるALIも入らないといけない。

 アメリカのレンタカーは借りるときに、車体の傷のチェックとか細かくするというのが、よく観光案内に書いてあるが、今まで十回以上レンタカーを借りたことがあるが、そういうことは一度もなかった。規則ではそうなっていても、みんな面倒だから省略するのかなと思っていたが、今日の担当のヒースさんは、車体の周りを一緒に回って傷などないことをチェックした。ウィンカーやワイパーの使い方も全部説明してくれた。マニュアル通りにきっちりやる人なのか、それとも、1000キロとまだあまり走っていない新車だからだろうか。

 レンタカーを借りて、寮に戻り、隣の歯学部の病院の駐車場に駐める。平日は患者さんが駐めるので駐車できない(罰金を取られる)が、土日は止めてもいいらしい。
 遅めの朝食と早めの昼食は、病院のカフェテリアで。
 病院のカフェテリアは24時間営業だが、朝食は、セルフサービスで自分で作るサンドイッチと、スープ(クラムチャウダーとチリ)と、昨日の残りのピザくらいしかない。僕は、ピザとクラムチャウダーにして、部屋で仕事をしているという、Cにサンドイッチを持っていった。
 昼食は、ローストポークに付け合わせはマッシュポテト(ダブルにしてみた)。Cは、サラダのみ。アメリカへ来て太るのを気にしているし、クリームやオイルの多い食事で胃も腸も疲れているようだ。僕も、カフェテリアへ行くと、クリームやオイルの匂いにまたかと思うようにはなったけど(やっぱり、醤油や味噌やだしの香りがなつかしい)、それでも食べるほうはまだ大丈夫だ。

 2時過ぎに、一緒に車で買い物に行こうと言っていたI先生から、「ダウンタウンでの買い物が長引いているので、先に行って」という電話があって、3時前に、ふたりで車で買い物に。
 8月4日にI先生に連れて行ってもらったビーバートンのターゲット(衣料、電気製品など、食料品以外は何でもそろう)と、そのときは前を通っただけだった日本食品店の「宇和島屋」とフレッドマイヤーへ行こうと、インターネットで住所を調べたり、地図をプリントアウトしたりするが、いまいち場所がよくわからない。一度行っているが、車に乗せていってもらって、時差ぼけでぼーっとしていたので、はっきりした記憶がないのだ。10号線に沿っているらしいことはわかったので、取りあえず行ってみることにする。

 寮から山を下りて、10号線にはうまく乗ることができた。地図上でこの道がたぶんそうだとう思っていたのが、その通り10号線だった。「アメリカやヨーロッパは、通りに全部名前がついていて、全部の通りが乗っている地図もあるから、道に迷うことはない」というけど、慣れないとなかなか難しい。
 全部の通りとその名前が乗っている地図はあるけれど、車で走りながらだと、通りの名前を見落としてしまうこともある。長く続いている通りだと途中で二つに分かれて、わからなくなってしまうこともある。
 今日も、10号線と210号線の分かれ道でどちらに行くか迷って、210号を選んだら、何だか通ったことのない道に入ってしまい、結局、戻ることになる。右側通行で運転しながら、道に気を配るのも大変だ。

 でも、何とかターゲットへたどりつく。ここでは、掃除用のモップ、仕事机用のライトスタンド、など足りないものを購入。ライトスタンドは、小さなのが8.99ドルと安く売っていたが、それに付ける電球を探すのにひと苦労した。日本なら、ライト用の電球の口金は、豆電球のように小さいものを除けば一種類だけだが、アメリカは何種類もある。ちょうどあったのを探すのが大変だった。


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