研究テーマ->生物音楽->ア〜、をmidiでどうやって作るか?
生物音楽に関する情報を提供します。(この研究テーマのページは、大嶋和人さんが制作しています。)  
第2回 ア〜、をmidiでどうやって作るか?
結構、最近の音源はいい音出せます。サックスとか管楽器の音色も生ぽかったりして、データを作り込まなくてもそれなりに鳴ってくれたりします。将来、技術が進歩すれば、バーチャルな音声でポップミュージックを作れるようになって、バーチャルなアイドルが登場するかもしれません。(SFでウイリアム・ギブスンの「アイドル」という小説にはまさに、そのようなアイドルが出て来ます。SFネタの多くは、実現してきたので、これも多分できるんでしょうね)

それで、以前データを作っていて、どうしても「艶っぽい女の人の声」(20代後半)が欲しかったのですがそれをどうやってmidiファイルで行うか?ということを研究したことがあります。曲の冒頭で、温泉の大浴場の情景描写をして、「桶の音」とかお湯をかける「ザザー」という音とかは結構すぐ出来ました。(ほとんどシーンデータですね)桶の音は、ドラムのスネアの音色をカットオフ・フリーケンシーなどを調節して「ポン」と鳴らし、お湯の音は、SC88-proのApplauseWaveを使って、エクスプレッションを急激に下げると似た音が出せました。問題は、湯舟で気持よく「あ〜」と声を漏らしてしまうような感じのAhaボイスを作る事でした。難易度はどうなんでしょうね。まずは、頭の中で、音声の分析をしました。

まず、声と言うのは楽器よりもビミョーに音圧やピッチが変わるので、とりあえず、着目したのは、ピッチベントとエクスプレッションです。「あ〜」という感じで、音程が連続的にさがり、さらに、音のどこかで音圧が上がるだろうと思いました。作ったデータはこのようなものです。

ごらんの通り、ピッチベントは最初ちょっと上がり、そしてぐっと下がって行きます。エクスプレッションは音が下がりはじめた直後に高くなります。そのデータがこれです。
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この音だと、どう聞いても40代後半の年令に聞こえます。ここで、なぜ、そうなるのか?というのは考えず、音程を少し上げてみます。
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これはC4です。つまり上のド。おばさんの声(あ、失礼)はA3つまり普通のラの音です。

基本的にこれでいいんでしょが、一応、作品ではレゾナンス(カットされる周波数付近の倍音を強調するコントロールチェンジ#99=1#98=33#6で量を指定)とか、カットオフ・フリーケンシー(音を硬くしたり柔らかくするコントロールチェンジ#99=1#98=32#6で量を指定)も変化させました。

ということで、曲の冒頭、「温泉の入浴シーン」MP3でお聞き下さい。

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人間の声は難しいですが、やってみる価値はありそうです。銀行の電話の振り込み通知は合成された音声が使われたりしますが、あれは味気ないです。データ読む所で、いきなり「オ・オ・シ・マ・サ・マ」ってぶちぶちきれたカタカナ声になってしまう。もっと改良して下さい。「アイドル」ほどじゃなくていいから・・・・・。


レポート作成 音楽研究所・札幌分室 主任研究員 大嶋和人 2002.5.31