天下の『産経新聞』に、署名入りで“与太”を書く「東工大講師 山崎行太郎」氏

                                

大西 赤人       


 三回前の本欄で僕は、1月15日付『産経新聞』朝刊読書欄の「斜断機」というコラム欄に「東工大講師 山崎行太郎」氏が書いた文章について触れた。これは、父親である大西巨人に対する誹謗中傷に等しい内容のものだったけれども、反論、反撃を買って出るつもりはなく、ただ「家系」という引いては当方にも関わりのあるデタラメが書かれていたので、その点についてのみ言及した(未見の方は、バック・ナンバーにアクセスしていただければ幸いなり)。

 巨人はその後、山崎氏の求めた「証拠」「具体的な文献」を列挙した事務的な文章を『産経新聞』に送付し、これは「山崎氏に反論する」と題されて2月6日付同紙読書欄に掲載された。巨人に言わせれば“事実関係だけで「反論」などしていないのに、勝手に題名を変えられた”と不服げだったけれど、僕としては、それで一件落着――即ち、山崎氏は沈黙――するものと思っていた。

 ところが、2月20日、先回の記事のことを教えてくれた知人から電話がかかって、「いやあ、今朝、また載ってましたよ」というのである。彼も「なんかスゴい書き方」と半分面白がっているような声(?) で、早速ファックスしてもらったところ、「大西氏は『セコイ』」と、タイトルからなかなかに刺激的な代物だった(実は、この「斜断機」欄には、山崎氏の二本の間に別の筆者がやはり大西巨人批判を寄せており、その力の傾注ぶりには、眼を瞠らされるものがある)。

 今回においても、話の対象は前稿で触れた「大西巨人イコール海軍軍人の家系(大西瀧治郎の孫?)」というポイントに限定するけれども、山崎氏はこう書いている。
「まずは、内容空虚とはいえ真摯な反論をお寄せいただいたことに感謝する。また拙文中の《海軍軍人の家系》という表現は氏の弁明を認め取り消す。」

 「弁明を認め取り消す」という書き方も傲慢であり、『取り消すなら、当然、謝罪が伴なうべきだろう』と感じるけれども、それより驚くのは、次に続く一文である。
「(実ハ氏自身が半バ意図的ニ流シタ偽情報ダッタラシイコトガ判明シタ)」

 要するにここで山崎氏は、“大西は、自分が海軍軍人の家系であるというデマを(何らかのメリットを得るために)過去に自ら流したくせに、今となったら(何らかのデメリットを免れるために)そのデマの中身を否定した”と断定しているわけだ(しかも「ラシイ」と“セコイ”逃げ道も設けながら)。ここで再び氏の当初の言辞を引用して「証拠があるなら、具体的な文献をちゃんと提示したまえ」と迫ったところで、事は「偽情報」という曖昧な話だから、“言った者勝ち”ということなのだろう。いやあ、とにもかくにも天下の『産経新聞』に、しかも署名入りでこんな“与太”を書くことが出来るものなんだね……。

 巨人本人は、この山崎文について、ここでは略す後続の論点も含めて呆れ果て、「この人間は××で××××(あえて伏せ字)としか考えられない。その『証拠』及び『具体的な文献』は、二度に渡るコラムの文章それ自体だ」と話していたので、もう放置するつもりのようだが、僕としては、前回採り上げた行きがかりもある。『産経新聞』というマス・メディアを背負ってか意気軒昂な山崎氏、このインターネットの一隅のホームページなど歯牙にもかけそうにないが、教育者の一員とも思われないあまりにも乱雑かつ杜撰なその言語表現ぶりについては、ここに改めて確認しておきたいと思う。
(2000.2.28)

表紙に戻る