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  音楽がもつ「ゆらぎ」について紹介します。  
自然の中のゆらぎ
 ゆらぎとは、特定のパターンが忠実に繰り返されるのではなく、繰り返されるパターンが時間的に変化するような現象を指す言葉です。
質や量が、一定ではなく、時間の経過とともに大きくなったり、小さくなったり、あるいは、強くなったり弱くなったりすることを言います。
 しかし、「ゆらぎ」という言葉が使用される場合には、乱数で生成された数値のように、でたらめに変化するのではなく、変化の中にも、なにかの規則性があるということを暗に示しています。
 つまり、ゆらぎの背後には規則性のある動きがあり、ゆらぎは、「規則性が崩されること」として解釈することができます。
要するに、「ゆらぎがある」とは、一本調子ではなく、「秩序」と「無秩序」の両方が含まれているとい意味です。
 私達の身の回りには、自然の作り出す「ゆらぎ」が多く存在しています。周波数ごとに波の強さを調べると、ゆらぎの変化の度合いを知ることができますが、1/fというゆらぎが含まれているものが、特に人間にとって心地良いゆらぎである言われています。1/fのゆらぎは、秩序と無秩序のバランスを示す言葉ですが、たとえば、人間の鼓動や、川のせせらぎは、1/fのゆらぎの特性をそなえています。また、気温の変化や年輪なども1/fのゆらぎの特性をそなえています。
 
音楽のゆらぎ
 音楽を構成する各音は、思いつくままに、自由に選べるわけではありません。音階や和声、前後の音との関係などによって、制限されます。「同じ音が続きすぎない」「音が飛びすぎない」などは、もっとも単純なルールです。「繰り替えしと変化を適度に含んでいる」ことが基本的な条件なのです。
 たとえば、順次進行ばかりで、あまりにも緩やかに流れるメロディでは、違和感はないものの退屈なものになってしまいます。次に来る音が、予測できてしまうからです。やはり、聴き手の興味を引くためには、3度、4度、5度で跳躍する音を混ぜるなど、適度に変化させることが必要になります。このように考えていくと、良いメロディの条件は、「予測される音」と「意外な音」のバランスが良く取られているということになります。順次進行する音や、跳躍する音がバランスよく含まれていなければ、心地よいメロディにならないのです。
 音楽では、モーツアルトの曲は、「1/fのゆらぎ」の特性を備えていると言われています。「1/fのゆらぎ」の音楽を聞くと、脳がリラックスしている状態のα波を出すと言われています。