研究テーマ->生物音楽->midiファイルの中で泳ぐ魚達
生物音楽に関する情報を提供します。(この研究テーマのページは、大嶋和人さんが制作しています。)  
第1回 midiファイルの中で泳ぐ魚達〜シーケンサーソフトで絵を描く

なんだか、上の絵を見ていただけたら、「はい、そうですね」で終わってしまいそうですね。御覧のとおり、シーケンサーソフト(midigraphyです)のピアノロールで絵を描いたものです。midiで音楽作りを始めて、すぐに思ったのは「ペイントソフトに似てるな」ということでした。特に、使っていたmidigraphyというシェアウェアは複数のトラックをまとめて表示できるので、データがカラフルでした。16トラックあるので16色プラス背景の白と罫線の黒で18色使える訳ですね。もともと、グラフィックを最初に始めていたので、絵描きの虫が動きました。この「回遊魚」というデータは1匹の魚を延々とコピーペーストして作りました。上の方は高い音なので「ぴょろろろー」てな感じで、下の方では、「びょりょりょりょー」と響きます。現代音楽になってしまったのですが、妙に魚が魚らしい音をたてて、しかも再生させると、画面がスクロールするので、泳いでいるような感じでした。発表したら、面白がってくれて、「今度は別な動物で」と言われたのですが、ちょっと勇気が無かったです。

どう頑張っても、グラフィックソフトで音楽は出来ない訳ですが、シーケンサーソフトは絵も描ける、という機能が予期せずあった訳ですね。でも、ちょっと考えると、これは楽譜というものの性質上でてきたものだと思います。録音機器のなかった頃に音楽を記録する手段は、耳で覚えるか、楽譜しか無かったでしょうから、音を示す記号を列ねたのでしょうね。絵の方は、物体として存在していますから、そのまま見れます。しかし、音楽の方は楽譜を読んだり演奏して始めて存在するのだと思います。音は、無いか有るかしかない訳で、それを別な媒体で記録する、または、設計して行く必要があったのでしょう。


グラフィックと音楽の動きを示す楽譜が対応できたのは、どちらも数学的な特に幾何学的な要素があったからだと思います。音階がどのような感じで調和するかは、決まっていますし、絵も、色彩がどのような場合調和するのか?という部分では規則がきっちりあります。また、どちらも比率を定めていて、それは共通する部分です。

色々midiファイルをダウンロードして聞きましたが、いい曲は、ピアノロールも綺麗だったり、面白かったりします。聞く前から、「なんだかこんな感じかもしれないぞ」と予想してみると結構面白かったのですが、曲を分析する上では役にたつかもしれません。

それで、自分で打ち込みながら、実際問題視覚的に確認している訳ですね。作りながら、ピアノロールを眺めている訳です。それが結構愉しみです。ある方が、「midiファイルを作るのは自分にとっては図画工作」と発言されていたことがあって、なるほどと思いました。確かに、midiファイルはそういった感覚がとてもよくあります。

ということで、「回遊魚」のデータをお聞き下さい。(最後のおとぼけのフレーズはでっかい魚が回遊魚を飲み込んでいる場面です。魚が大きいと音もそれなりに・・・・・妙?)
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レポート作成 音楽研究所・札幌分室 主任研究員 大嶋和人 2002.5.31