研究テーマ->作曲法->音楽の知識があまり無い人向けの作曲法  
  作曲に関する手法を、独自の視点で解説します。ここで解説する方法は、音楽理論をもとにした一般的な作曲法とは異なっています。 ここで解説したいのは、ある手順に従って、音を並べていけば、誰でも、それっぽい曲が作曲できるということです。  
 
メロディの数にも限りがある
メロディは、フレーズの集まりと考えることができます。フレーズとは、たとえば、チューリップの歌だと、「咲いた」「咲いた」「チューリップの花が」のような「」ごとの区切りのことです。ここで、このフレーズのバリエーションには、どの程度の数があるのかというのを考えてみましょう。メロディが、ドレミファソラシドなどの音をつなげていくものだとすると、その数には限りがあるのではないか、ということは
理解できると思います。有限であれば、全部のパターンを試してみるということも可能なわけで、これを実践した研究者もいます。

この研究者は、デイヴィッド・ムッサー教授という人で、「コンピュータ・ワンダーランド」という本に、その詳細が紹介されています。
ポイント
可能なメロディの組み合わせを計算し、演奏装置を作成して学生に聞かせた研究者がいる
 
可能な音の組み合わせを計算してみよう
フレーズとして、どのくらいの数がありえるのかを考えてみましょう。フレーズには、3音くらいの短いものや10音を超える長いものもあると思いますが、話を簡単にするために、フレーズは、6つの音から出来ていると仮定します。そして、1つ1つの音の長さは考えないものとします。(たとえば、全部8分音符で出来ていると考えます。)
コンピュータでは、色々なオクターブでドレミファソラシドなどの音が用意されており、これは、128種類あります。たとえば、真ん中のドは、60、ド#は61、レは62、低いドは48、もっと低いドは36などのように数字が割り当てられています。
もし、フレーズの音が6つの音からできているとすると、その組み合わせは、128の6乗で4,398,046,511,104通りになります。
しかし、通常のメロディの音域は、2オクターブ弱くらい、音の番号で言えば、たとえば、60〜83のように、限られた範囲でつくられています。そう考えると、組み合わせはもっと少なくなり、24の6乗で、191,102,976通りになります。
この数字は、24種類の音の中から、ランダムに選んでならべた場合の組み合わせですが、メロディっぽくしようとすると、さらに幾つかの制約が加わります。

たとえば、24というのは、上図のような、「ド」「ド#」「レ」「レ#」から上の「ラ」「シ」までの範囲になりますが、たとえば、ハ長調の曲だと、24の音が全部使われるわけではなく、「ド」「レ」「ミ」など、#やbのつく音は使用されません。ハ長調だと、24ではなく、下図にある14の音の中から音が選ばれますから、組み合わせは、7529536通りとなります。だいぶ少なくなりましたね。。。

さらに、通常のメロディでは、前の音と次の音の音程は、1度から2度になっているものが多く(順次進行といいます)、次に、3度、4度、5度の音程のもの(跳躍進行といいます)が多いです。1オクターブ以上、次の音でジャンプすることは稀です。(「度」という言葉の意味が分からない場合は、1度は同じ音、2度は1つ上か下の音、3度は、2つ上か下の音と考えれば良いです。)
このほかにも、音楽には色々なルールがあり、前の音が決まっていていると、次の音に選べる候補の数は限られています。上下の進行が可能ですから、次の音の候補の数が、平均的に、8個くらいとみると、262144通りになります。
仮定が強引なところもありますから、この数字は、いいかげんですが、メロディとして可能な音の組み合わせの数は、有限であり、天文学的な数字では無いということが分かってもらえたと思います。
たまに、芸能界で盗作騒ぎがおきることがあります。誰かの作ったメロディが、誰かの作ったメロディに似ているというやつです。組み合わせの数が限られていることや、人間の考えることはだいたい同じ、というように思うと、まったく別の人が同じメロディを思いつく可能性はゼロでは無いように思いますが、それにしても、互いに似すぎているメロディがありますね。。。ポップスの場合は盗作となっても、クラシックの作曲家だと「誰々の影響を受けている」という一言で済ませてしまうという笑い話がありました。
ポイント
音楽理論に沿ってメロディを組み立てると、意外に音の組み合わせの数は少ない

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