地殻変動の証拠 2008/03/27 |
これは、大多喜町の県道沿いにみられる露頭(露出している地層)です。はっきりわかる断層と、スランプ構造(曲がった地層)が見られます。 断層は、地層に大きな力(この場合は地層を左右に引く力)がはたらいて、分断されて上下のずれが生じたもの(左右のずれが生じることもある)です。 スランプ構造は、この地域がまだ海底だったころ、海底に堆積した堆積物が、まだ固まりきらないうちに海底地すべりを起こし、変形してできたものだと考えられています(しゅう曲とは違います)。いずれも、この地域に大きな変動が生じたことを物語っています。 千葉県は平地ばかりなので、地殻変動とは縁遠い地域だと思い込んでいる人が結構いるようですが、それは間違いです。実際に調べてみると、こうした過去の変動の爪あとがあちこちに見られます。 左は富津市の海岸付近に見られる傾斜した地層、右は大多喜町に見られる規模の大きなスランプ構造です。いずれも過去の変動の証拠です。 ところで、野外で地層を観察すると、どうしても断層やスランプのような刺激的な構造に目を奪われがちです。しかし、この写真のような水平な地層も、りっぱな「地殻変動の証拠」です。 堆積物は海底に水平に堆積します。それが地殻変動によって水平を保ったまま隆起すると、このような水平な地層として陸上に現れます。今は標高約110mの高台になっています。こうした水平な地層も、大きな力が海底を押し上げた変動の証拠なのです。 どのようなしくみで隆起が起きたのか、力の原因は何なのか、わからないことはたくさんあります。大地の成り立ちについて、興味は尽きません。 |