MusicPlant (ミュージック・プラント)
Music Plantは、PCと電子楽器を使用したメディアアート作品です。ここでは、MusicPlantのコンセプトや技術的情報を紹介します。  English 
Music Plant(ver2.0)の概要

 

ミュージックプラントは音楽で成長し、新たな音楽を生成する不思議な仮想生命体です。電子ピアノやギターなどの電子楽器で任意の曲を演奏すると、モニター上の植物が成長します。演奏を終えると、演奏した曲に基づいて新しい曲が生成され、プレイバックされます。



 

演奏を始める前、初期状態では、茎だけの原始的な植物が中央に表示されています。演奏を始めるとバーチャル植物が成長していきます。この時、植物の形は固定ではなく、その時々の演奏を反映したものになっています。電子ピアノのキーを1つたたくと枝が1つ増えますが、音階上の音と枝の伸びる方向との間に、ある法則が割り当てられています。 また音の長さと枝の長さも関係づけられています。なお、2音同時にキーを叩いて和音を演奏すると、枝が2つ同時に伸びるようになっています。 最終的な植物の形状は音楽的な入力を反映したものになります。曲によっては複雑な形状が生成される場合もあれば、曲の音楽形式に応じて比較的単純な形状が生成される場合もあります。
演奏を止めてしばらくすると植物の再描画と曲のプレイバックが始まります。枝が 再描画される際に、その枝に割り当てられた音が鳴りますが、この音は、その枝が生成された時の音と同じではなく、ある法則に従って変換が行われています。 枝が生成されたときと同じ順で再描画が行われますが、再描画の時に出される音は、元の音程を裏返したもの(高い音を低い音に、低い音を高い音に したもの)になっています。(※旧バージョンにあった時間軸を反転させる機能は廃止しています。)

ミュージック・プラントのシステムでは、このような音楽の反転機能をを「ミュージック・ミラー」と呼んでいます。ミュージック・ミラーの詳細は後で解説していますが、元の演奏が音楽的なものである程、 再描画の時にプレイバックされる音楽も音楽的なものになります。でたらめに演奏した場合は、再描画の時に返ってくる音楽もでたらめな感じなものになります。

音楽植物のアナロジーは、構成と分解のプロセスを通じて演奏を視覚化する方法を提供します。例えば、音楽的特徴に共通する部分があると感じられる曲同士では、似たような植物の形を生成する傾向があります。音程を逆転させることは、「良い曲」の重要な要素を判断するのにも役立ちます。多くの有名な曲は、 反転の演奏をしても心地よく聞こえるということがそれを示しています。

コンセプト 
(1)音の履歴を、形として表わすことにより、音楽の構造を視覚化する。
(2)音程を反転しても、元の曲から受け継がれる音楽的特性があることを示す。
音のアルゴリズム(Music Mirror) - 音の反転
前述のように音の反転を行う仕組みのことをMusic Mirrorと呼んでいます。具体的には、下で説明している垂直方向の反転や水平方向の反転 の機能です。水平方向の反転は、時間軸を反転させます。このため、最初の音符は最後に、最後の音符は、最初に演奏されるようになります。垂直方向の反転は、音程を反転させます。
MusicPlantでは垂直方向の反転を行っています。(旧バージョンで備えていた水平方向の反転は廃止しました。)
音の垂直反転



 

垂直方向の反転では、ちょうど楽譜を鏡に映して 上下を逆にしたように、高い音は、低い音に、低い音は、高い音にして演奏されます。 ただし、Music Plantでは反転によって、音が高すぎたり、低すぎたりして不自然にならないように、オクターブを上下させる操作をしています。

元のメロディ



 

垂直方向に反転させたメロディ



 

和音の各音の配置が反転されることにより、コードの構成も反転されます。例えば、メジャーコードは、音程を裏返すと、マイナーコードになります。これは、短3度と長3度を積み上げた和音「メジャーコード」は、長3度と短3度を積み上げた和音「マイナーコード」へと変換されるためです。例えばC△のコードはFmのコードになります。特定の音(下の例ではCの音)を中心に反転させます。(実際の処理では、Fmの音は1オクターブ下になります。)

和音の反転



 

曲全体では、長調の曲は短調の曲に、短調の曲は長調の曲に変換される仕組みですから、明るい音楽は、暗い音楽に、暗い音楽は明るい音楽になってプレイバックされます。



 

音階もミュージック・ミラーの処理を行うことにより別の音階が形作られます。例えば沖縄音階に反転の処理を行うと、日本の時代劇で聞かれるような都節音階になります。

音階の反転



ダイアトニックスケール


陽音階



沖縄音階と都節音階



全音音階

垂直方向の反転(動画)

 

音の水平反転



 

水平方向の反転では。ちょうど、楽譜を鏡に映して 左右を逆にしたように、音符の順序を逆にして演奏されます。 最初に演奏した音は最後に、最後に演奏した音は最初に再生されます。

元のメロディ



 

水平方向に反転させたメロディ



 

水平方向の反転(動画)※現在のMusic Plantにこの機能はありません。

描画のアルゴリズム - 植物の成長



 

鍵盤を叩くと、1つの音に対して1つの枝が植物に加わり、演奏を続けると植物が成長していくようになっています。
音階上の音(ドレミファソラシと#、bを含む音)には特定の角度が割り当てており、同じ音(オクターブ違い含む)を弾くと同じ角度の枝が伸びるようになっています。
このため、植物の形は、曲の中のそれぞれの音の出現頻度を反映したものになっています。
システム構成



 

Music PlantはPC、モニター、電子楽器で構成されています。電子楽器はMIDI信号を送受信できる電子ピアノ、ギターやその他の形態のMIDIコントローラーと呼ばれる機器などです。MIDIコントローラーに音を出す機能がない場合は、MIDI音源と呼ばれる機器も必要になります。PCと電子楽器はUSBケーブルで接続されます。モニターの左半分にはピアノロール形式で入力された音とプレイバックされる音が表示され、右半分にはバーチャル植物が描画されます。
バリエーション
写真・動画
開発の経緯
この作品は、2000年に最初のバージョンを発表した当時、MicroSoftのDirectXという技術を描画に使用していました。(このバージョンは2013年を最後に展示を終了しました。)20年以上の時を経て、新しくプロトタイプの開発を始める際に、DirectXの技術はサポート終了となっていたため、同じコンセプトのもと作品全体を ゼロから再開発しています。 プロトタイプバージョンの開発で幾つかの試行錯誤と機能追加を行った後、「瀬戸線沿線アートギャラリー化プロジェクト」への展示のため。大幅な改修を行い、ver2.0として完成させました。描画部分を「瀬戸線沿線アートギャラリー化プロジェクト」 のイベントコンセプトにあわせて作りなおした他、ピアノとギターなど複数の楽器からの演奏を同時にうけるような改造も行っています。また改修に伴い、演奏の時間を反転させる機能は廃止しました。
旧バージョンの内容は、
MusicPlant 旧バージョンのページでご覧いただけます。
展示記録 全展示記録
2025/6/22 NT金沢 ステージ・パフォーマンス
2024/11/23~24 大垣ミニメイカーフェア NxPC (ステージパフォーマンス)
2024/11/14~17 みかのはら~と(京都府木津川市加茂町)(暗室展示)
2024/03/24 NT京都 (暗室展示)
2024/02/01~2024/02/29 KANSEI SAKUMACHI(瀬戸線沿線アートギャラリー化プロジェクト)
(名鉄瀬戸線清水駅構内展示)