研究テーマ->DTM->色々な音楽ファイル->WAV,MP3,MP4,3GP,WMA,MLD,MMF,MIDIなどでどのファイルの音質が一番良いですか?
このコーナーでは、MIDIやMP3など、インターネットでよく使用されるファイルについて解説します。みなさんから送られてきた質問に答えるという趣旨のものではありません。よくある疑問について、解説するというコーナーですので、質問メールなどは受け付けていませんので注意してください。  
WAV、MP3,3GPの音質とMIDIの音質は比較することはできない
WAV、MP3、3GPの音質とMIDIの音質は比較できません。(これらのフォーマットについては、こちらを参照してください。)
これは、WAV、MP3、3GPが音そのもののが録音されている(波形データと考えると分かりやすい)のに対して、MIDIは演奏情報しか記録されていないからです。なので、MIDIは、どの音源(PC内蔵音源とか、外部音源とか、シンセサイザーとか)で再生するかによって音が変わります。
たとえば、ベートーベンの第九のCDを2枚もってきて、どっちの音楽が良いかという議論はできますが、CDと楽譜をもってきて、どっちの音楽が良いかという議論はできないのと同じです。楽譜をニューヨークフィルが演奏すれば、抜群の音楽になるでしょうし、中学校の吹奏楽部が演奏すれば、それなりの演奏にしかならないのと同じです。繰り返しますが、MIDIは演奏情報しか記録せれていないので、音質に対する議論はできません。
WAV、MP3,3GPの音質とMMF、MLDの音質は比較できる場合とできない場合がある
MMFやMLDは、MIDIのような音楽情報が記録されている場合と、WAV、MP3、3GPのように音そのものが録音されている場合の2つの場合があります。なので、比較できる場合と、比較できない場合があります。(比較できない場合の理由はMIDIと同じです。)
基本的にはWAVの音が一番良い
WAVは、波形データがそのまま圧縮されずに記録されています。これをPCMデータといいます。(実はWAVはPCM以外のデータであることもあるのですが、話がややこしくなるのでここでは考えません。)
一方、MP3,3GP,MMF、MLDはいずれも、圧縮された音データが入ってます。PCMデータをなんらかのアルゴリズム(コーデックといいます)で、圧縮したものです。
ここまで書くと分かると思いますが、MP3,3GP,MMF、MLDはWAVを圧縮したようなものなので、これらの音質はWAVよりも悪くなります。

別の見方をしてみましょう。ファイルサイズ=情報量と考えてください。同じ3分の曲に対してWAVは数十メガバイトもあるのに、MP3や3GPは数メガバイトしかないといいうことがよくあります。元は同じものなのに、ファイルサイズが小さくなっているということから、何らかの情報が失われていると考えてください。つまり、その分、音質が悪くなっている可能性があるのです。
WAV、MP3,3GP、MMF、MLDの比較をする場合は、ある程度、条件がそろっていないと意味がない
基本的にはWAVのほうが音が良いということはわかってもらえたと思いますが、これはある程度、比較する条件が同じ場合の話です。
WAVには、サンプリングレートとビット数、ステレオ、モノラルという属性があります。たとえば、CDだと、サンプリングレート44.1kHZ、ビット数16のステレオの形式のPCMデータを持っています。ときどき、音楽ソフトなどで「CDと同じ音質」と書かれているのは、ファイルがこの形式で出力されるからです。
このサンプリングレートやビット数を低くすると、同じWAVでも音は悪くなっていきます。
MP3にも同様に、サンプリングレートなどの属性があります。

ここで、たとえば、サンプリングレート8Kで8ビットのWAVファイルと、サンプリングレート44.1kHZのMP3、あるいはMP4や3GPファイルがあったとします。聴きくらべてみると、WAVのほうが音質が悪いはずです。
同じサンプリングレート、たとえば、44.1KHz、16ビットのWAVファイルと44.1kHZのMP3、MP4、3GPなどを比較するとWAVのほうが音が良いですが、違うサンプリングレートのものを比較しても、意味は無いということです。
ファイルサイズと音質
前の項目で、圧縮されるとファイルサイズが小さくなり、情報量が失われて、音質が悪くなると書きましたが、ファイルサイズ=音質という単純な関係でないことに注意してください。たとえば、元が同じ曲に対して、WAVのサンプリングレートやビット数を落としてMP3やMP4と同じファイルサイズのファイルを作ったとします。この場合、聞き比べてみると、WAVのほうが音が悪いはずです。これは、MP3やMP4では高度な圧縮技術が使用されているためで、ファイルサイズが小さくなったほどには音が悪くならないということがあります。
WAV,MP3とMMF、MLDを比べてみる
前述のようにMMFやMLDには、波形データが入ったものと、音楽情報が入ったものとの2種類があります。波形データが入っているものの場合、基本的には、MMF,MLDよりも、WAVのほうが音がよくなります。これも前述のように、サンプリングレートやビット数が同じであればの話です。
MMFやMLDは、ADPCMという形式で圧縮されており、レートやビット数が同じであれば、単純にファイルサイズが1/4になります。それだけの情報量が失われ、音が悪くなっているわけです。