研究テーマ->ジャンル研究->民族音楽->インド音楽
私は、各民族音楽の特徴をとらえ、コンピューターの自動作曲で、それを再現するということを試みています。このページは、私が、自動作曲システムに、各民族音楽の作曲機能を組み込む際に、特に留意した点を中心にして書かれています。  
特徴
インドの音楽は地域により、幾つかに分類されますが、ここでは特にヒンドゥスターニ音楽について記述したいと思います。このページでは各民族音楽の特徴を強引に短くまとめて記述していますが、それぞれの音楽は、もっと複雑なものです。特にこのインド音楽は、耳慣れた西洋音楽の体系からは、かなり離れていますので、読む前に、以下で記述するのは、非常に表面的なものであることを、理解しておいてください。(以下の内容は、Nさんからの情報をもとに記述しています。)

まず音程ですが、もともとのインド音楽で使用される音程は、12平均律の音程とは、かなり違ったものになっています。インド音楽の各音程は、12平均律の音程のように、等間隔に並べられているわけではなく、7つの音程が1オクターブ内に、不均等な間隔で置かれます。これら7つの音程は、Sa, Re, Ga, Ma, Pa, Dha, Ni, Saと呼ばれますが、これは、西洋音階のドレミファソラシドに相当します。ヒンドゥスターニ音楽は、即興性の強い音楽で、あらかじめ入念に作曲された曲を楽譜に基づいて忠実に再生するのではなく、演奏家がその場で旋律を創造します。しかし、演奏家の思いつくままに演奏するわけではなく、ラーガというルールに従いながら即興演奏していきます。ラーガは、音階を規定すると同時に、「Aの音の次は必ずBの音を演奏しなければならない」とか、「旋律が下降する場合のみ、Cの音を使用する」とかいうような旋律の基本構造をも規定します。このように音楽は、厳格なルールに基づいて演奏されますが、演奏そのものは常に新しいものになります。

次にリズムですが、インド音楽において、リズム・サイクルのことをタ−ラ(もともと「手のひら」とか「拍子」を意味する言葉)と呼びます。タ−ラでは、一定のリズムパターンを周期的に反復します。リズムパターンの最初の拍はサムと呼ばれますが、リズムパターンやメロディのバリエーションも必ずサムで解決されます(でないと、サイクルになりませんね・・・)。 

最後に使用される楽器と合奏の形式ですが、インド音楽と言えばやはり「シタール」と「タブラ」による合奏でしょう。(パカウジというタブラの出来た原形といわれる太鼓もお祭りなどで見かけることが出来ます。)合奏は、ア−ラ−プとガットと呼ばれる2つの部分で構成されます。ア−ラ−プは、決定されたラーガの音階型、表情を紹介する過程です。

主奏者は、ひとつひとつの音とラーガのもつムードを確立していきます。通常、テンポのない部分(この部分も狭い意味でア−ラ−プと呼ばれる)から、一定のテンポのある部分を演奏し、ア−ラ−プ全体が終了します。一定のリズム周期(タ−ラ)に基づくテーマが主奏者によって提示されると、後半の合奏部分ガットの開始です。ここでタブラ−奏者は、提示されたテーマがどのタ−ラに基づくものなのかを瞬時に判断し、そのタ−ラの基パターンを叩き始めます。ガットでは、主奏者はテーマや旋律パターンの変形は、あるまとまりをもった段階で解決し、再びテーマに戻ります。そして主奏者がテーマを繰り返し始めると、タブラ−奏者は即興的に様々なリズムの変形を披露します。両者はこうしたやりとりを繰り返しながらしだいにテンポを速めていきます。通常は途中で別のタ−ラに移行し、両者の技術の限界に近いスピードまで全体を盛り上げクライマックスをむかえます。ここでの演奏家たちのやりとり、瞬間的に相手の意図を察知したパターンの再現、はぐらかし、一体となった高揚などは、聴衆にとってもスリルと興奮に満ちたもになります。
自動作曲ソフトによる再現
自動作曲システムでは、シタールの音を使用して、インド音楽の雰囲気を模倣するという程度にとどまっています。ドローンと呼ばれる低音弦の持続音や、共鳴弦のタリラリラ〜という音を加えているのが、工夫といえば、工夫ですが、インド音楽らしく聞こえるでしょうか??  
自動作曲システムによるサンプル曲
音階
カーマヴァルダニ「ド」「レb」「ミ」「ファ#」「ソ」「ラb」「シ」、他 
楽器

シタール メロディと伴奏を弾く弦楽器です。
タンブーラ ドローンと呼ばれる低音を弾く楽器です。

タブラ 太鼓です。
エスラージ 弓で弾く弦楽器です。
関連リンク
ラーガ、ターラについて知りたい人は、馬鹿の大妙薬というサイトに行きましょう。
英語ですが、
Sound of Indiaというサイトもあります。
Buckingham Music
というサイトでは、シタールの弾き方が紹介されています。(エレクトリックシタールというのも紹介されています。)