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”豊か資源” 豊かな資源 アジアの急速な発展を支えているのは、アジア社会の潜在的な豊かさである。 アジアの経済発展は、潜在的に豊富な資源の利用を積極的に進めることに焦点が当てられていた。豊富な資源の大量利用に支えられた急速な工業化の遇程でアジアの巨大な生産力は欧米諸国を追い付き、追い抜き、世界の主要な成長ゾーンとして世界経済の動きに大きな影響を持つようになる。 アジアは伝統的に農業国家であり、農産物を中心にした一次産品輸出国であった。アジアは、タイ、ベトナムなど重要な米輸出国であり、世界の米生産の91%を占めている。また、綿花や天然ゴム、お茶、木材などの世界的な供給源でもある。 こうした豊富な植物資源を活用するには、農業生産システムの改革が不可欠であった。台湾、韓国などで行われた土地改革の推進、大々的な水利事業による豊富な水のコントロール、米作における“緑の革命”などの農業技術の革新などが、アジア諸国で広く普及することによって、農村社会の経済的基盤が強化されていった。 農業の発展に伴って安い食料が豊富に供給されると、生計費が抑えられ工業労働力の賃金は安くなり、また、食料輸入にまわされていた貴重な外賃を節約することができた。 安価な農村労働力の工業部門へ大量移動、さらに工業用農産資源の安定した供給、発展した農村における工業製品の販売市場の拡大など、豊富な農産資源の開発はアジアにおいては人規模な工業化を促進する基本的な要因になった。 フロンティア開発とエネルギー間題 資源には再生不可能で枯渇の危険性のある資源と、再生可能資源がある。たとえ再生可能な資源でも、急速に大量に使用し続けると、資源の再生能力がそれに追い付かず枯渇の危険性が高くなる。 アジアの潜在的な資源がどれだけ豊富でも、各国で高度な資源消費を短期間に繰り返すと、やがてその供給能力の限界が深刻な間題になる。アジアの大規模な高度成長が続けば、地球資源の枯渇という深刻な地球規模の環境間題が提起されてくる。 中国・ベトナムなどフロンティア経済では、石油、石炭など豊富な鉱物資源の供給が、貴重なエネルギー源として急遠な工業化を支えている。アジアではまだ十分開発されていない地下資源が多く残されている。 ベトナムの石油資源は、外国から資本と技術の導入の重要な導火線の役割を果たしている。 しかし、石油資源は再生不可能資源である。アジア各国の高度工業化に伴う大規模なエネルギー消費が今後も持続するならぱ、近い将来アジア地域で石油資源の枯渇を招く恐れが危惧されている。 中国でも石油がすでに輸入されようとしており、石油大国インドネシアでは近い将来石油の輸入国に転じると言われている。その結果、高度成長を支えるために石油に代わる石炭の大景利用や、まだ未熟な安全技術での原子力エネルギーの大々的な導入がアジア各国の広い範囲にわたって進められる可能性が高くなる。 その際、18億という巨大な人日の密集した東アジア地域において、広い地域にわたる酸性雨の拡散の危険や、チェルノプイリ型の核被害の拡散など大規模な環境破壊という危険性が予想される。 今後、資源の積極的な活用と同峙にいろいろな面で環境技術の開発・改善、技術移転が、日本など先進国を含めたアジア太平洋経済の最大の謀題になってくる。 高い貯蓄率と外国資本の導入 アジアでは70年代後半から貯蓄率は非常に高くなり、国内の資本市場で資本供給メカニズムが十分個くようになった(7)。 当時すでにNIESでは25%、アセアンでは20%をそれぞれ越えるまで国内貯蓄率が上昇した。儒教文化の影響を受けて人々は華美な浪費を戒め、将来の生活のために貯蓄する気風が強い。 中南米などに比較してまさにアジアに特有なもので、こうした人々の高い貯蓄性向はアジアの高い成長を支える基本的な要因の一つであった。 こうした豊富な資金供給が、すでに見たような豊富な食料晶の供給と並んで、高度成長過程におけるインフレの抑制に大きな役割を果たした。 また、大量の資金投入を必要とするインフラの整備(それ自身しばしばインフレを激化させる要因であるが)には、主に外国からの豊富な資金導入に依存したが、政府の誘導した電力供給や生産関連インフラの整備の結果、直接的部門の生産拡大に伴うインフレ圧力がそれだけ抑えられた。 発達した資金市場を背景に、政府は安定した財政金融政策を導入することが可能になった。 二度にわたる石油ショック時でも、政府の緊縮マクロ政策を通じて比較的早い時期に経済の立ち直りに成功した。高度成長経済では、膨大な通貨発行に伴ってインフレがいったん昂進すると、スパイラルな上昇過程を描いてもはや政府がコントロールできなくなる。多くの経済開発の失敗はこうしたインフレ退治の矢敗から始まっている。 その意味でアジアの安定した資金供給と政府の抑制の効いた金融財政政策の運用は、アジアの持続的な高度成長にとって極めて大きな役割を果たしていた。 発達した国際金融市場 現在、アジアの国内資本市場(株式市場など)は急速に発達して規模が大きく拡大し、欧米企業や国際機関・公的機関がアジアの資金市場で資金調達を大々的に進めている。 アジアの経済発展に活用される外国資金の導入は、近年急速に膨らんでいったが、各国政府が良好な国際経済環境を経済発展に結び付けるように積極的な経済開放戦略を展開したことが、その重要な背景をなしている。 アメリカの多国籍企業は電子産業などでアジアに生産拠点を大々的に移転させており、また日系企業は円高経済への移行過程の中で、国際的な生産拠点のリストラとしてアジア回帰への勢いを加速化させている。 香港、シンガポールという国際的な資本市場は、その後背地のアジア諸国へ大量の資金導入の窓日として大きな役割を果たした。アジアのオフショアマーケットとして、香港市場、シンガポール市場の国際金融機能は、東京市場と並んでアジア地域に向けた豊富な資全の国際的供給チャネルとして極めて重要な役割を果たしている(9)。 シンガポールのオフショア取引の規模は3500億ドルの規模に膨らんでいるが、アセアンの発展にとってシンガポールの世界的な情報機能と金融機能は極めて童要な位置を占めている。 また、香港市場のオフショア取引は、すでに5600億ドルにも達し、東京オフショア市場の規模に近付いているが、高度成長の中国経済、特に華南経済への資金流入の窓日としてますます重要な金融活動を展開している。 (注) (6)ロシアのアジア接近の間題については、渡辺昭夫『アジア・太平洋の国際関係と日本』第l章。 (7)NIESにおける金融資産蓄積のメカニズムについて、ヴォーゲル同書、第5章。 (9)香港、シンガポールの金融取引きの規模については、伊藤忠商事企業コンサルタント室『新しいアジア経済の読み方』の「飛躍的拡大するアジアの金融市場」 |