音楽ソフト->Windows->その他->星空のオルゴールの開発について

 
  星空のオルゴールの開発について、開発の経緯などを紹介します。ソフトウェアは、こちらにあります。  
開発のきっかけ
開発のきっかけは単純です。夜、空に見える星は、空のどこかを中心にして、時間とともに回転しているはずです。これを、オルゴールの回転盤にみたてて、音楽を演奏するようなソフトを作成できないかと思いついたのがきっかけです。
星の位置には、あまり脈略はありませんから、それによって生成される音楽も、おそらく、脈絡の無いものになるであろう、ということは容易に想像できたのですが、とにかく、どんな感じになるのか、聞いてみたかったのです。

プログラムの動きとしては、星図盤を回して、星が地平線(?)に沈むときに、音が鳴るような感じをイメージしています。
星の位置から音楽を生成するということについて
自然界にある色々なデータから、音楽を生成するというのは、大きく言えば、アルゴリズム作曲の分野に入ります。私は、ケプラーの惑星音楽とか、、遺伝子から音楽を生成するとか、地形データから音楽を生成するとかいったソフトも作って公開しています。
ただし、遺伝子や、山々が形づくる地形といったものには、各データのつながりに、なんらかの関係というか、脈略があります。この脈略が、ときには、1/fのゆらぎなど、音楽的に意味がありそうなものを、生成される曲に与えているわけですが、地上から見える星の位置関係には脈略が薄いです。なぜなら、地上から星を見ると、角度だけが関係あり、その星が、どれだけ遠く離れているかは関係ないからです。実際には遠く離れた2つの星でも、角度的に近ければ、近くに見えたりするわけです。
「遺伝子」や「地形」から音楽を生成することに関して、「そんなに意味があるのか?」と思う人は多いわけですから、「星の位置」から音楽を生成するということについては、それ以上に「どんな意味があるのか?」ということになるわけです。
では、なぜ、このソフトを開発したかというと、やはり、「どんな感じになるのか、聞いてみたかった」というのが理由です。学術的な意味あいなどは薄く、ファンタジーな世界を追及してみたかったのです。
プロのミュージシャンで、同じように、星座から音楽を作っている人に神山純一さんという方がいます。星座の形を五線譜に置き、それをモチーフに作曲を行うという手法です。神山純一さんは、このほかに、オーロラの観測データから音楽を作るとか、虫の鳴き声で音楽を作るとか、そのようなこともされています。(アイデアは斬新ですが、曲はとても音楽的です。CDも、たくさんでています。)
データについて
私は、もともと、プラネタリウムなどは好きで良く行っていましたが、特に天文に興味があるというわけではなく、天文データや、天体の運動の計算などに関して、まったくの無知です。
円盤上の、どこに星を表示するかと、星の明るさぐらい分かれば良いと思い、関連書籍を調べてみました。そして、赤緯と赤経というもので、星の位置が分かるということが分かりました。赤緯と赤経というのは、要するに緯度と経度です。円盤上の緯度と経度が分かれば、そこに点を表示するのは簡単です。
ただし、赤緯と赤経で、星図盤と同じものをプログラムで再現できるのですが、これだけだと、日時の概念はなく、全部の星が円盤上に表示されてしまいます。実際のプラネタリウムでは、日時から見える星の位置を計算していますが、私の力ではここまでは出来ませんでした。ですので、今のバージョンでは、天頂(北極星)を中心にクルクル円盤を回して音を出しています。(ちなみに、星図盤でも、上にフィルムがかぶせてあって、それを回転させると、特定の日時の星座が分かるようになっています。)
元データとなりそうなものは、ネット上でたくさん見つかるのですが、数が多いため、1等星と主な恒星を約30と、M1〜M110までの星雲・星団を登録しています。これらは、メシエというアマチュアの天文家が整理した空で明るく見える星雲・星団です。ウルトラの星のM78というのは、本当にあったんですね。。。
音の割り当てについて
音の割り当てについては、オルゴールを模していますので、見ればだいたい分かるかと思います。天頂に近いほど、高い音がでるようになっています。12音のスケールでそのまま音を割り当てると、やっぱり現代音楽っぽくなってしまうので、ダイアトニックスケールや、陽音階なども割り当てられるようにしています。
 
今後の課題
時間が経過すると、西に沈んでいく星の動きを利用して、音楽を生成するというのが最終目標です。
もし、この部分を手助けしてくれる人がいたら、メールで教えてください。(下の郵便ポストのアニメをクリックしてください。)