研究テーマ->楽器->箏の楽譜
色々な楽器の楽譜の記譜法を紹介します。箏の楽譜を表示するソフトも用意しています。  
楽譜の種類
流派により記譜法が異なります。縦譜と呼ばれる縦書きの楽譜を使用することが多いですが生田流では、横書きの横譜や五線譜を拡張したような十三線譜も使用されます。
縦譜 弦の指定と音楽表現
箏の楽譜は、どの場合も、どの音を弾くかではなく、どの弦を弾くかを示します。漢数字が書かれている場合、他の楽器では「一 → ド」、「二 → レ」、「三 → ミ」などの関係づけが行われていますが、箏の場合は、「一 → 一の弦の音」、「二 → 二の弦の音」、「三 → 三の弦の音」を示しています。
箏では、どの弦をどの音高にするかは、「調子」によって決まります。調子には、 平調子、雲井調子、楽調子、乃木調子、古今調子などがあります。
たとえば、平調子では、「二」と「三」の間は、半音2つ分ですが、雲井調子では、半音1つ分になります。また「一」の弦をどの音の高さにするかによって、各弦の音の高さが変わってきます。つまり、箏では、「一」の弦をどの音の高さにするか、どの「調子」かが定まらないと、各弦の音の高さが定まらないことになります。
下記のような注意書きがない限り一と五は同音になります。
(1)「一は五の乙」オクターブ下げます
(2)巾は九の甲」オクターブ上げます。
乙はオクターブ下、甲はオクターブ上を示します。
箏の弦は半音おきに貼られているわけではないため、演奏中、弦に無いが生じます。そのような場合は、演奏しようとしている弦より音高が下で、一番、音の近い弦を押すことにより、ピッチを半音、あるいは1音あげることで演奏します。半音あげる場合は、「ヲ」、全音あげる場合は「オ」、半音3つあげる場合は「ノオ」(漢字1文字)と書きます。これらも、発弦と同時に押す場合や、発弦後、即座に押す場合、発弦後、しばらくして押す場合などによって、譜面上に「ヲ」や「オ」を各位置が異なります。また、即座にツンと弾く「ツ」という表記もあります。
調子
 
平調子 0 -7 -5 -4 0 1 5 7 8 12 13 17 19
雲井調子 0 -7 -6 -2 0 1 5 6 10 12 13 17 19
楽調子 0 -7 -5 -2 0 2 5 7 10 12 14 17 19
乃木調子 0 -7 -5 -3 0 2 5 7 9 12 14 17 19
古今調子 0 5 -5 -2 0 1 5 7 10 12 13 17 19
13弦で、各調子と弦の調律の関係を半音単位で示すと上の表のようになります。
十三線譜
流派により記譜法が異なります。縦譜と呼ばれる縦書きの楽譜を使用することが多いですが生田流では、横書きの横譜や五線譜を拡張したような十三線譜も使用されます。