アラカルト->音楽の雑学->音で物を壊すことができるって本当でしょうか?  
  音楽の色々なことにかんして、私が不思議に感じていることについて書いてみたいと思います。  
 

 
 
音でものを壊す
1979年にカンヌでパルム・ドールを受賞した作品に「ブリキの太鼓」という映画があります。
主人公は口から奇妙な声を発して、ガラスを割るという特技を持っていましたが、このようなことは本当に可能なのでしょうか?
ネット上を探すと、人の声でワイングラスを割っている動画を幾つか見つけることができます。
音は空気の振動ですが、通常は微弱なので、それでものを壊すことはできません。
しかし、グラスが共鳴する周波数の音を出して振動を加えつづけると、やがてグラスは割れてしまいます。
音の周波数は、音の高さのことですが、グラスが共鳴する周波数は、グラスをたたいたときに出る音の高さとして知ることができます。
人間の声で行う場合は、大きな声で同じ高さの音を持続して出す必要があるため、ある程度のヴォイストレーニングを受けた人でないと難しいと思われます。

共鳴ではなく、音による空気の振動だけでものを壊すことは可能でしょうか?
映画「バックトゥザフューチャー」では巨大なスピーカーで主人公が吹っ飛ぶシーンがありました。
このような空気の振動による破壊力が、対象物の強度を上回れば壊すことができるという理屈になります。
よほど繊細で弱いものであれば音の力で壊せるかもしれません。
たとえば人の鼓膜は0.1m程度の厚さしかありません。ちょっとぐらい大きな音を聞いても破れることはありませんが、160〜180dBぐらいの大きな音を聞くと破れてしまう可能性があります。

SF映画などで超音波を使用してビルを破壊するといったシーンを目にすることがありますが、実際にはありえません。
超音波は、簡単に言うと人間の耳には聞こえない高い音ということになりますが、ものを壊せるかどうかということについては、人間が聞こえる音となんら条件は変わらないからです。