ローラ・ニーロ

 1947年10月18日、ニューヨーク、ブロンクス生まれ。
 1997年4月8日、コネチカット州ダンベリの自宅で死去。49歳。
 1966年10月、シングル「ウエディング・ベル・ブルース」でデビュー。続いて、ファーストアルバム「More Than a New Discovery」を発売。しかし、どちらもヒットにはいたらなかった。
 しかし、68年1月に発売した「イーライと13番目の懺悔」の2曲「ストーンド・ソウル・ピクニック」「スウィート・ブラインドネス」をフィフス・ディメンションが取り上げて大ヒット。ローラ・ニーロはソングライターとして脚光を浴びる。
自らのアルバムもコンスタントにヒット。ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズの「アンド・ホエン・アイ・ダイ」、スリー・ドッグ・ナイトの「イーライがやって来る」、バーブラ・ストレイザンドの「ストーニー・エンド」など、さまざまなアーティストが取り上げた曲も次々にヒットした。
 その後は、断続的に活動を続けていたが、93年には10年ぶりのスタジオ録音版「抱擁」をリリース、来日コンサートも行なって、健在ぶりを示していたところだった。


 アメリカには ローラ・ニーロさんの素敵なサイト があります。写真もふんだん、ディスコグラフィーもジャケット写真付きで充実しています。


オリジナル・アルバム

ファースト・ソングス More Than a New Discovery (1966)
イーライと13番目の懺悔 Eli and the Thirteenth Confession (1968)
ニューヨーク・テンダベリー New York Tendaberry (1969)
魂の叫び Christmas and the Beads of Sweat (1970)
ゴナ・テイク・ミラクル Gonna Take a Miracle (1971)
スマイル Smile (1976)
光の季節 Season of Lights (1977)
愛の営み Nested (1978)
マザース・スピリチュアル Mother's Spiritual (1984)
ライブ・アット・ザ・ボトム・ライン "Laura" Live at the Bottom Line (1989)
抱擁〜犬の散歩はお願いね、そして明かりはつけておいて Walk the Dog and Light the Light(1993)
Stoned Soul Picnic: The Best of Laura Nyro (1997)


ローラ・ニーロが亡くなった

 ローラ・ニーロが亡くなったという記事を、新聞で見つけた。49歳で癌で亡くなったそうだ。
 ミュージシャンの死というのは、いくつも体験している。70年代初めには、ジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリックス、ドーアズのジム・モリソンなど、ドラッグで命を落とした。
 80年に射殺されたジョン・レノンの死は、土曜日に会社で聞いていたFENで知った。英語だったので、最初は聞き間違いかと思った。
 ビーチボーイズのデニス・ウイルソン、リトル・フィートのローウェル・ジョージ、好きだったミュージシャンも亡くなっている。

 ニュースで亡くなったことを知ると、そうかと思う。でも、実感はあまりわかない。直接知っているわけではないし、レコードで聞いていただけの付き合いなのだから、レコードを取り出せば、死んだ後だって繰り返し聞き返すことができる。
 さすがに、ジョン・レノンの死は繰り返し報道され、追悼の音楽番組も多かったので、ああ、彼の新しい音楽を聴くことはもうないんだと思ったけれど、レコードを通して知っているだけの存在であるミュージシャンの死は、頭ではわかっても、心までは理解できない部分があると思う。
 唯一、リトル・フィートの再結成来日コンサートに出かけて、ローウェル・ジョージのいないステージを見て、ああ、やっぱり死んじゃったんだなと、思った。亡くなってからずいぶんたっていたけれど、葬式をしているような気分だった。

 身近な人の死は、通夜、葬儀という儀式のなかで、頭にも心にも刻み込まれるけれど、ミュージシャンの死はやはり遠い。
 でも、ローラ・ニーロの死は何だか特別だった。それほど熱心なファンではなかったけれど、アルバムを聴き返していると、ああもういないんだと実感できた。 彼女の音楽を聴いていると、スピーカの後ろにピアノを弾き歌っている姿が浮かんでくる。ライブは見たことがないのに、そう感じる。そのせいかもしれない。CDをかければ、彼女は歌い出す。でも、彼女はもういない。
 好きなミュージシャンの死を、違うふうに捉えるようになったのは、自分が年取ったからだろうか。でも、CDをかければ彼女は帰ってくる。いつでも会える。(1997.4.16)


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