研究テーマ->調律の知識
  調律の知識について紹介します。 主にピアノの調律について紹介しています。(このページの内容は、一部、張能調律事務所からいただいた情報をもとに構成しています。)  
調律とは
調律とは楽器で特定の音を出したときの音の高さを音律で決められた音の高さにあわせることを言います。音律には、「純正律」「平均律」など、様々なものがあり、音律と、 基準とする音によって、各音の高さが異なってきます。 たとえば、「純正律」「平均律」では調律が異なりますし、同じ「純正律」でも、調が異なれば、調律が異なります。
ピアノの調律
ピアノでは、中・高音域では、1つの音につき、3本の弦が、 低音域では太い1〜2本の弦が貼られています。標準的なピアノは、36の黒鍵と52の白鍵で、88鍵を備えています。ピアノの調律では、これらの音を2つの音の間で生じるうなりを 聴きながらあわせていきます。
ピアノの調律師
ピアノの調律は、専門の知識が必要とされるため、調律師と呼ばれる人たちが行います。調律師になるための学校が、国内に何か所かあり、そこを卒業した人たちが、 楽器店等に所属して、一般家庭のピアノや、ライブハウス、コンサートホール等に置かれているピアノを 調律します。もちろん個人で看板を掲げて仕事をしている調律師もいます。
 
調律師の職人的側面
ピアノの音を調律するということは、ある音を弾いたときに、音律で定められた周波数で音が鳴るようにすることと同義です。とすると、「チューニングメーターを使用して、理想値にあわせれば良いのでは?」という疑問が生じるかと思います。しかし、88鍵すべての音を理想値にすることには無理があります。たとえば、同じ弦をたたく場合でも、たたく強さによって多少、音の高さが違って 感じられますし、楽器の大きさ、材質 、弦の貼り具合などからくる倍音の変化と、弦同士の共鳴なども考慮しなければなりません。 このため、たとえ理想値に設定したとしても、楽器全体の響きとしては、イマイチ、ということになってしまうのです。
調律の目的は、各音の高さをできるだけ音律の理想値にあわせることではなく、複数の音を同時に弾いたときにうなりという形であらわれる 歪みをできるだけ分散させ、聞いたときに不快感がない状態、心地よい響きにすることです。前者の視点とは異なり、後者の視点には正解がありませんから、ここに、職人的な技が入り込む余地があるわけです。また、どのような響きが心地良いかは、ジャズやクラシックなど、音楽のジャンルによっても少し異なりますから、調律師は音楽ジャンルにあわせて調律を加減するということを行うようです。